哲学魔王の【辞書】

２．前節゠２／２

━─━─ № 2-49 (368) ─━─━

　　〖こども〗（名容詞）

【子（こ）供（ども）】　 #597

　〈幼少で成人していない人〉〈親の産んだ子〉の意。

　〝お墓の「お供（そな）え」じゃないんだから子「供」なんて表記はとんでもない！〟とかいう謎（なぞ）理論で｛子（こ）ども｝との表記を推（お）し進める一派があるようだが、そもそも〔供〕とは〈連れ合い〉というとても素晴らしい物のことであるし、だいいち「お墓のお供（そな）え」って縁起良くするための存在であって捧（ささ）げ終わったらみんなで分かち合って幸せを戴（いただ）くもんなんじゃないのかとかなんとかかんとか思いますし、正直これ言う人こそまさしく子ｄｹﾞﾌﾝｹﾞﾌﾝ

【子（こ）共（ども）】　 #598

　〈子（こ）供（ども）たち〉の意。

　一般に愛憎を込める場合に言う。

【稚児（こども）】⚯⛏　 #599

　〈子（こ）供（ども）〉〈子（こ）供（ども）のような性格の者〉の意。

　転じて〈言動の未熟な者〉〈思慮が足りない者〉の意。

　〝大人（おとな）しい〟の対義語として丁度〝稚（やや）児（こ）しい〟が存在するため、新たな熟字訓として提案をするもの。

【小人（こども）】⚯✗　 #600

　「小（こ）人（びと）」と紛らわしいため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

　なお｛小人｝という表記のはじまりは鉄道の券売機だが、飽くまで｛小（しょう）人（にん）｝のつもりで表記したものであって｛小人（こども）｝ではないとのこと。

【竪（こども）】⚠✗　 #601

　字義不相応のため［稚児（こども）］を遣うことを推（すい）奨（しょう）する。

　〔竪〕は〈縦状である〉の意であって、字形として〝立った者のうえに子が乗っている（？）ように見える〟ことから転じて〈子供〉〈小物〉の意と解釈するのは日本語独自であり、中国語においては通用しない。

