コーヒーは少し甘くていいくらい魔法がある、美しい日常的ライフストーリーです。
書籍としてなら2〜3日ですらすら読める長さで、文章がとても整っていて、最初から最後まで全体的に(テーマ、キャラクター、台詞など)抜けがないよう書かれていると感じます。読んでいると自分は本屋で少し挿絵がある綺麗なこの本をこっそり立ち読みしている気分になりました。
魔法のメンションをうっかり過剰に説明する作品は多いですが、陽咲乃さまはストーリーテリングが中心でしっかり進めるのは、上手な執筆者の意識だと言えて本当に感動しました。もっともっと読者がいておかしくないと感じます。
立ち読みが完了しました、逃げますー
現代では希少となった「魔法使い」の子孫たちが暮らすまち、花森。
無自覚で使っていた魔法が原因で職場に居づらくなってしまった陽菜は、ひいおばあちゃんが住んでいたという花森へと居を移す。
そこは、魔法使いの子孫たちが暮らす隠されたまちだった。
陽菜はそこで心を癒され、次々と嬉しい交流が生まれていく。
不思議な力を持っている人たちが、その優しさゆえに数を減らし
ひっそりと生きているさまは、恩田陸の『遠野物語』シリーズを想起させます。
陽菜のほかにも様々な住民が登場しますが、皆ハッピーエンドで安心して読むことができます。
現代社会でささくれだった心を癒したい方には、ぜひおすすめしたい作品です。