哲学魔王の【辞書】

３．後節

━─━─ № 3-133 (688) ─━─━

　　〖あらわす〗（サ五段動詞）

【表（あらわ）す】⚠　 #966

　〈意味する〉〈想いを何らかの手段で表現する〉の意。

【著（あらわ）す】⚠　 #967

　〈想（おも）いを書にして表（あらわ）す〉の意。

【現（あらわ）す】⚠　 #968

　〈見えなかったものを見えるようにする〉の意。

【顕（あらわ）す】⚠　 #969

　〈見えなかったものが見えるようになる〉〈注目を集める〉の意。

【露（あら）わす】⚠　 #970

　〈隠していたものが顕（あらわ）れてしまう〉の意。

━─━─ № 3-135 (690) ─━─━

　　〖ほいほい〗（副詞）

【放（ほい）々（ほい）】⚠⛏　 #971

　〈気安く〉〈安易に〉〈簡単に〉の意。

━─━─ № 3-137 (692) ─━─━

　　〖どんどん〗（副詞）

【頓（どん）々（どん）】⚠⛏　 #972

　〈勢いよく進行して〉の意。

━─━─ № 3-139 (694) ─━─━

　　〖はびこる〗（ラ五段動詞）

【衍（はびこ）る】⚠　 #973

　〈いっぱいに広がる〉〈勢いが強くなって幅をきかす〉〈横行する〉の意。

　こちらの意味で［蔓延（はびこ）る］と表記するのは字義不相応。

【蔓延（はびこ）る】⚠　 #974

　〈ツタが広く生い茂っている〉の意。

━─━─ № 3-141 (696) ─━─━

　　〖しかるに〗（接続詞）

【而（しか）るに】⚠　 #975

　〈だというのに〉の意。

　［然（しか）るに］［然（しか）し］と書いて同義。

【及（し）かるに】⚠　 #976

　〈その結果として〉の意。

━─━─ № 3-143 (698) ─━─━

　　〖こていかんねん〗〖きせいがいねん〗（名詞）

【固（こ）定（てい）観（かん）念（ねん）】⚠　 #977

　〈考え方が凝り固まっていること〉の意。

　〝エロは無条件で害悪という観念〟など。

【既（き）成（せい）概（がい）念（ねん）】⚠　 #978

　〈ある物事について既にできあがっている大まかな意味内容〉の意。

　〝ゼロの概念〟など。

━─━─ № 3-145 (700) ─━─━

　　〖すげない〗〖そっけない〗（形容詞）

【縁（すげ）無（な）い】⚠⛏　 #979

　〈態度などが冷淡であるさま〉の意。

　原語は〔善（よ）縁（すが）無（な）い〕。

【素（す）気（げ）無（な）い】【素（そっ）気（け）無（な）い】✗　 #980

　語義不相応のため［縁（すげ）無（な）い］を遣うことを推（すい）奨（しょう）する。

　この表記では〈著（いちじる）しい気配が無い〉のような意となる。

　なお「素（す）気（げ）無（な）い」は当て字であり、「素（そっ）気（け）無（な）い」はその誤読である。

　意味わからんくなるから文（ぶん）藝（げい）と冗談以外で当て字通用させんのホントやめて。

━─━─ № 3-147 (702) ─━─━

　　〖あらぬ〗（副詞）

【存（あ）らぬ】⚠⛏　 #981

　〈思ってもいない〉〈想定にない〉の意。

【或（あ）らぬ】⚠⛏　 #982

　〈例示や仮説として成立しない〉の意。

　転じて〈とんでもない〉〈不届きである〉の意。

━─━─ № 3-149 (704) ─━─━

　　〖しがみつく〗（カ五段動詞）

【強（し）噛（が）み附（つ）く】⚠　 #983

　〈強くすがる〉〈荒々しく組みつく〉〈むしゃぶりつく〉の意。

　別語として成立している語の頭に｛し｝の附（つ）いているものは、大半が「強（し）」であると思われる。

━─━─ № 3-151 (706) ─━─━

　　〖耳（みみ）苛（がら）い〗⛏（形容詞）

【耳（みみ）苛（がら）い】⚠　 #984

　〈耳が痛い〉〈聞くにたえない〉の意。

━─━─ № 3-153 (708) ─━─━

　　〖優（やさ）姿（すがた）〗（名詞）

【優（やさ）姿（すがた）】⚠　 #985

　〈優美な姿〉〈しとやかで優しさあふれる姿〉の意。

━─━─ № 3-155 (710) ─━─━

　　〖まもる〗（ラ五段動詞）

【守（まも）る】【保（まも）る】⚠　 #986

　〈たもつ〉〈状態の維持につとめる〉〈規則などを違（たが）えないようつとめる〉の意。

【衛（まも）る】⚠　 #987

　〈ふせぐ〉〈危機を離（さ）ける〉〈有害事（じ）相（しょう）を寄せつけないようつとめる〉の意。

【護（まも）る】⚠　 #988

　〈かばう〉〈危機を避（さ）ける〉〈身を挺（てい）して守る〉の意。

━─━─ № 3-157 (712) ─━─━

　　〖しんちたい〗〖しんぎたい〗（成句・名詞）

【心（しん）知（ち）体（たい）】⚠⛏　 #989

　〈〝まっすぐで折れぬ心構え〟と〝物事を処する方法〟と〝自在になる肉体〟〉の意。

　すべてにおいて肝心な要素を、より重要な順に並べた言葉。

　どれもが飽くまで肝心なので、「心」があれば「体」は要らない、という事は無い。

【心（しん）技（ぎ）体（たい）】✗　 #990

　分（ぶん）析（せき）が不十分とされる言葉のため［心（しん）知（ち）体（たい）］を遣うことを推（すい）奨（しょう）する。

　〈〝まっすぐで折れぬ心構え〟と〝物事を処する技法〟と〝頑（がん）健（けん）な肉体〟〉の意。

　かつては〝心（しん）技（ぎ）体（たい）〟と呼ばれたが、「技」は「知」に含まれ、技を実現する「術］は「体」に含まれる、という考え方［心（しん）知（ち）体（たい）］に取って代わられた。

