9.目的 ~より

9.前節/中節/後節

    ◆◆◆ 前節 ◆◆◆



━─━─ № 9-1 (1,498) ─━─━

  〖きたない〗(形容詞)


きたい】⛏  #1,757

 〈ちつじょが保たれていないさま〉の意。

 転じて〈物が乱雑に散らかっているさま〉〈ずるいさま〉〈あくらつであるさま〉の意。

 こちらの意味で[きたない]と表記するのは字義不相応。


きたない】  #1,758

 〈汚れにまみれているさま〉〈不衛生であるさま〉の意。

 語源は[きたい]。



━─━─ № 9-3 (1,500) ─━─━

  〖ふさわしい〗(形容詞)


わしい】⚠  #1,759

 〈ちょうどり合って適した状態であるさま〉〈似付かわしいさま〉の意。


相応ふさわしい】⚯✗  #1,760

 同義のため[わしい]を遣うことをすいしょうする。



━─━─ № 9-5 (1,502) ─━─━

  〖ふわり〗〖ふんわり〗(副詞的サ変名容詞)


ふわり】【わり】【ふんわり】【んわり】⚠  #1,761

 〈軽いものが浮き漂うさま〉〈動作が非常に身軽であるさま〉の意。


ふわり】【わり】【ふんわり】【んわり】⚠⛏  #1,762

 〈柔らかくふくらんださま〉の意。

 転じて〈柔和であるさま〉の意。



━─━─ № 9-7 (1,504) ─━─━

  〖かっこう〗(サ変名詞)


かっこう】⚠  #1,763

 〈ものの姿すがたかたち〉〈ちょうどいい程度〉〈ちょうどいいころい〉の意。


かっこう】✗  #1,764

 語義不相応のため遣うことをすいしょうしない。

 この表記では〈好みをきょうせいすること〉のような意となる。



━─━─ № 9-9 (1,506) ─━─━

  〖すわる〗(ラ五段動詞)


わる】⚠  #1,765

 〈場に収まる〉の意。

 転じて〈落ち着く〉〈性格がしっかりする〉の意。

 ほか全部の語源。


すわる】⚠  #1,766

 〈場がすっきりする〉の意。

 転じて〈性格がすっきりする〉の意。


すわる】⚠  #1,767

 〈場にしりをつく〉の意。

 転じて〈地位につく〉の意。


すわる】⚠  #1,768

 〈すわる姿勢になる〉〈席にすわる〉〈ひざまづく〉の意。

 転じて〈居る〉〈居らっしゃる〉の意。



━─━─ № 9-11 (1,508) ─━─━

  〖とんでもない〗(副詞)


とんい】⚠⛏  #1,769

 〈その結果にたどり着く手段もない〉の意。

 転じて〈あるべき事ではない〉〈決してそんな事はない〉の意。

 組成として「でもない」との説明のみ一般にみられるが、この表記では{でもない}でひとまとまりの弱い打ち消し語のように受け取られるがあり、それでは断固とした当該語義から意がかいするため、語義かられない形での表記を提案するもの。

 同義に「めっそうもない」があるが、「めっそう」が〈因縁によって生じた一切のすがたが現在から消滅して過去のものとなること〉との仏教用語であり、前提知識を要するため遣うことをすいしょうしない。

 〝「とんでもない]で一つの形容詞だから「とんでもありません」は誤用〟との説がよく語られるが、分解しても意味が変じない以上、それを強制する意義は特に認められないと思われる。

 「とんもありません」を通用させる事について支障は無いと考えられ、ただ強いて言うなら「とんも御座いません」がよりていねいかと思われる。

 「跡形もない」だって副詞的に遣われるけど「跡形もありません」って言うやろ。



━─━─ № 9-13 (1,510) ─━─━

  〖おんなじ〗(名容詞)


んなじ】⚠⛏  #1,770

 〈同じ〉の意。



━─━─ № 9-15 (1,512) ─━─━

  〖とじこもる〗(ラ五段動詞)


とじこもる】⚠  #1,771

 〈閉鎖空間に入ったまま外へ出ないでいる〉の意。

 原語は〔もる〕。



━─━─ № 9-17 (1,514) ─━─━

  〖まずい〗(形容詞)


まずい】⚠  #1,772

 〈つたない〉〈みにくい〉〈具合が悪い〉の意。

 転じて〈不都合だ〉の意。

 使用ひんのわりに常用の読みではないので注意。


不味まずい】⚯  #1,773

 〈味がよろしくない〉の意。



━─━─ № 9-19 (1,516) ─━─━

  〖へいがん〗(サ変名詞)


へいがん】  #1,774

 〈目を閉じること〉の意。

 転じて〈死亡すること〉の意。

 あるいは〈邪気眼が失われること〉の(



━─━─ № 9-21 (1,518) ─━─━

  〖まつる〗(ラ五段動詞)


