第5話 そして、みんなに聞いてもらいたいこと

 そうした経緯により、これまで毎年売上げが低下していた工場の出荷額が、一気に増加した。


 新たに加わった建材製品の売上増加やコストダウン活動により、計画数字以上の利益を達成するようになったのである。


 私達は本当に手を取り合って喜んだ。


 いつ整理統合されてもおかしくなかった工場が、みんなの協力のおかげで利益を産み出す工場に変わっていくことになったのだ。


 とうとう秋田工場は、社内で優秀賞の表彰まで受けることになった。


 従業員みんなの喜ぶ顔が本当にまぶしかった。そして従業員や外注さんからお礼を言われた時には、私は単純にオイオイと泣いてしまった。


 本当に嬉しかった。みんなにも心からおめでとうと言葉を掛けたのである。


 今日は、こうした私の経歴を書こうと思った。


 それは、夢も希望も持たないまま、オイルショックの不況期から始まり、流れに身を任せて歩んで来た道のりであった。


 何度も辞めようと思ったし、一度は退職しようと父に電話も入れた。仕事への夢や希望も持てなかったし、喜びも見いだせなかった。


 おそらく冷めたやる気の無い人間であったと思う。


 しかし、現場に出て、みんなで汗を流し、すっかり変わってしまった。ものづくりの喜び。そしてチームのみんなで協力して目標を達成する喜び。


 もちろん苦しいこともあるけれど、みんなで協力すれば頑張れる。そしてまた乗り越えられる。


 その乗り越えた時には、何とも言えない達成感や充実感がある。


 みんなにも、そうした現場の苦労の中にある喜びのようなものを伝えられれば良いと思って、今日は書いてきた。


 みんなが自分達の人生をあきらめないで、とにかく続けて貰いたいと思っている。


 みんなと心を通じて、汗をかいて頑張っていれば、きっと楽しくなってくると思っている。


私は、どんな人にもしあわせになって貰いたいし、しあわせになる義務があると思っている。



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現場のものづくりで、初めて汗をかき苦労をしたけれど、とても楽しかったわけ! Ochi Koji @vietnam

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