第17話 クリスマスの雪




会社の他部署を回っていた大河が

帰って来た。


椅子に頭をうなだらせグルグル

回る泰真を発見した。


「コラ、コラどした❓」

大河はなんとも、だらしなくしてる

泰真の背中を小突いた。



「アイツが・・・」


「アイツ?だれだ?

あーあ、茉穂ちゃんか?」

大河は上着を脱ぎながらコーヒー

メーカーでコーヒーを沸かし始め


「あー疲れた」

ついつい大河の口から疲労感、

オマケに首を傾けコキコキする大河に

泰真は

「おつーかれぇさ〜ん」

とつぶやいた。

何とも気の抜けた返しに


大河の口元からフッと笑いも漏れてくる。何があったか一目瞭然クスッ


「ツイに振られたか、まあしゃーないな」


ガバッ

と項垂れた椅子から頭を持ち上げた

泰真が「は?振られて・・無い」

と自信無さげに呟いた。


「お前35まで独身希望なんだろ」


「おう。」

泰真は大河の質問に当たり前

な風に答える。


「なら彼女はお前のモノには

ならんだろうなぁ!」



「・・・なんで?」


「なんでって?分かんないの?

彼女は女性だ

あの歳なら友達は、妊娠出産してる

子もいると思うぞ

多少なりとも考えるさ

親だって心配して見合いとか

設定するサ

彼女だって家庭を夢見る頃だろ!

回りがほっとかないって

お前オンナなめ過ぎ!!」



「・・・」


「お前の母親幾つ?」


「53」


「な!お前を23で産んでるぞ!」


「・・・」


「まあ、35まで独身でいるなら若い嫁、見つけるしかないなお前なら選び放題だな、悩む事なんか無いだろ!」



「・・・そうだよなー

若い嫁選べばー

悩む事じゃあない・・か」

納得のはず・・


泰真は何を思ったか茉穂に直ぐ

電話をかけたが繋がらない

何回もかけるが繋がらない。


「着拒されてるな!」

大河はコーヒーを泰真に差出しながら言った。


「着拒なんで?」

泰真は大河の顔を上目遣いで見る。

大河は呆れながら


「さあーぁ何でだろうな!!

ってかサ

俺の話きいてた?」


コイツ(泰真)は

自分中心で動く奴だったか?

茉穂に対しての思い込みも激しいし


明らかに振り回されている茉穂が

気の毒にも思えてくる。

まあ茉穂にはあのシスコン兄貴が

ついてるから大丈夫か!!


遂に着拒に踏み切ったと言うことは

・・・泰真お前は見限られたぞ?

こうなりゃ結婚申込むか別れるか

二択!お前(泰真)どうする?


コーヒーにフーフーフー

と息を吹きかけてノンビリしている

泰真よ、お前そんな悠長なことしてるバヤイでねーぞー!!

茉穂軍勢は茉穂の縁談に向け走り出したと言う事なんだぞ!!

危機感の無い泰真に喝を入れてやりたいが、ま、いいか~


泰真は今、極端に結婚を嫌がる奴、

何を言っても無駄だろう

ならば泰真の運命の相手は違う人かもしれない。

もう口に出してああだこうだ五月蝿く言う事もないか!!



思案しながら大河は、カップに残ったコーヒーを口にして言った。


「もうほっとけ!

お前も結婚の意思が無いなら

連絡なんかしない事だ!

お前がなんかしてやれるもんじゃ

ないだろう。」



泰真は背を向けてそう言った大河を見て何も言えなかった。




「ん?あれれ?

なんだぁ着拒になってる?」

間違えてブロック押したっけ?

