第18話

◎ 第11話 新しい旅

ここは奥深い山のなか。

すべてが雪に覆われ、まるで時間が止まったように、すべてが真っ白な冬の景色です。

そんな白一辺倒の景色に、暖かな陽射しが降り注ぐようになり。

音もなく静寂に包まれていた世界にも、わ時間が回りはじめます。


ようやくの春の訪れ。

キラキラ、キラキラ。

氷柱から溶け出した水滴が、美しく反射をしています。

キラキラ、キラキラ。

雪や氷が溶け出した分、川の水量も多くなってきました。

チチチチ、チチチチ。

軽やかな鳴き声とともに、色鮮やかな小鳥がまだ雪の積もる小枝に止まりました。

その重みで、上下に揺れる小枝。

びっくりして慌てて飛び去る小鳥。

積もっていた雪のかたまりが水面に落ちていきます。

ポチャン。

その下では・・・。

わいわい、がやがや。

たくさんの鮭の子どもたちがいます。

わいわい、がやがや。

たくさんのかえるの子どもたちがいます。

そう、ここはあの鮭くんとかえるくんが生まれた川の淵。

ふたりの生まれ故郷です。

石の上。

亀じいさんがいます。

その隣には。

鈴をつけ、髭の生えたおじいさんかえるがいます。

おじいさんかえるには、片目がありません。

しーっ

しずかにー

淵の中が静かになる中、おじいさんかえるが話を始めました。


「これからみんなは川を下って旅に出る。

鮭は川からさらに海に出て、旅をするんじゃ。


かえるは鮭が帰ってくるまでを待って、別の旅をするんじゃ。


それぞれが大人になるまでの。

大きくなって帰っておいで」

鮭とかえる。

それぞれがペアになります。

そして、それぞれのペアが旅立っていきます。

かえるくんと亀じいさんが見送ります。

途中の川辺ではキナコと女の子が見送ってくれるでしょう。

町ではシロも見送ってくれるでしょう。

鮭くんとかえるくんのふたりが仲良く川を下っていくのが見えるようです。

鮭くんとかえるくんの旅がふたたび始まります。

新しい春

さぁ旅立ちです



おわり


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

鮭とかえる イチロー @iciro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