失敗のエデン

 人類が発展し、文明を築く遥か昔。エデンにはアダムとイヴの二人が暮らしておりました。エデンの中には、生命の樹と知恵の樹があり、二人はその二つに興味があったのです。


「この知恵の樹になる知恵の実はとても美味しそうだなあ。ここにある食べ物は大概、食べて飽きちゃったし、二人で一緒に食べないかい?」


 と、アダムは誘いましたがイヴは、


「流石にそれはよくないんじゃない? 神様もこの実は食べちゃいけないって厳しく言っていたし、もしこれを食べてここを追い出されたらたまったもんじゃないもの」


 と言って断りました。しかし、アダムとイヴは一度沸き立った食への探求心を抑えきることはできませんでした。アダムは次に少しごつごつした歪な形の果物を指さして、


「じゃあ、これを食べよう。これは神様も食べちゃいけないとは言ってないし、まだ僕たちも食べていないから、味も全く分からない。良い暇つぶしになると思うよ」


「そうね。それなら食べても大丈夫だわ。さっそく皮をむいて一緒に食べましょう」


 こうして二人は一瞬のうちに皮をむき、香りを確認する間もなく力いっぱい頬張りました。まさか、この果物がとてつもない匂いを放つドリアンで、口臭が臭すぎてエデンから追い出されてしまうことになるとは、知恵の実を食べていない二人には知る由もないのでした。

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