EP037 Makeover

夏休み…

私の髪もだいぶ伸びた。


今は腰の辺りまでのストレートヘア。

という事で母親が私を庭先に連れ出して椅子に座らさせ穴の空いたゴミ袋を頭から被せられて今の状況となった。


アスカとマリアはウッドデッキでゴロゴロしてる。

また何か始まるのかと冷ややかな視線を向けている。


『お客様!本日はどんなカラーにしますか?』


「ちょっと…」

此れに付き合わなければならないパターン?


「えーっと、、、初めてなのでメッシュとか毛先だけのブリーチやカラーは興味があります」


『そうですか〜大好きなアニメキャラ見たいな感じ?』


「そ、そ、そんな感じです」


『はい!分かりました』

『ではお任せですね!』


「お任せなど一言も言ってませんけど…」

「まあいいか…」


『短く切る訳では無いし夏休み終わり前に戻せばいいじゃない』

と母親は言う。


多分自分でサロンごっこをやりたいだけだろう。


木陰で始めたカットとカラーリング

風が心地よくて途中こっくり、こくりと眠りに誘われた。

遅くまでゲームをしていたせいだ。


(すーーーっ…)


『お客様?お客様?此れからシャンプーですから移動お願いします』


「まだやっているのそのヘアスタイリスト役」


シャンプーは自分でお風呂に行ってシャワー浴びてくるパターンか!

どんなサロンか!


『まだ鏡を見ては駄目ですよ』


「見たいです。なんだか怖いのです」


至る所の鏡に幕がされている。

どんだけ暇なんだよ母親は…


でもシャンプーしてると見えるけど??

まあそこは見なかった事にしよう。


庭先の席に戻りドライヤーで乾かす。


『お客様!』


いきなり世間話を始めた。

私はコミュ症なのでサロンの世間話は苦手だ、だからあまりサロンに行かないからロングヘアなのです。


いつもはこの小芝居無しの母親が毛先を揃えて髪をすいてくれる。


スタイリングが終わり目をつぶり姿見を用意してくれた。


『それではレイちゃんどうぞ!』


「其処はお客様じゃないんかい!」


「ふぁ〜〜〜〜かわいい!」

「お母さん凄い素敵、、、」

「私めちゃくちゃ好きこういうの!」


『そうでしょ!そうでしょ!』

『お客様の好みに合わせるのはスタイリストのスキルでから!』


「今度はお客様か?」

長時間になりキャラがブレてきたぞ。


ストレートロングはそのままでいつも様に毛先を揃えて…

少しすいてから耳辺りからシルバーパープルのメッシュを毛先まで入れ。


なんと!

顎下からのロングヘアの内側は全部ブラックパープルになっていてびっくり?ぱっと見は少しパープルがチラ見するけどヘアスタイルによって色々と遊べそう。


『お客様?』


また始まったぞ。


『此方のお洋服に着替えて下さい』


「??着替えるの?」

このサロンは…


『ファッションコーデも得意としておりますので…』

と大きな紙袋を渡され小芝居は続き…

仕方なく一旦家の中に戻り着替る事にした。


紙袋の中には真っ黒なゴスロリメイドっぽい衣装が入っていた。


「かわいいかも…」

ワクワクしながら着替え庭先に戻った。


『レイちゃん!』

『かわいい〜』

『似合う〜』

『やっぱり間違いないわ〜』


姿見を見て自分じゃない自分がそこにいる。


「此れ好きかも…」

くるっと回りながら色々な角度で見て見る。全体が真っ黒なゴスロリメイドっぽい衣装だけれど所々にシルバーの刺繍やレース飾り、ビーズやストーンがされている。


「お母さん此れどうしたの?」


『此れね知り合いのデザイナーさんがレイちゃんへって作ってくれたのよ』


「えーー?本当に」


『本当、本当。それで写真を撮って来てと頼まれて…という話なの』


どうやら前に母親が私の制服姿の写真をスマホで見せてデザイナーさんは新しく始めるゴスロリ系ブランドのモデルの1人にどうかな?って話らしい。


『夏休みのアルバイトだと思ってどう?』

『日給3万だけと…』


お金には困っていないけれどこの素敵な衣装を作ってくれた事。

今ならヘアスタイルも違うしメガネもかけてないし自分と分からないだろうからOKしました。


『それではお客様!此れから直ぐ…』


??訳の分からないまま車に乗せられ

スタジオに連れてかれた。


世田谷区のスタジオで家から近かった。

知らない大人がたくさんいて超緊張した。

色んな人に声をかけられかわいいを連発され


小っ恥ずかしい。


でもかわいい衣装をいくつか着れて楽しかった。

家で着た衣装はバイト代として別で頂きました。


その後皆んなで人気のインドカレー屋さんのお弁当を食べて終わった。

あっという間の撮影で自分は単なるお人形さんを演じた。

でも人前は疲れた…


帰るとアスカとマリアがお出迎え。

皆んなかわいいぞ!

