いぬである。
森下 敬(siro)
ねこである。
やぁやぁ、よく来てくれたね。このところ、うちにねこやいぬを捨てていく人が多くて困ってたんだ。引き取ってもらえれば、これ以上ない幸いだ。
この子なんてどうかな。ふわふわした毛並みが印象的だろう。
この子もいいだろう。
え?犬か猫か決め切れない?なるほど、どちらもとても愛嬌がある。とてもよろしい。
そうじゃない?二人で飼うのに、犬か猫か派閥分かれをしている?
それはとてもよろしくない。折角可愛い動物を飼うんだから、喧嘩しちゃあいけないな。
ああそうだ、この猫は、犬みたいに鳴くんだな。ならば、相対的にはこの猫はいぬだな。相対的にいぬであるとする。足元の猫の集団にこのいぬ猫を戻してみる。いぬ猫はみゃおんと吠える。
みゃおん。
他の猫が逃げ出す。やっぱりこの様子じゃ相対的にいぬだ。いや、相対では既に犬だ。段々と絶対的に犬になっていく。較べるまでもなく、犬になる。猫はいぬ猫になって犬ねこになって犬になる。
どうみても犬である。犬になった。
ところでこの犬は、猫みたいに鳴くんだな。
いぬである。 森下 敬(siro) @siro021428
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