枯れたおじさんのささやかな「誇り」

枯れたおじさんのささやかな「誇り」

　私立大学を卒業して社会人になって２５年

　結婚して２２年

　１つ年上の奥さんと、１９の長男、１３の次男の４人家族。

　この年齢になってくると、メタボと老眼を自覚し始め、鏡を見れば目尻の皺と一部白くなった頭に、諦めの溜め息が出る。

　もう自分は若くないのだ

　”オッサン”と蔑まれる容姿なのだ

　そして、その諦めは、老化を更に加速させる。

　白髪染めを止め、育毛を止め、服装にお金をかけなくなり、更におじさんと化す。

　でも、こんなおじさんでも、誇れる物があった。

　奥さんとの夫婦仲

　奥さんとはレスになってもう何年も経つ。

　何年経ったか覚えてない程レス期間が長い。

　しかし、夫婦仲は良好だ。

　お互い５０目前だが、毎日挨拶代わりのハグやキスをしている。

　おはようのキス

　ただいまのキス

　すれ違いざまにハグ

　息子たちが見ていようがお構いなしだ。

　昔、３０代の時にテレビか何かで

「奥さんと若いころからスキンシップしていないと、いざ歳取ってからだとお互いスキンシップが出来なくなる。　旦那さんはテレ臭さがったり拒否されたらどうしようとビビったりして、奥さんは旦那さんを男として見なくなってたり気味悪がったりしちゃうから。　逆に若いころからスキンシップを継続して当たり前にしていると、年とっても照れくさくないし恥ずかしくも無くなる。でも、この継続が難しいんだ」

　というのを見て、当時レスを解消したくて悩んでいた自分は「コレだ！」と思い、それをそのまま奥さんに説明して「これからは僕もそうする！」と宣言した。

　それからは家では常に意識して実行し続け、今でも毎日継続させている。

　最初は邪険にしていた奥さんも、今では当たり前の様に応じてくれるし、奥さんからもハグやキスをしてくれる。隙あらば！って感じに。

　こういう関係だと、コミニュケーションや意思疎通もちゃんと出来るんだよね。

　だから、奥さんは何かにつけて報告や相談してくれるし、僕もちょっとコンビニに出かけるだけでも奥さんを誘うし、散歩するときは手を繋ぐ。

　更に言えば、子供たちもこんな親をずっと見て来た影響か、反抗期らしいものはほとんど無く、逆に親に構って欲しいかの様に色々誘って来たり相談してくれている。

　長男は進路のことを何度も相談に来てたし、結果として僕のアドバイス通りの進路に進んでいる。

　次男とは、スマホで同じゲームをプレーしてるから、レイドとかイベントはしょっちゅう協力してるし。

　まぁ、レスは解消出来ないままこの歳になりましたが、夫婦仲と親子の仲は、同世代の人から見たらビックリするくらい良好だと思う。

　これが僕のささやかな「誇り」