牢獄の中に何を見るのか

人間の管理する社会から、AIの管理する社会に連行された主人公。
そこは、人間界の掟をさらに簡略化し、潜在的な『闇』を前面に押し出した無慈悲な場所だった……。

AIを通して描かれる人間の抱える矛盾と本質。
ときに哲学的に、ときに詩的に紡がれる物語は、読者の心を掴んで離さないことでしょう。
そして、主人公と関わっていく仲間たち。
それぞれの秘めたる思いや正体は、これからの話に期待といったところですが、個性的で謎めいた様は、自然と読者を引き付けます。

知ってはいけない闇に踏み込む、そんなSFミステリー調な世界に浸りたい方におすすめしたい一作です。