第54、55日目 猫派? 犬派? 7月

わたしは、犬派である。ばあばの家で犬を3匹飼っていて、可愛がっていた。生まれてから、犬と一緒に過ごす時間が長かった。じいじが猫の目が光るのが怖いという理由と、わたしが猫アレルギーを持っているので猫とは縁がなかった。

そして、深井先生に聞いてみることにした。



「深井先生は犬派ですか? 猫派ですか?

私は猫アレルギーなので、犬派です。

全身が痛くなるんですよね~。」


『先生も犬派です。

人みたいに大きい犬が好きです。』



今、我が家で飼っている犬はまさしく人みたい、いや、人よりも大きな犬“オールド・イングリッシュ・シープドッグ”である。母と一緒に保護犬センターに行って、そこで“ポリンキー”と出逢った。ポリンキーは、体の割には小さな場所ではあるが小綺麗な毛布の上で寝ていた。チラリと見たとき、その目と合った。その切ない目を、わたしは忘れることができない。

母はその保護犬“ポリンキー”を、貰い受けることにしたのだった。

わたしは、深井先生と気が合うのかもしれない。もっと、「~派? か、~派? 」の質問をすることにした。



「私は、合宿が好きな派です。料理が美味しく、友達もいて、勉強がいっぱい出来て暇な時間がないからです。

深井先生は、合宿が好きな派ですか? 嫌いな派ですか?

先生たちは、合宿が大変と聞きました。」


『そうですね。先生たちの立場になると、合宿は大変なことの方が多いかも。出発するまでに準備がすごく大変だし、合宿中に問題が起きやすいし。

でも、生徒が楽しんでくれるなら、合宿は良いイベントなので“好きな派”にしておきます。』



“好きな派”までに辿り着くのが、長いな。でも、わたしと同じ意見のようだ。良かった。

正田先生は、去年の合宿の日がわたしの誕生日だったのでクラスのみんなとお祝いしてくれたっけ。と、ふと思い出すと胸がジクッとなった。

翌朝、騒がしい声から始まった。



「あ、痛ててて!! またこのイヌは、俺にばかり噛みつきやがるな」



ポリンキーは、涼しそうな顔をして寝ている。お母さんに聞こえないぐらいの声で、お父さんがボソッと呟いた。



「俺、やっぱ動物好きになれないわ。無派閥ってことで」



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