新大関誕生【大相撲】

 記念すべき一回目の投稿です。


 先週の日曜日に千秋楽を迎えた大相撲ですが、優勝したのは御嶽海でした!

 幕内最高優勝、通算3回目。王者の風格漂う照ノ富士を寄り切った千秋楽の一番は圧巻でした。


 長い間、大関候補と呼ばれていたのになかなか昇格できず、「やっとなれたかぁ」と言う好角家こうかくか(相撲ファン)も多いはず。


 解説をされている舞の海さんも、「もっと早く、こうならなければいけませんでしたね」、と仰っていました。


 たしかに御嶽海の相撲センスは抜群で、入門当初から評価の高い力士でした。

 デビューから三年余で幕内優勝を果たすなど、実力も人気も折り紙つき。


 だけど・・・

 よく言われていたのが、稽古嫌い!!

 本場所では、力を発揮するのに、稽古の時は弱っちぃ・・・

 強い相撲を取るときと、あっさり負けるときの差が激しくて、手を抜いているとか、ムラが激しい、なんて揶揄される事も多く、その原因が稽古不足とされていたから、すっかり練習嫌いのイメージが定着してしまいました。


 それを実証するかのように、関脇、小結という番付に安定して居座り続ける事は出来るものの、大関にはなかなか手が届かず、時間だけが過ぎていくのでした・・・


 センスだけで相撲をしている、

 もっと真面目に稽古すれば、大関どころか横綱だって、

 そんな声もたくさん上がっていましたし、私もその通りだと思っていました。


 もっとやれるのに、やらないからね

 なまけものだから、十五日間は持たないんだよね

 期待はするけど、結局は駄目だろうね

 ソコソコの力士で終わっちゃうんじゃない、もったいないよね


 そんな声が上がり続け、気付いたら入門から七年目、二十九歳

 両国国技館で、御嶽海、と書かれたタオルを掲げて絶叫していたあの日が懐かしい

 御嶽海ブームをもう一度・・・ 心の奥で願っていましたよ

 

 だって今の大関は、あまりにもお粗末なんだもの

 全力でぶつかってひと場所おきに壊れてしまう、貴景勝関はまだ良い

 正代関は・・・(これ以上は切なくなるから言わない)

 誰かが昇格しないと、大関がひとりもいなくなっちゃう? なんて事態も・・・


 そして迎えた今場所・・・

 これは嘘じゃないんですよ、顔つきが違うなって感じたんです。

 悪そうな目つき、なんだか悪魔に魂を売っちゃったみたいな・・・

 目尻に黒い線を引くと悪者の顔になりますよね、あんな感じに見えたんです。


 これいけるんじゃない!と思って、裏切られる事は何度もありました。

 でも今場所は、悪魔顔が揺らぐ事はなく、最後まで駆け抜けました。

 そして優勝、大関昇進!!

 

 そこで舞の海さんは言いました。

「もっと早く、こうならなければいけませんでしたね」


 でも、私が崇拝する解説者、北の富士さんは言いました。

「色々とあってこういう形になった。これが一番良いタイミングだったという事でしょう」、と。


 このコメントを、私なりに掘り下げてみました。


 人にはそれぞれ進むべきスピードと言うのがある。

 早歩きの人も居れば、歩みが遅い人も。

 周りの人は、あいつはもっと早く歩けるのに、と言うかもしれない。

 だけど、彼は、自分にとって最適のスピードで歩んできた。

 早く歩こうと、思えば歩けたけど・・・


 早く歩けば、目標に早く到達出来たかもしれない。

 でも早歩きをした分、見落としてしまった景色があったかもしれないし、早く歩いた事で身体に無理な負担が掛かっていたかもしれない。

 目標に早く着きすぎて燃え尽きてしまう事だってあり得る。


 ゆっくり歩んで来たから出世は遅れてしまった。

 でも、大きな怪我をする事無く、じっくりと力を溜め込む事が出来た。

 それに、たくさんの経験を積んで、困難に立ち向かう術を身につける事が出来た。

 時間が掛かってしまったのは、けっして悪い事じゃない。

 

 そう解釈すると、「もっと早く、こうならなければいけませんでしたね」、というコメントがやけに陳腐に聞えます。


 さすが、北の富士さん、コメントが奥深いです。


 長野県民待望の新大関・御嶽海

 大関昇進の伝達式で、彼はこう言いました。


「大関の地位を汚さぬよう、感謝の気持ちを大切にし、自分の持ち味を生かし、相撲道に邁進(まいしん)してまいります」


 感謝の気持ちを大切に

 自分の持ち味を生かし

 この言葉に御嶽海関の、本質が表れているような気がします。


 両国国技館で観戦する日を心待ちにしていますヨ。

 御嶽海タオル、探しておかなきゃ!

 五月場所、行きたいなぁ~


 スポーツって、やっぱりイイですね。

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