第18話 シンガポールの男前なやつ

 シンガポール。我が東南アジア旅行の最終目的地。別にここで何をするわけでもなかった。

 世界三大ガッカリポイントのひとつ、マーライオンがある。

 我が旅をガッカリポイントで締めるのだ! その考えには苦笑がもれる。

 宿の親父にマーライオンの近くまで行くバスを聞き、バスに乗る。地図を見ながら、バスが行く道を確認し、付近で降りる。これは私の特技だろうか。地図を持っていれば、バスがいまどこを走っているか、地図上の場所がわかるのだ。いや、難しいことではない。特技とは言えないだろう。だが便利な能力なのだ。ホーチミンシティでも、クアラ・ルンプールでも、長距離バスが市内に入ると、市内の地図を広げて街を眺める。そうすると現在地がわかったのだ。街から建物やストリート名を採取し、地図を走査する。ただ、夜だとだめになる能力である。

 バスを降り、私は人気の少ないベイエリアを適当に歩いた。すると水音が聞こえてくる。人が増えてくる。そして、やつがいた。

 口から水を吐き出すマーライオン。なかなか大きい。顔を見ると、えらく男前だった。

 期待していなかったので、全然ガッカリしなかった。

 写真を撮ってあげますよ、いや いいんです、じゃ ごめんやけど撮ってもらって良いですか? いいですよ、と親切を先に提供する心優しい旅行者の写真を撮り、その場を離れた。

 翌日、バンコク経由大阪行きのチケットを購入し、私は帰国の途についた。

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東南アジア旅行記80日間 香港からシンガポールまで陸路で! @sakosato

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