哲学魔王の【辞書】

７．強襲 ～より

７．前節／中節

　　　　◆◆◆ 前節 ◆◆◆

━─━─ № 7-1 (1,250) ─━─━

　　〖くだらない〗（形容詞）

【下（くだ）らない】　 #1,535

　〈降下しない〉〈起点よりも遠方へ向かわない〉の意。

【件（くだ）らない】⚠⛏　 #1,536

　〈取り沙（ざ）汰（た）するほどの価値がない〉〈詰まらない〉の意。

　こちらの意味で［下（くだ）らない］と表記するのは字義不相応。

━─━─ № 7-3 (1,252) ─━─━

　　〖さっさと〗（副詞）

【颯（さっ）々（さ）と】⚠　 #1,537

　〈すばやく動作をするさま〉〈迷ったり手間取ったりしないさま〉の意。

━─━─ № 7-5 (1,254) ─━─━

　　〖しな〗〖し〗（副助詞）

【序（しな）】【序（し）】⚠⛏　 #1,538

　〈順序〉〈順番〉〈たどる道すじ〉の意。

　転じて〈ものの序（つい）で〉の意。

　組成は〔為（し）並（な）〕と思われる。

━─━─ № 7-7 (1,256) ─━─━

　　〖ぼそぼそ〗（サ変名容詞）

【放（ぼ）密（そ）ぼそ】⚠⛏　 #1,539

　〈声が低くて聞き取りにくいさま〉の意。

　〈弱々しくたよりない〉の意の〔細（ほそ）々（ぼそ）〕の濁音減価。

【褸然（ぼそぼそ）】⚠⛏　 #1,540

　〈水分や粘りがなくまとまりのないさま〉の意。

　〔褸（ぼ）然（さ）ぼさ〕の崩し。

━─━─ № 7-9 (1,258) ─━─━

　　〖叛（はん）骨（こつ）〗（名容詞）

【叛（はん）骨（こつ）】⚠　 #1,541

　〈人へ容易に与（くみ）しない精神〉〈大河に逆らう精神〉の意。

　ここでの［骨（こつ）］は〈精神〉の意の「気（き）骨（こつ）」の意。

【反（はん）骨（こつ）】✗　 #1,542

　より適切なため［叛（はん）骨（こつ）］を遣うことを推（すい）奨（しょう）する。

　一応〔叛〕〔反〕ともに〈正面に背を向ける〉の意であるものの、〔叛〕は｛屰（ほこ）（≠半）｝を伴って攻撃的な意味合いを含むのに対し、〔反〕は単に〈逸（そ）れ上がる〉の意である。

