第32話 終業式
「では、夏休みだからと言って気を抜きすぎず……」
このセリフを小学生の頃から何度聞いたことか。
これを聞くと、あぁ〜夏休みが来るなぁーと思えるのだ…………て言うのは冗談で、早く話を終わらせてくれとしか僕は思わない。
今日は1学期最後となる終業式の日、と言うことは明日から夏休みという事!!
友達とかいない僕からしたら普通に休みが沢山あるだけで、いつもの土日と何ら変わらない……。
早速、夏休み初日からバイトだしね。
普通の男子なら、「夏休み初日からバイトとか、マジで最悪だぁー」とか言ってそう。
だが、僕は違う。寧ろ、全然バイトしたいとまで思っている。
理由はまぁ、明白。
バイトが柚花と一緒だと言う事。それも夏休み全てを一緒にしている。2人で話し合ってどこを休んで、どこを出るか決めたのだ。
柚花に対しての気持ちを認めてからは、柚花との日常がより楽しくなったように思える。
さらには、ドキドキすることも多くなったのだが、とりあえ今は忘れることにする。
ちなみに今日は金曜日。
今週は月曜日、火曜日でテストがあり、水曜日、木曜日でテスト返却、そして今日終業式とよくよく考えたら忙しい1週間ではあるが、日曜日に柚花と決めた夏休みの予定が楽しみすぎて、この1週間はあっという間だった。
結局、僕も柚花も一歩も譲らず山と海どちらが素晴らしいかをプレゼンするぐらいまで発展してしまった。
いくら時間をかけても決まりそうもないので、7月に海、8月に山に行くこととなった。
今日はバイトの後、詳しくどこに行くか決めようと思っている。
本当はこの1週間で決めたかったところだったのだが、なんせテストがお互いあったためそんな余裕が無かったのだ。
話が逸れたが、そんなこんなで気付いたら金曜日、終業式となっていたのだ。
僕がどれだけ浮かれていたか伝わっただろう……僕からしたら、しょうがないとしか言えないけどさ。
「では、2学期に元気な姿で会いましょう。解散」
お!やっと長い長い先生の話も終わったみたいで帰れそうだ。
まだ教室で成績表が配られるのだが、そんなのもあっという間に終わるだろう。
僕自身、あまり人を好きになったことがない。可愛いから好きかも?みたいな男子特有の気持ちなら、ないとは言えないけどここまで全てを引っくるめて人を好きになるのは初めてだと思う……。
柚花自身が僕に対してどう思っているのかはわからない。
こちとら年齢=彼女居ない歴なのだ女子の恋心なんてわかってたまるか。
だとしても、嫌われていることだけはないだろうと思っている。
最低でも友達以上だとは思ってくれているだろう。そう信じたい!
夏休みを通じてもっと柚花との距離を縮められたらなと思う。そして、僕に気持ちを伝える覚悟ができたなら………………やっぱり自信ないし夏休み中には無理かな。
もし僕が柚花に気持ちを伝えたならどんな反応をしてくれるだろうか。
自分に自信がある男子ならもうとっくに告白でもしているのではないかと思うぐらい柚花とは仲がいい。
だからこそ、仲がいいからこそ、どこかで少しでも間違えたらこの関係は簡単に崩れてしまいそうな気がするのだ。
後々柚花を、自分のものにしたい、独占したいと考えているのであれば越えなければならない壁なのだが、どう考えても越えられる気がしなかった。
だが、今の僕には頑張る以外の言葉ない。
先程も言ったがなんせ年齢=彼女居ない歴だからな!考えても無駄なのだ!
先生から通知表をもらい、最寄りの駅に向かって歩く。
高校に入りはじめての夏休み。柚花とどんな思い出ができるのだろうか。とても楽しみだ。
駅まで後少しのところで、僕は見知った人を見つけた。
いつもなら声をかけないんだけど、今日だけは特別と言うことで声をかけさせてもらう。
「おーい!柚花」
「あ!!凛くん!」
振り返って僕だと分かるや否やとても可愛い笑顔で柚花はこちらへ来た。
ね!こんなの惚れない方が無理だって。
「珍しいですね!こんなところで声をかけてくれるなんて!」
「まーね!今日からだし」
「そうですね!今日からですね!」
やっぱり考えてることは同じのようだ。
「「夏休み楽しみだね!」ですね!」
今日から僕と柚花の思い出が沢山作れるであろう(そう、信じている!)夏休みが始まった。
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32話読んで頂きありがとうございます!
やっとあげられた、、お待たせしました。
これにて一章は終わりです。
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