━─━─ № 3-159 (714) ─━─━

　　〖もたもた〗（サ変名容詞）

【繆（もた）々（もた）】⚠⛏　 #991

　〈何かに繆（まと）わりつかれたかのように手際悪いさま〉〈行動や進行が遅いさま〉の意。

━─━─ № 3-161 (716) ─━─━

　　〖おそれ〗（名詞）

【怖（おそ）れ】⚠　 #992

　〈こわさ〉の意。

【恐（おそ）れ】⚠　 #993

　〈甚（はなは）だしさ〉〈強さ〉の意。

　なお［怖（おそ）れ］の意をも本来持つが、重複させても詮ないので、その意味で遣うことは推（すい）奨（しょう）しない。

【畏（おそ）れ】⚠　 #994

　〈恐縮さ〉〈敬服〉の意。

【惧（おそ）れ】⚠　 #995

　〈問題の起きる見込み〉の意。

━─━─ № 3-163 (718) ─━─━

　　〖ないし〗（接続詞）

【乃（ない）至（し）】⚠　 #996

　〈前述乃（か）ら後述に至（いた）って〉〈｟Ａ乃（ない）至（し）Ｂと書いて｠ＡからＢまで〉の意。

　転じて〈または〉〈もしくは〉の意。

━─━─ № 3-165 (720) ─━─━

　　〖そうとはなく〗⛏（接続詞）

【然様（そう）とは非（な）く】⚠⛏　 #997

　〈そういうわけではなく〉〈そうするわけではなく〉の意。

━─━─ № 3-167 (722) ─━─━

　　〖とらわれる〗（ラ下一段動詞）

【捕（と）らわれる】⚠　 #998

　〈捕獲される〉〈しっかり掴（つか）まれる〉の意。

【逮（とら）われる】⚠　 #999

　〈身柄を拘束される〉〈取り押さえて逃げれないようにされる〉の意。

【捉（とら）われる】⚠　 #1,000

　〈捕（ほ）捉（そく）される〉〈認識される〉〈把（は）握（あく）される〉〈感知される〉の意。

　転じて〈煩（わずら）わされる〉〈揚げ足を取られる〉の意。

【囚（とら）われる】⚠　 #1,001

　〈閉じ籠（こ）められる〉の意。

　転じて〈信念や思い込みに引き擦られる〉の意。

━─━─ № 3-169 (724) ─━─━

　　〖たのむ〗（マ五段動詞）

【頼（たの）む】⚠　 #1,002

　〈依頼する〉〈お願いする〉の意。

　転じて〈助けに用いる〉の意。

【恃（たの）む】⚠　 #1,003

　〈依存する〉〈当てにする〉の意。

━─━─ № 3-171 (726) ─━─━

　　〖おごる〗（マ五段動詞）

【傲（おご）る】⚠　 #1,004

　〈傲（ごう）慢（まん）である〉〈自身を不当に高く評価して他人を見下す〉の意。

【驕（おご）る】⚠　 #1,005

　〈放蕩である〉〈自分勝手にふるまう〉の意。

【奢（おご）る】⚠　 #1,006

　〈豪勢である〉〈ぜいたくにふるまう〉の意。

　転じて〈ほどこしをする〉の意。

━─━─ № 3-173 (728) ─━─━

　　〖くどくど〗（副詞）

【諄（くど）々（くど）】⚠　 #1,007

　〈しつこく繰り返して〉〈うるさく長々と〉〈思いきりが悪く〉の意。

━─━─ № 3-175 (730) ─━─━

　　〖と〗〖とて〗（副助詞）

【迚（と）】【迚（と）て】⚠　 #1,008