━─━─ № 7-11 (1,260) ─━─━

　　〖おちゃをにごす〗（成句・サ五段動詞）

【お茶（ちゃ）を濁（にご）す】⚠　 #1,543

　〈その場しのぎの対応をとるさま〉〈いい加減な言葉で取り繕うさま〉の意。

　〝苦（く）茶（ちゃ）シリーズ〟含め、お茶を台無しにされるのほんと大（だい）嫌（きら）いだな日本人。

━─━─ № 7-13 (1,262) ─━─━

　　〖さがす〗（サ五段動詞）

【探（さが）す】　 #1,544

　〈未知の対（たい）相（しょう）を見付けようとする〉の意。

【捜（さが）す】　 #1,545

　〈既知の見失った対（たい）相（しょう）を見付けようとする〉の意。

【索（さが）す】⚠　 #1,546

　〈一定の範囲から目的にかなう対（たい）相（しょう）を見付けようとする〉の意。

━─━─ № 7-15 (1,264) ─━─━

　　〖そうつい〗⛏（サ変名詞）

【捜（そう）追（つい）】⚠⛏　 #1,547

　〈捜（さが）して追い掛けること〉の意。

━─━─ № 7-17 (1,266) ─━─━

　　〖かしゃくおうのう〗⛏（サ変名詞）

【呵（か）責（しゃく）懊（おう）悩（のう）】⚠⛏　 #1,548

　〈自責に苦しみ悩みに悶（もだ）えること〉の意。

　［呵（か）責（しゃく）］は〈責めにて苦しめること〉、［懊（おう）悩（のう）］は〈悩んで悶（もだ）えること〉の意。

━─━─ № 7-19 (1,268) ─━─━

　　〖こみゃくほんとう〗（サ変名詞）

【鼓（こ）脈（みゃく）奔（ほん）騰（とう）】⚠⛏　 #1,549

　〈沸（ふっ）騰（とう）せんばかりの激しい動（どう）悸（き）〉の意。

　［鼓（こ）］は〈鼓動〉、［脈（みゃく）］は〈脈拍〉、［奔（ほん）騰（とう）］は〈はなはだしい勢いでのぼること〉の意。

━─━─ № 7-21 (1,270) ─━─━

　　〖じか〗〖ちょく〗〖じきじき〗〖じき〗（名容詞）

【直（じか）】【直（ちょく）】【直（じき）々（じき）】　 #1,550

　〈間に何も挟（はさ）まないさま〉の意。

【直（じき）】　 #1,551

　〈距離や時間が近いさま〉の意。

━─━─ № 7-23 (1,272) ─━─━

　　〖しっかり〗（サ変名容詞）

【聢（しっか）り】⚠　 #1,552

　〈堅固なさま〉〈確かであるさま〉の意。

━─━─ № 7-25 (1,274) ─━─━

　　〖ひょっこり〗（サ変名容詞）

【飄（ひょっ）乎（こ）り】【飄（ひょ）っこり】⚠⛏　 #1,553

　〈思い掛けないときに現れたり出会ったりするさま〉の意。

━─━─ № 7-27 (1,276) ─━─━

　　〖すんなり〗（サ変名容詞）

【娜（すん）態（なり）】【娜（す）んなり】⚠⛏　 #1,554

　〈すらりとしなやかなさま〉の意。

【綏（すん）態（なり）】【綏（す）んなり】⚠⛏　 #1,555

　〈引っ掛かりなくなめらかであるさま〉〈抵抗感のないさま〉の意。

━─━─ № 7-29 (1,278) ─━─━

　　〖なげやり〗（名容詞）

【投（な）げ遣（や）り】⚠　 #1,556

　〈物事をいいかげんに行うこと〉〈結果をよくしようという努力を放棄すること〉の意。

【投（な）げ槍（やり）】⚠✗　 #1,557

　語義不相応のため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

　この表記では〈投（とう）擲（てき）用の槍（やり）〉〈投（とう）擲（てき）された槍（やり）〉の意となる。

━─━─ № 7-31 (1,280) ─━─━

　　〖とって〗（名詞）

【把（とっ）手（て）】⚠　 #1,558

　〈knob（ノブ）〉〈lever（レバー）〉〈操作を伝えるつまみ〉〈力点〉の意。

【操（とっ）手（て）】⚠⛏　 #1,559

　〈arm（アーム）〉〈cursor（カーソル）〉〈操作できる手足〉〈作用点〉の意。

【取（と）っ手（て）】✗　 #1,560

　語義不相応のため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

　この表記では〈taker（テイカー）〉〈拾得を業とする者〉のような意となる。

━─━─ № 7-33 (1,282) ─━─━

　　〖ばね〗〖ぜんまい〗（名詞）

【撥條（ばね）】【撥条（ばね）】⚠⛏　 #1,561

　〈物体の弾性を利用した動力またはその器械〉の意。

