【 クリスマス・イブ 】


「今日、みんなで一緒に夕食でも食べましょう」


 私はそう提案した。

 今日はクリスマス・イブ。愛し合うふたりの聖なる夜。


「ほら、丸鶏のローストチキンよ。美味しそうでしょ。一緒に食べましょう」


 そう言って、買って来た一羽まるごとの大きな狐色のローストチキンを見せる。


「あ、ああ、そうするか……」


 父はそう言い、彼女とリビングのソファーへ向かう。

 ソファーに腰掛け、テーブルの上にあったタバコを一本箱から取り出し、ライターで火をつける。

 「ふぅー」と煙を吐いてから、テレビをつけると、大好きなお笑い番組を大きな声を出しながら、ふたりで笑って見ていた。


 私は買って来たローストチキンをもう一度、軽くオーブンで焼く。

 焼き上がると、香ばしい匂いが部屋中に漂う。


「おっ、何か美味しそうな匂いがするな」


 父の食欲にも火がついたようだ。

 ダイニングテーブルを囲み、そのローストチキンを堪能する。


「うん、うまいなこれ」

「そうね、美味しい」


 父と彼女は、美味しそうにローストチキンを平らげた。


「今日は、クリスマス・イブだから、シャンパンを買ってきたの。一緒に飲みましょ」


 私がそう提案すると、「ああ、いいね」と父が応えた。

 再び、父と彼女はリビングのソファーでくつろいでいる。


 私はキッチンで、みんなのシャンパンをグラスに注ぐ。


 その内の2つに、今日買って来たある物をこっそり混ぜて……。



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