第7話 猫に小判を 3


 「何か喋ってよ!」


 「藤木くんならさっき、腹壊してトイレで下り龍になってるニャンよ」


 「藤木くんて誰よ! 下り龍って?」


 「あぁ、ごめん斉藤くんだっけニャン? まぁ吾輩が与える教訓として知らない方がいい世界もある、ということニャン 忘れてくれていいニャンよ!」


 訳が分からないと呆れた少女は、くだらない会話ではあるが楽しそうだ。


 そういえば、俺は彼女の名前を聞いていなかったが聞くだけ書いてみようと、話しを折り込んでみた。


 「名をなんと言うのニャン?」


 「私? 私はリン リン•カーロット 黒猫さんの名前はあるの?」


 名前か……


 まぁ、記憶がないので忘れたのですがね。


 「田中だ、宜しくニャン」


 「絶対嘘でしょ、もういいわ! 黒猫さんと呼ぶから 座右の銘とかあるのかしら? 私はなかなか思いつかないのだけれど……」


 「持ち玉遊戯ニャン!」


 「あなた何いってるか分からないわ」


 それもそうだろう。


 ここは異世界だ!


 スロットも無ければパチンコもない。


 黄金騎士もいなければ、暗殺拳伝承者、汎用人型決戦兵器、世紀の大泥棒に傾奇者もいない世界なのだから。


 前世では最悪な目にあった。


 神は人を救う象徴であるはずなのに、日本ではGODが人々から金を巻き上げてくるからだ。


 「吾輩にだけ分かればいいニャンよ」


 俺とリンは、談笑しながら街中の商店街に足を運び出した。

 

 

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