とある少女たちの話 ~デート見守り編~
【一ノ瀬君〈プリンス〉を尊ぶ集い】
匿名グループチャット
〇ルール〇
・動画、画像掲載禁止!
・主へ近い人の誹謗中傷もしないこと!
まき:週末になんと! プリンスと希華さんがデートするって!!
ゆきみ:遂に来たのね……。
過呼吸:この日をどれだけ待ったか。
なつ:……歩美IDどうしちゃったの?
過呼吸:みんなが弄るんだもん……。
なつ:あ、うん、何かごめん……。
まき:未だ過呼吸起こしてる子はほっといて作戦会議だよ!
過呼吸:最近は起こしてないもん!!
エリカ:希華様のあの笑顔、私も心が洗われましたわ、なんとしても上手くいって欲しいですね。
まき:あの後及川君が話し掛けてすぐに真顔になってたけどね。
エリカ:アイツ殺す、男だからって調子乗んなよ。
チカ:エリちゃん戻ってる、昔みたいに戻ってる!
なつ:男の子殴ったら社会問題になるって……。
エリカ:ふふ、一ノ瀬様と希華様のためなら私はどうなっても構いませんわ。
過呼吸:エリカさんの信仰心は凄まじい……、というかまきたちいつの間に早川さんを名前呼びに?
まき:この間希華さんから『……名前で呼んで欲しいな』って言われてから変えたんだ〜。
チカ:……そのセリフを脳内で想像したら威力やばいんだけど。
まき:うん、アタシ意識飛びそうになった。さすがだよ希華さん。
ゆきみ:わたしら同性でもドキッてするくらい綺麗だもんねぇ……。
過呼吸:でもプリンスの名前呼びは未だ誰も居ないという……。
エリカ:一ノ瀬様の名前呼びで許されるのは選ばれた人だけですわ、私たちには恐れ多い……。
なつ:一ノ瀬くん案外聞いたら「いいよ!」ってあっさり言ってくれそうだけどね、聞けないけど。
過呼吸:今の学校の男子から漂う話しかけんなオーラがヤバい、プリンスはあんなに楽しそうにお喋りしてくれたのに他の男子はやっぱりこうなんだなって思うよね、というかプリンスに会いたい。
ゆきみ:わたしはプリンスとクラス違うけど相変わらずクラスの人気者だったよ。
過呼吸:プリンスはやっぱりクラスのプリンスなんだね、ひと月前がもう懐かしいよ……。
まき:卒業式がもう懐かしいね、今でも写真待ち受けにしてるよ。
チカ:額縁に飾って毎日拝んでるよ。
過呼吸:毎晩捗ってます。
かこ:メッセ開いたら最低な一言が……。
過呼吸:かこはしてないって言うの!?
かこ:ごめんなさい昨日もしましたー!
さち:そういえば誰か昨日の東葛駅での事件に居合わせた?
なつ:事件? そんなの会ったの?
さち:何か人がバタバタと倒れたって……。
まき:こわいこわい。
ゆきみ:覇気でも使ったのかな?
みゆ:……あたし知ってるよ。
過呼吸:お、当事者?
エリカ:何があったんですの?
みゆ:簡単に言うならプリンスが公共の場で浄化してた。
チカ:駅で浄化してたの?? いいなぁ~、久しぶりに拝みたかった……。
みゆ:唇にキスだけどね。
ゆきみ:……は?
なつ:噓でしょ、アレを見た人は一生分の運を使いきったって言われる幻のキスを!?
過呼吸:はっ……はぁっ……!!
なつ:過呼吸起こすな。
みゆ:尚且つ理奈ちゃんもキスしてて、早川さんとやきもち合戦してた。
過呼吸:はぁっ、はぁっ……ああぁぁーーっ!?
なつ:歩美が死ぬ!?
チカ:歩美じゃなくても過呼吸起こすよこんなの。
かこ:動悸が止まんないんだけど。
過呼吸:何故私は……昨日日直だったのっ、幻のキス見たかった……っ!!