茉穂は自分の携帯を見て不思議に思いながら首を捻る。


あれから2ヶ月季節は冬に向かい

泰真に電話する用事も無かったし

結婚と言うワードにビビる泰真に

気持ちはあっても未練は無かった

もう関わらないと決めていた。



彼は、未だ遊びたいのだろう

結婚して遊び回られたらたまんねー

っか、遊ぶ五年を確保することすら

ありえねー引くワ

「まあ、このまま着拒でいいか~」




季節はあっとゆう間に流れ

泰真を某ホテルの有名レストラン

で見かけた。


クリスマスディナーなのか隣には

綺麗な女の人や可愛い彼女wに

囲まれてニヤケていた。

藍色の上下のスーツに髪はツーブロックに髪をホワホワとワックスで

たてて、イケメン過ぎて目立っていた。


そういう茉穂はピンクの着物に

髪を結い上げ白にもみえる薄いピンクの帯にピンクの草履

スタッフに案内されテーブルに着いた。しばらく待っていると

背の高いウルフカットのこれまた

ワックスでかためた鼻筋の通った

イケメンが茉穂を見て歩いてきた。



当然この季節に振袖はアンバランス

ながら、茉穂の可愛さも相俟って

かなり目立っていた。

当然泰真も気づいているはず


向こうから見合い相手らしく背が高くエリート風な男性があるいてくる。

落ち着いた着物を来た50歳位の女性も一緒だった。


茉穂は彼を見て立ち上がった。



「ねえ泰真、シャンパン、シャンパン🍾」



「あ、ああ、シャンパンね。」

泰真は茉穂を発見した途端うわのそら


「もう沢山食ったし、店変えようか」

遊び仲間の友人の一人が声をかける


「行こー

私達もうお腹いっぱーい」


「え、ああ、う、うん。」

泰真は茉穂を見ながら戸惑っていた。


「茉穂さん綺麗ですね

着物よく似合ってますよ。」

そんな声が泰真の耳にも届く


「ありがとうございます。」


「いやぁ僕の為に振袖かー

感激します。」

泰真の耳にはチンケな会話に聞こえて来る


「💢は?あいつに見せる為?

は💢?あいつのために着物きたのか?」


泰真は嫉妬の炎丸出しで茉穂と相手の男をじーっと見た‼️


「クリスマスシーズンなので

どうかなって思ったんですけど

喜んで貰えたなら良かったです。」


茉穂の恥じらいを見せる顔が泰真をイライラさせる。


「勿論ですよ。

いやぁ~嬉しいなぁ」


見るからに茉穂にデレデレしゃがって

茉穂もなんだあの思わせぶりな

態度・・・٩(๑`ȏ´๑)۶ブルブルブルクソッ


もう1人ブルブルブル泰真の横で赤い爪がのめり込むような仕草でイライラ


俺達(3人)が同伴していたキャバ嬢の

一人が茉穂を見て震え出した。

ワナワナワナいや震え出したが寒い訳じゃあなさそうだ!!


鬼の形相ってやっだ。


バッと席を立ったかと思えば

茉穂達の席へと進む


楽しく談笑していた奴が気づいたのか

バッと席を立ち上がった。

かと思う暇なく

`-´バッ━━━━━━━━━シーン

からの~ガッン

頬ぶっ飛ばしの顎ストレート


茉穂は突然の修羅場に、声も出さず目を見開き口を抑えた。


「なによ、昨日別れようなんて

言うから怪しいと思っていたのよ💢

どういう事ちょっと来なさいよ」


彼女は彼の首を掴みズコズコと歩き出しふと足を止めて茉穂を振り返り見て言った。


付き添い人のオバチャンは

「あ、へ、な、ど、どう言う事?

どーゆう事ー」

芸人のチョコ〇ラに似た体型で着物着たオバチャンは、アワアワしていた。


「あなた、私達こういう仲なんだから諦めなさいよね!」

彼女はおばさんなんかなんのその

茉穂に向かって怒鳴りつけた。


茉穂も驚いたがそんな男と見合いは

ゴメンだ!!


「え?あ!はい、大丈夫です。」


一言も発さない彼は諦めたように

ついて行った…

ザワザワとした店内が落ちついた時

泰真が茉穂の方へ歩いてきて

茉穂を見て手をだして言った。



「携帯」

彼は差し出した手を早く出せと

言わんばかりにピョロピョロと

動かした。


「アンタ、クリパ?」

茉穂が言うと自分の都合の悪いトコには触れず


「・・・早く出せ」


上から物凄い怖い目をして

ズ━━━━━━━━━━ンと

見られるとバタバタと手も縺れ出し

バックの中からつい差し出して

しまった。



受け取った携帯をスクロール

兄貴

と言うのを見つけた。

チロチロと彼は睨んで目を携帯に落とすと親指で操作しはじめた。


「見合い相手の彼女に乗り込まれ

破談、友達と食事行くから

心配いらない。」

と送る。


「え・・・」


ピピピ ピピピピ

更にスクロール

泰真


ヤッパリ着拒になってブロック

泰真はこれを自分で解除した後茉穂を見て冷たく言った。

「生意気な何が着拒だ!!」



「え、えっ∑(꒪꒳꒪;)

ご、ゴメン」

つい茉穂は謝ってしまった。



「出るぞ!」

泰真は茉穂の手を取って歩きだした。

外には牡丹雪が降り始めみんな

タクシー乗り場にならんでいた。


「泰真、お腹すいた。」

茉穂が言うと


「ああ、分かってる。」

泰真は振袖姿の茉穂に自分のコートを着せてしっかりと手を繋いだ。


「早く帰らないと

帰れなくなる。」

雪は容赦なく降り注いで来る。


その言葉に茉穂も

家に帰ってお茶漬けでもいいか

と思い直した。

フルコースのフランス料理につられ

お見合いを承諾したのに残念

食い損なった






🍓🍓

ここまで読んで下さっている皆様と

@happinestryokoさん

まさぽんたさん

古月湖さん

玥さん

おんやさいさん

次の刺青の悲しい訳で泰真のクソな性格を、御堪能ください。

いつも応援、フォロー、レビュー

ありがとうございます。

すごく嬉しく励みになります。

感謝でございます。m(*_ _)m🍓🍓

ルミン

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