━─━─ № 2-51 (370) ─━─━

　　〖かね〗（タ五段動詞）

【金（かね）】　 #602

　〈金属類〉〈金属製品〉の意。

【鐘（かね）】　 #603

　〈吊（つ）るした状態で叩いて鳴らす金属製の楽器や合図器〉の意。

【鉦（かね）】⚠　 #604

　〈銅（ど）鑼（ら）〉の意。

【幣（かね）】⚠⛏　 #605

　〈貨（か）幣（へい）〉〈金銭〉の意。

━─━─ № 2-53 (372) ─━─━

　　〖しくじる〗（タ五段動詞）

【為（し）挫（くじ）る】⚠⛏　 #606

　〈物事に失敗する〉の意。

━─━─ № 2-55 (374) ─━─━

　　〖いつも〗（副詞的名詞）

【何時（いつ）も】⚯　 #607

　〈常時〉〈どんな場合でも〉の意。

　なお｛何時｝一体での熟字訓であり｛何（い）｝｛時（つ）｝という読みをする理由は無い。

【平素（いつも）】⚯⛏　 #608

　〈普段〉の意。

【常例（いつも）】⚯⛏　 #609

　〈毎度〉の意。

━─━─ № 2-57 (376) ─━─━

　　〖たまたま〗（サ変名容詞）

【偶（たまたま）】【偶（たま）〻（たま）】【偶（たまた）ま】【偶（た）またま】⚠　 #610

　〈偶然に〉の意。

　〈天の采（さい）配（はい）の数々〉の意の〔給（たま）々（たま）〕との原語を一字集約したものであるため｛々（同の字点）｝は付かない。

━─━─ № 2-59 (378) ─━─━

　　〖うなづく〗〖うなずく〗（カ五段動詞）

【頷（うなづ）く】【頷（うなず）く】⚠　 #611

　〈首（しゅ）肯（こう）する〉〈賛同を示すために首を縦に振る〉の意。

　組成は〔項（うな）衝（づ）く〕。

　使用頻（ひん）度（ど）のわりに常用の読みではないので注意。

━─━─ № 2-61 (380) ─━─━

　　〖ず〗（副詞）

【図（ず）】　 #612

　〈身勝手な意図〉の意。

　無恥さを云（い）う。

【随（ず）】⚠⛏　 #613

　〈つき抜けさせるほど〉の意。

　強引さを云（い）う。

━─━─ № 2-63 (382) ─━─━

　　〖すずいと〗〖ずいずい〗（副詞）

【随（ず）々（ずい）と】【随（ずい）々（ずい）】【随（ず）いずい】⚠⛏　 #614

　〈ひたすら目的へ向かって〉の意。

　転じて〈恥も知らずに〉の意。

━─━─ № 2-65 (384) ─━─━

　　〖にだ〗（名詞）

【荷（に）駄（だ）】　 #615

　〈荷（に）役（えき）と荷車の総称〉の意。

　なお〔駄〕は〈荷を運ぶ動物〉の意。

　転じて〈荷車〉の意で、愚鈍につき愛（あい）玩（がん）にも乗用にも向かない劣った馬や犬（ひでえ話だ）を運搬に用いたことから転じて〈愚鈍な者〉〈値打ちがない物〉〈遠慮なく踏みつけてよい下等な存在（ひでえ話だ……）〉、さらに転じて〈履（は）き物〉の意。

　また「駄（だ）賃（ちん）」は〈荷運び代〉の意であり、〝取るに足りない手当て〟そのものを指すものではない。

　ちなみに「駄（だ）荷（に）」は〈荷（に）駄（だ）に運ばせた荷物〉の意。

━─━─ № 2-67 (386) ─━─━

　　〖とある〗（副詞）

【途（と）或（あ）る】⚠⛏　 #616

　〈行き掛けにみられた例として〉の意。

　〔途〕は〈行く途中〉、〔或〕は〈範囲の指定〉の意。

　〝「と或（あ）る」の｛と｝の字ははっきりしない〟というのが定説だが、字義的にみればこの意に解釈できる〔途〕でおそらく妥（だ）当（とう）。

━─━─ № 2-69 (388) ─━─━

　　〖やむ〗（マ五段動詞）

【止（や）む】⚠　 #617

　〈続いていたものが中断される〉の意。

　使用頻（ひん）度（ど）のわりに常用の読みではないので注意。

【病（や）む】　 #618

　〈体調を崩して日常が止（や）む〉の意。

【已（や）む】⚠　 #619

　〈後続が絶える〉〈完全に無くなる〉の意。

　［止（や）む］とほぼ同義だが、〝再開や再起の可能性の有無〟という点で別物と考えたほうが良いと思われる。

【辞（や）む】⚠　 #620

　〈辞退によって已（や）む〉の意。

【罷（や）む】⚠　 #621

　〈疲れ果てることによって已（や）む〉の意。

━─━─ № 2-71 (390) ─━─━

　　〖ちらほら〗（副詞）

【散（ちら）洞（ほら）】⚠　 #622

　〈あちこちに散らばって少しずつ〉〈時間をおいて何度か〉の意。

━─━─ № 2-73 (392) ─━─━

　　〖おしのべて〗（副詞）

【押（お）し展（の）べて】⚠　 #623

　〈手で押して伸（の）したかのように広く平らにわたって〉の意。

　なお〈全員並んで〉〈総員同様に〉の意の「押（お）し並（な）べて」との混同に注意。

━─━─ № 2-75 (394) ─━─━

　　〖ちゅうい〗（サ変名詞）

【注（ちゅう）意（い）】　 #624

　〈意識することに力を入れること〉〈よく気をつけること〉の意。

【註（ちゅう）意（い）】⚠　 #625

　〈個々の事柄ごとでの局所的な意味解説をすること〉の意。

　こちらの意味で［注（ちゅう）意（い）］と表記するのは字義不相応。

　〝注（ちゅう）意（い）してやる〟だと〈｟自分が｠気を付けていくぞ〉との宣言になってしまうほか、仮にそれが［註（ちゅう）意（い）］のつもりだったとしても、大抵の場合〈行動の達成を指図すること〉の意の「号（ごう）令（れい）」しかやってないんだよなあ。