まつる】⚠  #1,775

 〈神聖なものを鎮める〉の意。

 転じて〈尊いものをたたあがめる〉の意。


まつる】⚠  #1,776

 〈いけにえを口実として口減らしのための間引きを実施する〉の意。

 転じて〈猟奇的な行動をとる〉〈猟奇に酔う〉の意。

 さらに転じて〈際立って騒ぐ〉〈炎上させる〉の意。

 語源は[まつる]であり、「まつりごと」の語源。


まつる】⚠  #1,777

 〈縫合部にいとせん状にまとわりつけるようにける〉〈まつり縫いをする〉の意。

 〔祀〕〔祭〕とは別起源。



━─━─ № 9-23 (1,520) ─━─━

  〖ごそり〗〖ごっそり〗(副詞的名容詞)


ごそり】【そり】【ごっそり】【っそり】⚠⛏  #1,778

 〈全てをくくって〉〈たくさんの物を残らず全部〉の意。



━─━─ № 9-25 (1,522) ─━─━

  〖ひらひら〗(サ変名容詞)


ひらひら】⚠⛏  #1,779

 〈薄いものが軽やかにひるがえって動く物やさま〉の意。

 転じて〈ひとところにとどまらない軽薄なさま〉の意。



━─━─ № 9-27 (1,524) ─━─━

  〖よそ〗(名詞)


】⚠⛏  #1,780

 〈関わりの無いけいなところ〉の意。

 転じて〈関わり無くけいだという事にしたい部分〉の意。


他所よそ】⚠  #1,781

 〈別のところ〉〈関知しないところ〉の意。

 転じて〈たなげ〉の意。

 語源は[]。



    ◆◆◆ 中節 ◆◆◆



━─━─ № 9-29 (1,526) ─━─━

  〖とじこめる〗(マ下一段動詞)


とじこめる】⚠  #1,782

 〈出入口をふさいで中から出れないようにする〉の意。

 原語は〔める〕。



━─━─ № 9-31 (1,528) ─━─━

  〖じりじり〗(サ変副詞)


じりじり】⚠  #1,783

 〈少しづつ焦げついて〉〈少しづつ焼けて〉の意。


じりじり】⚠⛏  #1,784

 〈不快感にさいなまれつづけて〉の意。

 こちらの意味で[じりじり]と表記するのは字義不相応。



━─━─ № 9-33 (1,530) ─━─━

  〖がっつり〗(サ変名容詞)


胆気がっつり】⚠⛏  #1,785

 〈たっぷり〉〈しっかり〉〈思いきり〉〈存分に〉の意。

 なお「gutsガッツ」は〈きも〉〈内臓〉〈肝心なところ〉、転じて「ガッツ」は〈胆気〉〈根性〉〈度胸〉〈底力〉の意。



━─━─ № 9-35 (1,532) ─━─━

  〖せんりつ〗(サ変名詞)


せんりつ】⚠  #1,786

 〈怖れや緊張に身体や声が震えること〉の意。


せんりつ】✗  #1,787

 語義不相応のため遣うことをすいしょうしない。

 この表記では〈恐怖にあらがう〉のような意となる。

 どこをどう探しても〔チャン〕には〈たたかう〉という字義しか見当たらず、強いて言うならば〈ふるう〉であり、〝〈ふるえる〉〈おどろく〉の意の〔チャン〕の当て字として使用されたに過ぎない〟との説もある。



━─━─ № 9-37 (1,534) ─━─━

  〖しぶがお〗(名詞)


しぶがお】⚠  #1,788

 〈惜しみに不満そうな顔〉の意。


しぶかお】⚠  #1,789

 〈はででなく落ちついた顔〉の意。

 〔渋(澁・澀)〕の〈水がその場にとどこおって流れないさま〉との字義が〈流されず落ちつきのある〉の意に転じたものと思われる。



━─━─ № 9-39 (1,536) ─━─━

  〖つばくみ〗(名詞)


つばくみ】⚠  #1,790

 〈突出〉〈突起物〉の意。

 転じて〈おうとつがあること〉〈食い違いがあること〉の意。



━─━─ № 9-41 (1,538) ─━─━

  〖おはし〗(名詞)


はし】⚠⛏  #1,791

 〈いとぐちじょ〉〈発端の端っこ〉〈手掛かりの一片〉の意。

 なお一字で{いとぐち}と読む。



━─━─ № 9-43 (1,540) ─━─━

  〖かげ〗(名詞)