まき:気持ちはわかる、アタシも昨日いつもより早く出てたし。てか柚月さんようやく恋人になったんだね。
みゆ:うん、キスしてた時はびっくりしたけどおめでたいよね。
さち:あまりにもじれったくてやらしい雰囲気にしようといつも思ってた。
チカ:見たかったな(笑)
ゆきみ:ところで何の話だったっけ?
まき:えぇとね、プリンスと希華さんがデートをするって話で……。
――デート当日――
まき:各員配置に着いた?
なつ:オッケー、駅でバッチリ待機してる。
過呼吸:さくら通り前の路地で待ってる。
さち:駅に着いてそわそわしてる早川さん眺めてよだれ垂らしてまーす。
みゆ:ちゃんと仕事しろ。……あとで動画送ってね?
さち:オッケー!
エリカ:やっぱり周りもなんとなく雰囲気を感じてるのか駅に集まってますわね。
まき:だね、デートする時のプリンスと希華さんあからさまに『楽しみオーラ』が普段からにじみ出るから。
過呼吸:素直な二人てぇてぇ……。
ゆきみ:週刊誌の記者もいるね、昔のデート失敗事件を思い出すね……。
さち:記者や他の人が群がって騒ぎになっちゃったんだよね。
チカ:あれ以降二人ともどこかにデートしに行くの無くなっちゃったね……。
みゆ:あたしも群がった一人なんで……反省してます。
なつ:だから今回こそ二人には成功してもらわないとね!
チカ:あ、今プリンスが家出たよ!
まき:了解、いよいよね……。
チカ:何事も起きなきゃいいけどね、……、あ。
なつ:どしたの?
チカ:歩美ちゃんがプリンスに見つかった。
エリカ:何やってんですの?
ゆきみ:早くも暗雲が……、てか歩美ちゃんプリンスとお喋りしてるってことだよね? 折檻案件だよこれ。
みゆ:ふふふ……楽しみだね歩美。
過呼吸:……久々のプリンスの匂い、生笑顔、生ボイス堪能させてもらいました。
エリカ:歩美、後でツラ貸しな。
過呼吸:ひいいぃぃっ!?
さち:一ノ瀬君と早川さんが東葛駅出るまでの作戦なのに最初っから躓いてるね……。
チカ:でもプリンス何も気にしてる感じなさそうだよ、スキップしそうなくらいテンション高いし。
まき:そろそろ着きそうだね、みんなで暴徒たちを抑えようね。
なつ:こっちからも一ノ瀬君見えたよ、……早川さんが隠れたけど。
まき:プリンスに後ろから近づいて……あ。
――
まき;えー、今回の反省点を振り返ります。
なつ:いやぁ、あれはヤバい。散々クラスで浄化見てたけどアレはヤバい。
かこ:尊すぎて蒸発するかと思った……。
エリカ:あれが先日の事件でしたのね……、倒れるのもわかりますわ。
ゆきみ:第一声の『だーれだ?』で気を失いました。
チカ:うちは正解発表でやられました。
まき:振り返ってもらってる通りアタシたちも耐性がクソ雑魚だったのが反省点です。
かこ:一回見た私もノックアウトだから、生き残った人いないよね。
みゆ:駅で待ち構えた人全員倒れたのである意味大成功でーす(笑)
過呼吸:なんで私はあの場にいなかった……っ、幻のアレが見たかった……っ!!
エリカ:お前だけ一ノ瀬様と話しただろ。
過呼吸:ごめんなさい。
まき:さて、アタシたちも解散しようか。
みゆ:結局周りもこないだのアレ見たさに集まってただけだったっぽいしね。
なつ:暴徒なんていなかったね、記者も遠くから様子を記事にしようとしてただけだったし。
かこ:この地区のみんながデートを見守ろうとしてたんだね。
ゆきみ:二人は地区の誇りだからね。
過呼吸:じゃあ解散だね、私はお母さんに買い物頼まれてたから行くね!
エリカ:お前は残ってろ。
さち:お説教がまだだよね?
まき:折檻も。
過呼吸:みんな忘れてなかったーっ!!(泣)
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