第2話 ハサミ格闘記

 関西国際空港のセキュリティチェックで荷物に持っていたハサミを取られた。私は荷物を預けない主義で、常に機内に持ち込む。


 ハサミが荷物検査でひっかかった。規則だから仕方がない。私はハサミを捨てた。

 ハサミは何かと必要である。ひげをそろえたり、パックの封を切ったり、セロハンテープをカットしたり、私はけっこう使用する。


 私はマカオでハサミを購入した。150円ほど。


「大阪のカタキをマカオで討った!」と一人で意気があげる。


 このハサミを私は中国、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマー、タイ(2回目)、マレーシア、シンガポール、タイ(3回目)と最後の最後まで持ち歩いた。


 ――しかし


 バンコクから大阪への飛行機に乗るときのセキュリティチェックで引っかかったのだ。


「ハサミを持っていますか」

「はい」

「ハサミは持ち込みを許されていません」

「はい」


 という次第で、私は再びハサミを取り上げられたのだった。でも、バンコク-ヤンゴンの飛行機でも、ヤンゴン-バンコクの飛行機でも、シンガポール-バンコクの飛行機でも問題なかったのに、ここで再び取りあげられるとは。。。確かにハサミは危ないのだが。。。


 でも私はそれ以上に危ないものを知っている。それはペン。的確に打ち込めば頸動脈を破れること必定なものである。ペンがよくて、ハサミがだめなのは少し納得いかない。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る