━─━─ № 2-77 (396) ─━─━

　　〖きく〗（カ五段動詞）

【聞（き）く】　 #626

　〈言葉を追う〉〈情報を引き出す〉の意。

【聴（き）く】　 #627

　〈耳を澄ます〉の意。

　転じて〈音を追う〉〈情報がもたらされる〉の意。

【訊（き）く】⚠　 #628

　〈質問する〉の意。

【尋（き）く】⚠　 #629

　〈尋問する〉〈正式に問う〉の意。

【効（き）く】　 #630

　〈効果を確認できる〉の意。

【利（き）く】　 #631

　〈機能を発揮できる〉の意。

━─━─ № 2-79 (398) ─━─━

　　〖がらす〗（名詞）

【璃（がらす）】⚠　 #632

　〈ガラス〉〈glass（グラス）〉の意。

　〔璃〕は〈美しく光る玉〉が原義で、転じて〈glass（グラス）〉の意も持つ。

【硝子（がらす）】⚯✗　 #633

　同義のため［璃（がらす）］を遣うことを推（すい）奨（しょう）する。

　〝硝（しょう）石（せき）を原料とする〟ことから化学的で武骨な感じがする、との印（いん）相（しょう）本位で遣うの避けてみるテスト。

【玻瓈（がらす）】⚯✗　 #634

　語義不詳のため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

　「玻（は）瓈（り）」はインド由来だか仏教由来だかと、どうも意味がはっきりしない。

━─━─ № 2-81 (400) ─━─━

　　〖やんちゃ〗（名容詞）

【脂（やん）茶（ちゃ）】⚠　 #635

　〈脂（やに）が利いて蘞（えぐ）味（み）が後をひく茶〉の意。

　転じて〈駄（だ）々（だ）をこねること〉〈いたずらすること〉〈無（む）闇（やみ）に冒険をする気質であること〉の意。

　脂（やに）とは一般に嫌（いや）味（み）として忌避されるものだが、歓迎される事柄に対しても遣われるのは〝味としては宜（よろ）しくないが無いと寂（さび）しい〟との解釈からと想像される。