　語源は〔撥（は）ね〕の濁音減価〔撥（ば）ね〕であり、本当はその略記である〔𫝼｛⿰扌発｝〕と書きたいところだが、そちらは残念ながら環境依存文字である。

　〔条〕は〔條〕の異体字でどちらでもよく、ともに〈枝〉〈繊（せん）維（い）〉の意。

【薇（ぜんまい）】⚠　 #1,562

〈渦（うず）巻（ま）き状の新芽をもつ歯（し）朶（だ）植物〉

　組成は〔銭（ぜに）巻（まい）〕。

　薇（ぜんまい）の乾物は超高級品である。

【撥薇（ぜんまい）】⚠⛏　 #1,563

　〈薇（ぜんまい）型の撥條（ばね）〉の意。

　語源は〔薇（ぜんまい）〕であるが、［ぜんまい］が撥條（ばね）そのものを指すわけではなく、正確には「薇（ぜんまい）撥條（ばね）」とでも呼ぶべきものである。

【発條（ばね）】【発条（ばね）】⚯✗　 #1,564

　語義不相応のため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

　この表記では〈条件を発する〉のような意となる。

【撥條（ぜんまい）】【撥条（ぜんまい）】⚯✗　 #1,565

　語義不相応となる場合が想定されるため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

　撥條（ばね）は必ずしも薇（ぜんまい）撥條（ばね）ではない。

━─━─ № 7-35 (1,284) ─━─━

　　〖あっさり〗（サ変名容詞）

【浅（あ）っさり】⚠⛏　 #1,566

　〈しつこくなく〉〈さっぱり〉の意。

　転じて〈簡単に〉〈容易に〉〈安易に〉の意。

━─━─ № 7-37 (1,286) ─━─━

　　〖もぬけのから〗（成句・名詞）

【蛻（もぬけ）の殻（から）】⚠⛏　 #1,567

　〈脱皮をする動物の抜け殻（がら）〉の意。

　転じて〈目当てのものが脱出したあとの住（すみ）処（か）〉の意。

　［蛻（もぬけ）］の組成は〔裳（も）抜（ぬ）け〕であり〈脱皮をする動物〉の意。

━─━─ № 7-39 (1,288) ─━─━

　　〖はりぼて〗（サ変名容詞）

【張（は）り籠（ぼて）】⚠⛏　 #1,568

　〈一定の形をした籠（かご）に紙や布などを張り付けた内部空（くう）洞（どう）の飾り物〉の意。

　転じて〈中身が空（くう）洞（どう）な物〉〈見掛けだけ立派で実質が伴わないもの〉の意。

【張（は）り布（ぼ）袋（て）】⚠✗　 #1,569

　前提知識を要するため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

　［布（ぼ）袋（て）］は〈布（ぬの）袋（ぶくろ）を持つ肥え腹姿の福神〉の意の〔布（ほ）袋（てい）〕の濁音減価。

　　　　◆◆◆ 中節 ◆◆◆

━─━─ № 7-41 (1,290) ─━─━

　　〖ふつくに〗（副詞）

【悉（ふつ）くに】【悉（ふつく）に】⚠　 #1,570

　〈ことごとく〉〈すっかり〉の意。

━─━─ № 7-43 (1,292) ─━─━

　　〖つまびらかす〗（サ五段動詞）

【審（つまび）らかす】⚠　 #1,571

　〈詳細を明らかにする〉の意。

【詳（つまび）らかす】⚠　 #1,572

　〈詳細を明らかにさせる〉の意。

━─━─ № 7-45 (1,294) ─━─━

　　〖よそおう〗〖よそう〗（ワア五段動詞）

【装（よそお）う】【装（よそ）う】⚠　 #1,573

　〈支度する〉〈準備する〉〈装（そう）填（てん）する〉〈充（じゅう）填（てん）する〉の意。

【粧（よそお）う】【粧（よそ）う】⚠　 #1,574

　〈外観を整える〉〈美しく飾る〉の意。

　転じて〈別物に見せかける〉〈ふりをする〉の意。

━─━─ № 7-47 (1,296) ─━─━

　　〖すっからかん〗（名容詞）

【素（す）っ空（から）閑（かん）】⚠⛏　 #1,575

　〈からっぽで中身が何ひとつ無いこと〉の意。

　なお［閑（かん）］は〈仕切られた空間〉転じて〈空白〉の意。

　ちなみに〝組成は漢語の「素（スー）光（グゥァン）了（ラ）糠（カン）」である〟との説があるが、その通りだとしても〈何もない〉の意としての「光」「糠」が日本語的に通用しないと思われる。

　ほか同義に「伽（が）藍（らん）洞（どう）」「伽（が）藍（らん）堂（どう）」があるが、「伽（が）藍（らん）」は〈僧（そう）侶（りょ）が集合して修行をする場〉との仏教用語であり、前提知識を要するため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。