かげ】⚠  #1,792

 〈光が何かにさえぎられたために照らされていない部分〉の意。

 転じて〈本体に起因して映し出される別の姿〉の意。

 対義は「かた」。


かげ】⚠  #1,793

 〈光の当たる側に対しての光の当たらない側〉の意。

 転じて〈月〉〈裏側〉〈暗部〉の意。

 対義は「」。


かげ】⚠  #1,794

 〈かげ〉〈ひさしなどが照りをさえぎっている場〉の意。

 転じて〈何者かの〉の意。

 対義は「はだ」。


かげ】⚠  #1,795

 〈何かにさえぎられてめいりょうになること〉の意。

 転じて〈くもって暗くなること〉の意。

 対義は……わからん。



━─━─ № 9-45 (1,542) ─━─━

  〖おひとよし〗(名容詞)


【おひとし】⚠  #1,796

 〈人が好きな人〉の意。

 転じて〈人の言葉を素直に聞く人〉〈おとなしい人〉〈善良な人〉〈すぐだまされる人〉の意。

 〝人から好かれる人〟や〝人柄が好ましい人〟ではない。



    ◆◆◆ 後節 ◆◆◆



━─━─ № 9-47 (1,544) ─━─━

  〖ねずみざんしき〗〖ゆきだるましき〗(名容詞)


ねずみざんしき】⚠  #1,797

 〈とんでもない速度で増えていくさま〉の意。


ゆきだるしき】⚠✗  #1,798

 前提知識を要するため遣うことをすいしょうしない。

 〈bodhidharmaボーディダルマという名のインド人仏教僧を模した像〉が「だる像」かつ{達磨}は当て字であり、〈だる像に似た形の雪像〉が[ゆきだる]である。



━─━─ № 9-49 (1,546) ─━─━

  〖ほぼほぼ〗(名容詞)


ほぼほぼ】⚠  #1,799

 〈完全と言えなくともおおむねその通りであるさま〉の意。

 なお一字で{ほぼ}{ほぼ}と読む。



━─━─ № 9-51 (1,548) ─━─━

  〖がらりと〗(副詞)


即然がらりと】⚠⛏  #1,800

 〈事態が急激にすっかり変わるさま〉の意。



━─━─ № 9-53 (1,550) ─━─━

  〖さっぱり〗(名容詞)


さっぱり】⚠  #1,801

 〈さわやかなさま〉の意。


皆目さっぱり】⚠⛏  #1,802

 〈全くもって〉〈全然〉の意。



━─━─ № 9-55 (1,552) ─━─━

  〖そっくり〗(名容詞)


そっくり】⚠  #1,803

 〈全部〉〈まるまる〉の意。

 転じて〈まる写し〉〈非常によく似ているさま〉の意。



━─━─ № 9-57 (1,554) ─━─━

  〖こうりゅう〗(サ変名詞)


こうりゅう】⦅手段⦆  #1,804

 〈何かの目的のための手段としてひっつかまえておくこと〉の意。


こうりゅう】⦅目的⦆  #1,805

 〈留めおきという行為自体が目的の処分〉の意。


☞ {)ける}{こだわる}との訓読みの違いが、区別のポイントにできるものと考えられる。



━─━─ № 9-59 (1,556) ─━─━

  〖やしなう〗(ワア五段動詞)


やしなう】⚠  #1,806

 〈世話をやいて育てる〉〈飼う〉〈心身をだいじにする〉の意。


やしなう】⚠  #1,807

 〈食べ物を与える〉〈食わせて命をながらえさせる〉の意。



━─━─ № 9-61 (1,558) ─━─━

  〖ばらつく〗〖ぱらつく〗(カ五段動詞)


ばらく】【ぱらく】⚠  #1,808

 〈ばらばらに乱れ散る〉〈しずく状のものがすこし降ってくる〉の意。



━─━─ № 9-63 (1,560) ─━─━

  〖さらう〗(ワア五段動詞)


さらう】⚠  #1,809

 〈水底の土砂などをすくう〉の意。

 転じて〈くまなく検分する〉〈復習をする〉の意。


さらう】⚠  #1,810

 〈人をかどわかす〉の意。


さらう】⚠  #1,811

 〈物をかすめとる〉の意。

 ちなみに〔略〕が〔掠〕の字の代わりによく当てられるが、〔略〕は〈計略〉、〔掠〕は〈実力行使〉と、微妙に意は異なる。



━─━─ № 9-65 (1,562) ─━─━

  〖ゆえん〗(名詞)


えん】⚠  #1,812

 〈油質をいて出したすす〉の意。


えん】⚠  #1,813

 〈ゆかり〉〈いわれ〉の意。


ゆえ】⚠⛏  #1,814

 〈理由〉〈根拠〉の意。

 原語は〔ゆえ〕であり、その音便により{ん}がされたものだが、強いて漢字を当てるならばこの表記がとうと考えられる。


所以ゆえん】⚯✗  #1,815

 字義不相応のため遣うことをすいしょうしない。

 漢語由来であるが、〈だから〉〈したがって〉のような意の副詞として機能するもの。

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