━─━─ № 2-83 (402) ─━─━

　　〖はっちゃける〗（カ下一段動詞）

【張（は）っ裂（ちゃ）ける】⚠　 #636

　〈内圧に負けて破裂する〉の意。

　転じて〈情動を抑えれずに遣（や）りきれなくなる〉の意。

　〔張（は）り裂（さ）ける〕の音便。

　〝心が張（は）っ裂（ちゃ）けちまう〟など。

【爆（は）っ撒（ちゃ）ける】⚠　 #637

　〈機（き）嫌（げん）よく騒いで日（ひ）頃（ごろ）の鬱（うっ）憤（ぷん）を晴らす〉の意。

　語源は〔爆（は）ぜ撒（ま）ける〕の音便ともみなせるが、ならびに［張（は）っ裂（ちゃ）ける］とも思われる。

　〝週末は爆（は）っ撒（ちゃ）けるぜ〟など。

━─━─ № 2-85 (404) ─━─━

　　〖すなわち〗（副詞）

【即（すなわ）ち】⚠　 #638

　〈即時に〉転じて｟Ａ即（すなわ）ちＢとして｠〈B equals（イコールズ） A〉〈Ａは即（そっく）りＢ〉〈ＡはＢに同じ〉の意。

　「言い換えれば」「それが該当するのは」と同義。

　なお〈即時に〉の意でこの語が遣われている例は、不勉強ながら目にした事が無い。

【則（すなわ）ち】⚠　 #639

　｟Ａ則（すなわ）ちＢとして｠〈B because（ビコーズ） A〉〈Ａの結論としてＢ〉〈Ａに則（のっと）るとＢ〉の意。

　「要するに」「まとめれば」と同義。

【乃（すなわ）ち】⚠　 #640

　｟Ａ乃（すなわ）ちＢとして｠〈A so（ソー） next（ネクスト） B〉〈Ａを契機としてＢ〉〈ＡであったのでＢ〉の意。

　「それから」「そうすれば」と同義。

☞ ［すなわち］は〈時間に対して用（もち）いる代名詞〉が原義とされるが、なぜ｛すなわち｝という音であるのかはさっぱりわからん、、

━─━─ № 2-87 (406) ─━─━

　　〖あまり〗〖あんまり〗（副詞的名容詞）

【剰（あま）り】【剰（あ）んまり】⚠⛏　 #641

　〈過（か）剰（じょう）過多であるさま〉の意。

　転じて〈苛（か）酷（こく）であるさま〉の意。

【零（あま）り】【零（あ）んまり】⚠⛏　 #642

　〈纔（わず）かであるさま〉〈端（はした）程度であるさま〉の意。

━─━─ № 2-89 (408) ─━─━

　　〖そのもの〗（名詞）

【当体（そのもの）】⚯　 #643

　〈その概念にちょうど該当する〉の意。

━─━─ № 2-91 (410) ─━─━

　　〖なす〗（サ五段動詞）

【做（な）す】⚠　 #644

　〈行為を実行する〉の意。

【為（な）す】⚠✗　 #645

　同義のため［做（な）す］を遣うことを推（すい）奨（しょう）する。

　字義的に〔為〕は〈象の使役〉である一方、〔做〕は〈人のわざ〉であり、より触（ふ）添（さ）わしいと考えられる。

【済（な）す】⚠　 #646

　〈済ませる〉〈完了させる〉〈解決させる〉の意。

【成（な）す】　 #647

　〈産み出す〉〈生成する〉〈達成する〉の意。

【生（な）す】⚠　 #648

　〈子を生み出す〉の意。

━─━─ № 2-93 (412) ─━─━

　　〖うまみ〗（名詞）

【旨（うま）味（み）】⚠　 #649

　〈肉類やその出汁（だし）のおいしさ〉の意。

　使用頻（ひん）度（ど）のわりに常用の読みではないので注意。

【脂（うま）味（み）】⚠⛏　 #650

　〈脂（あぶら）のおいしさ〉の意。

【指（うま）味（み）】⚠⛏　 #651

　〈労力に対する成果の大きさ〉の意。

━─━─ № 2-95 (414) ─━─━

　　〖ちゃんばら〗（サ変名詞）

【斬（ちゃん）散（ばら）】⚠⛏　 #652

　〈剣（けん）戟（げき）での斬（き）り合い〉の意。

　転じて〈剣（けん）劇（げき）〉〈剣（けん）劇（げき）ごっこ〉の意。

　原語は〈斬（き）り結んだり散開したりを繰り返す立ち回り〉の意の「斬（ちゃん）々（ちゃん）散（ばら）々（ばら）」であるが、この「ちゃん」は漢音の〔斬（ヂャン）〕であり擬（ぎ）音（おん）語でも擬（ぎ）態（たい）語でもない。

━─━─ № 2-97 (416) ─━─━

　　〖いろ〗（名詞）

【色（いろ）】　 #653

　〈状態〉〈表情〉〈気配〉の意。

　転じて〈実体〉〈色彩〉〈魅力ある様子〉〈情事〉の意。

　組成は〈在（あ）り方を担（にな）う者〉の意の〔処（お）り負（お）〕と思われる。

【艶（いろ）】⚠　 #654

　〈艶（つや）やかさ〉〈艶（なま）めかしさ〉の意。

【情婦（いろ）】⚯　 #655

　〈婚（こん）姻（いん）の約束はしていないが情や躰（からだ）の通じている女性〉の意。

　転じて〈浮気相手の女性〉〈得意にしている娼（しょう）婦（ふ）〉の意。

【情夫（いろ）】⚯　 #656

　〈婚（こん）姻（いん）の約束はしていないが情や躰（からだ）の通じている男性〉の意。

　転じて〈浮気相手の男性〉〈得意にしている男（だん）娼（しょう）〉の意。

☞ 以前に〝〔色〕は「後背位性交の相（しょう）形（けい）文字」〟と紹介してしまったが、最近発見された資料により、どうやら違うらしいとの見方が強まっている。

　まだ情報が錯（さく）綜（そう）しているため、しばらくは学者さんに丸投げ（

━─━─ № 2-99 (418) ─━─━

　　〖たまに〗（副詞）

【少（たま）に】⚠⛏　 #657

　〈数少なく〉の意。

　転じて〈稀（まれ）に〉〈時には〉の意。

　なお〔少（まれ）〕との読みがある。

【偶（たま）に】⚠✗　 #658

　字義不相応のため［少（たま）に］を遣うことを推（すい）奨（しょう）する。

　たとえば〝最低年二回はそうする事にしている〟のように必然も存分に含んで指すものであるから、〈めぐり合わせ〉の意の〔偶〕は不適切ではないかと疑われるもの。

━─━─ № 2-101 (420) ─━─━

　　〖ずばり〗（副詞的名詞）

【随（ず）溌（ば）り】⚠⛏　 #659

　〈ためらわないで勢いよく〉〈核（かく）心（しん）を正確について〉〈単刀直入に〉の意。

　〝これは擬（ぎ）態（たい）語なので漢字は無い〟との説があるが、「擬（ぎ）態（たい）語」とはそもそも〈状態や動態を言葉によって説明するもの〉なのだから、その説明が意味するところの漢字を当てるのは十分可能なはずである。

　ところで一般に漢字の当てようが無いのは、音のみが有って意味は持たない擬（ぎ）音（おん）語というもの。

　しかしここで、｛ズバ｝が擬（ぎ）音（おん）語だとすると、何をどうすればそんな音が出るのかは〝キャベツを切ったとき〟のほかに全然思いつかないが、それならば「ズバ」とは〈キャベツを切ったときの擬（ぎ）音（おん）〉以外の何物でもないだろう。

━─━─ № 2-103 (422) ─━─━

　　〖とりこのじゅん〗⛏（成句・名詞）

【鶏（とり）卵（こ）の順（じゅん）】⚠⛏　 #660

　〈果たしてどちらが先なのか〉の意。

　成句〝鶏（にわとり）が先（さき）か卵（たまご）が先（さき）か〟を約（つづ）めて云（い）ったもの。

　なお実際のところ、鶏でない個体がその生（しょう）涯（がい）のうちに鶏という状態を獲得することが考えれないとすれば、まずは進化によらなければ鶏という種は存在し得ず、進化による変容がみられるのは交配を経て新たな命が誕生した瞬間であり、したがって卵が先であると考えられる。