いつもと違う私を見て首を傾げている。

おかえりの挨拶を済ませるとまた自分達のお気に入りの場所へ戻って行く。


私も自分の部屋に戻りスェット上下に着替えリラックス。

ベットにゴロゴロ。

その日はそのまま寝落ちした。


朝起きてダイニングのテーブルに母親から書き置きがあった。


お仕事です適当に何か買って食べてと3.000円置いてあった。


「ラッキー!」

「今日は朝から豪遊だ!」


早速着替えて朝から駅前の喫茶シュベールでモーニングフルコース!

ホットドッグ540円

茹でたまご54円

ヨーグルト108円

ミニサラダ54円

コーンスープ216円

合計972円の朝から大豪遊です。


「あースープ美味しい…」

その後も黙々と食べ進めた。

流石に昨日寝落ちして晩ごはんを食べないからお腹空いていた。

食後のコーヒータイムをゆっくり味わっいながら過ごした。


ちなみに今の格好は黒のスキニーデニムにヘビメタTシャツとマーチンだ。

何処ぞのバンド姉さん風だ。

多分ヘアスタイルがそうさせるのだろうか。


昨日リンリンからLINEが来ていた。

早速、返信する。


レイ?


      昨日寝落ちしてた。おはよう!


おはようさんね。今日遊ばない?


                いいよ!


それじゃ下北沢行こう。服みたいから


                いいね!


じゃ経堂駅で降りてね。えーっと11:30位


                 おけ!


じゃ、後で


                 じゃ、


リンリンきっとびっくりするだろうな。

超びっくりするだろうな。

楽しみだ、ワクワクするぞ。


家に帰ってチェックのスカートに履き替えてトップスは少し抑えめのロゴTにアクセスを着けて完成!パンクスタイル。


経堂駅に着いた。

あ!あそこ居る。

リンリンと三日月も居るぞ。


(ふへへへへへ…)

思わずきみの悪い笑い声が出てしまった。


「待たせ〜!」


???、、、?二人は知らない人から話しかけられたと思い一瞬ポカンとした。

次の瞬間フリーズした。


「おーい!戻ってこーい!」


(ったあーーー!)

と大きく息が漏れ口をパクパクさせている。


ミント飴を放り込んでやった。

もらった飴をなめながら360°ぐるりと隅々まで見られる。


『レイ?どうした?』

『レイちゃん?どうしたの?』


「此れかわいいでしょ」


『あー似合ってる』

『超かわいい…私憧れる…』


電車に乗り母親からバイトで〜事の経緯を話した。


そうしたから私達もヘアカラーしたいな〜と言い出した。

リンリンは部活があるから多分駄目だろうなとしょんぼり。


でもさ、部活の時だけ黒に簡単に染めて行けばいいじゃんかつとなった。

三日月はママに聞かないといきなりはびっくりするよとなった。


皆んなスマホでこんなのがいいとかあんなのもかわいいとかになり直ぐに下北沢に着いた。


せっかくだから古着屋さんでパンクスタイルの物を探す事にした。


レイは皆んなでパーティーを組んだ時身バレしない様にパンクスタイルやゴスロリ系スタイルで行くのもありだと思った。


洋服屋さんや雑貨屋さんを少し見てからお昼は東京焼き麺スタンドで焼きそばを食べた。


お昼の前に回ったお店でリンリンは気に入った洋服があったので食べたらまた行く事になった。

私と三日月は雑貨屋さんでアクセサリーをいくつか買った。

その後カラオケに行って歌いまくった。


帰りの電車を待つホームで二人に実は話したい事があるから家に来ないかと伝えた。


二人は急に真剣な顔になり少し不安を覗かせた。

まあ確かに外じゃ話づらいしまだ時間大丈夫だから家に連絡入れてレイの家に遊びに行くと伝えると二人は言ってくれた。


少し重苦し雰囲気が続いたので別に超大変な相談でもないからそんな心配しないで。

恋愛相談でもないから。


二人の頭の上に??が見えた。

その後はまたヘアカラーの話しになり家まで着いた。


アスカとマリアがお出迎え。


お?なんだ、客か?

と言わんばかりの挨拶をして

リンリンと三日月にくんすかくんすか…

すりすりすりすりしている。


あざといぞ家の猫達。


二人は猫達を抱っこして2階の部屋に上がった。


ちゃんと伝えられるか心配です。

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