　〈到底〉〈どうやっても〉〈そうであっても〉〈その事について〉の意。

　転じて〈凄（すご）く〉〈素晴らしく〉〈何であろうが〉の意。

━─━─ № 3-177 (732) ─━─━

　　〖なる〗（ラ五段動助詞）

【成（な）る】⚠　 #1,009

　〈成立する〉〈結果へ至る〉の意。

【生（な）る】⚠　 #1,010

　〈実を結ぶ〉の意。

【也（な）る】⚠　 #1,011

　〈そのとおりの事である〉の意。

━─━─ № 3-179 (734) ─━─━

　　〖ぬきんでる〗（ダ下一段動詞）

【挺（ぬき）んでる】⚠　 #1,012

　〈他よりきわだってすぐれる〉の意。

【抽（ぬき）んでる】【擢（ぬき）んでる】⚠✗　 #1,013

　字義不相応のため［挺（ぬき）んでる］を遣うことを推（すい）奨（しょう）する。

　これらの字は〈抜き出す〉〈選び出す〉のような自動詞として解釈されるもの。

━─━─ № 3-181 (736) ─━─━

　　〖ちょうだいきょり〗⛏（名詞）

【長（ちょう）大（だい）距（きょ）離（り）】⚠⛏　 #1,014

　〈長距離〉の意。

　大規模である事をより強調する言い回し。

━─━─ № 3-183 (738) ─━─━

　　〖荒（あら）勢（ぶ）る〗⛏（ラ五段動詞）

【荒（あら）勢（ぶ）る】⚠⛏　 #1,015

　〈荒々しくふるまう〉の意。

　原語としては文語の上二段動詞「荒（あら）ぶ」の連体形〔荒（あら）ぶる〕である（「落つ」→「落つる（落ちる）」と同じ活用）であるゆえ、〝｛荒（あら）ぶって｝ではなく｛荒（あら）びて｝｛荒（あら）んで｝と活用されるべき〟との提起がなされるもの。

　しかし「荒（あら）ぶ」は単に〈荒くする〉の意であって、意思をともなって態度を作る当該語とは意味合いに微妙な差がみられるもので、新語として定義できる餘（よ）地（ち）が十分にあると提案をするもの。

━─━─ № 3-185 (740) ─━─━

　　〖ゆるす〗（サ五段動詞）

【許（ゆる）す】⚠　 #1,016

　〈permit（パーミット）〉〈容認する〉〈あっても咎（とが）めない事にする〉の意。

　容認された事は何度繰り返しても咎（とが）にならない。

【赦（ゆる）す】⚠　 #1,017

　〈forgive（フォアギブ）〉〈水に流す〉〈あった事を無かったことにする〉の意。

　許（ゆる）すわけではないので同じ事を繰り返せば再び咎（とが）が立つ。

☞ つまり〝大嘘憑き（オールフィクション）〟を做（な）す球（く）磨（ま）川（がわ）君は〝赦（ゆる）しのプロ〟である（

━─━─ № 3-187 (742) ─━─━

　　〖なぜる〗（ザ下一段動詞）

【撫（な）ぜる】⚠　 #1,018

　〈撫（な）でる〉の意。

　〝「撫（な）ぜる」は「撫（な）でる」の方言〟と言われているが、全国各地でみられるもので、かつ組成としては〔撫（な）ぢ得（え）る〕なので、｛ぢぇ→で｝｛ぢぇ→じぇ→ぜ｝ともに標準的にあり得ると考えられる。

　ちなみに組成的に、上一段活用は｛末尾母音を省いた動詞語幹＋処（い）る｝、下一段活用は｛末尾母音を省いた動詞語幹＋得（え）る｝の形であると考えられる。