EP39 東京奥多摩ダンジョン攻略

「ではこれからダンジョン攻略をするに辺り注意点を伝える」


①ダンジョンは常に死の危険性がある事を肝に命じる事。


②まだ行けると思ったら必ず引き返せ。


③攻略階層は自分のレベルより2〜3下まで、例えは10階層のボスを攻略するには、レベル12.13が必要です。安全範囲ならレベル15。


④ダンジョン内では常にステータスを確認しHPが70%切ったら必ず回復アイテムを使用すること。


⑤チームで行動する事とメンバーの意見を尊重する事。特に慎重な意見に耳を傾ける。


⑥敵の弱点を見極める事。所見は無闇みやたらに攻撃しない。あえてスルーする事も攻略の有効手段。


⑦最後にファンタジーを受け入れろ。今までの常識がダンジョンでは非常識になります。固定観念に囚われず柔軟さ、環境適応能力を養って下さい。


10階層まではこんな感じで大丈夫かな。


「質問ある人!」


『はい!はい!はい!…』

怒涛のごとく質問された。


「じゃあステータスについてなんですが、多分ですけどダンジョンで魔物を倒すと魔力開放されステータスが解放されると思います」

「それじゃ皆さん、ヘルメット、バックパック、ゴーグル無線機は此処に置いて行きましょう」

「今日は使いません」


「さあダンジョンへ。皆んなはまだ説明途中だけどと言うが百聞は一見にしかずと言うので、ささ早く行きますよ。私について来て下さい」


ゾロゾロとほぼ手ぶらな感じでダンジョン攻略に向かう探索班を地上班は戦々恐々の目で見ている。


「それでは皆さん今からスライムを1匹倒して貰います」


「スライムは雑魚キャラですが、今の皆さんなら5回攻撃されると死にますのでくれぐれも気を付けて倒して下さい」


「オレが見本を見せます」

「ささ中に入ってさあ早く」


5回で死ぬと言われて足取り重く皆んなはついて来る。

(トボトボ…)

坑道を50メートルほど進むとまん丸スライムの青色がいた。


「いいですか、皆さんスライムは低層では体当たりの攻撃しかしません」


「よーく見てて下さい」

「スライムに黒い目、点があるのが分かりますか?あそこをナイフでひと突きして倒します」


「もちろん細かく切り刻んでもスライムのHPを削れるけれどもただ疲れるだけです」

「先程の注意点を思い出して下さい」


「それではナイフで」

(プッすっと、ジュ)

(キラキラ〜シュワ〜)

(ボトッ)


【ドロップアイテム:】奥多摩のおいしい水、極小魔石。


「魔物はやられると光りになって消えます」

「その後にドロップアイテムが落ちるのて拾い忘れ無い様にダンジョンでは一定時間でアイテムは消えてしまいます」


「勿論皆さんの忘れ物もです」


「注意して下さい。なお、コレから先ダンジョンを進むと出る魔物で多少グロい事になりますが倒すと消えるので安心して下さい」


「それに躊躇していると死にます」


「全員、倒しましたね」

「それでは一旦、地上へ戻って説明の続きをしましょう」


「はい、それではのどが渇いたので先程ドロップした奥多摩のおいしい水を飲みましょう」


ん?皆んな飲まない?

何故か…?


「あー!初めてだからですね」

「ダンジョン産の飲料、食料品は全て大丈夫ですから、保健所の検査もクリアしていますからと勝手に出任せを言ったら皆んな飲んだ」


美味い美味い言っていた。


1人だけ茶黒色スライムからコーララが出てめちゃくちゃ美味いと回し飲みまで始めた。


「それでは各自ステータスを確認して下さい」


「ステータスを見たいと頭の中で考えて下さい。口に出して唱えてもいいですよ」


「レベルはまだ0ですね」


「成人した大人で大体各ステータスは5〜10といった所で各自バラバラなはずです」

「元々の身体的能力を今数値化されています」


「それからステータスは個人情報です他人に直ぐ見せないように自分の弱点、能力を知られてしまいます」


「今回は初回ステータスなので皆んなで見せっこして見て下さい。また長期感一緒にパーティーを組んで攻略する際はお互いの信頼関係によって見せ合います」


皆んなの初回スキルは…


消防士男:身体能力強化 L v3

消防士女:身体能力強化 Lv1、弓技 Lv2

警備員男:盾技 Lv1、槌技 Lv1

剣道国体者女:剣技 Lv4、短剣技 Lv1

空手国体者女:体術 Lv4、身体能力強化 Lv2


皆んななかなか初回スキルを持っている。

趣味が筋トレならレベル3からスタートも頷ける。


学生時代に弓道部だったならそのスキルも付くだろう。

警備員さんは真面目に会社の研修、講習会に参加して居たらしい。

国体レベルで4スタートか、参考にしておこう。


そう言えばオレはスキル無しだったな、、、。


「皆さん個々の能力、スキルはコレからじっくり上げて行けば大丈夫です」


「まずは10階層のボスを攻略目指してレベリングをしましょう」


それからアレやら、コレやら説明して昼になった。


「そろそろお昼ごはんしましょう」


地上班が魔物には勝つ!源担ぎでカツカレーを作ってくれた。外で食べるカレーはこんなにも美味いなんてとおかわりした。


山之内さんに質問してみた。今回ダンジョンから産出されるアイテムや魔物のドロップアイテムはどういう配分になっているか聞いた。


グレイさん以外は全て東京都の物になる契約でスキル巻物に関しては攻略を踏まえてチーム内の能力に合わせて使用する事にしたらしい。


攻略班には危険手当金1日15.000円付いているらしい。命掛けの割に安いなと思った。


都知事さんもオレがついているから大丈夫だと思ってるんだろう。


「あ!さっきお水飲んじゃいましたよ」


『大丈夫ですよ攻略中のアイテム使用は許可されて居ますし使用アイテム数も報告しますから』


「良かった」


『ちなみにグレイさんはダンジョン攻略はどこまで行けそうですか?』


「1番下までかな」


『はあ?今何て?』


「1番下まで行ったよ!だってさ道案内するのに知らないは無いでしょう」


山之内はなんだか恐ろし者を見る目で此方を見て固まっている。

(キョロキョロ、ジロジロ)


あれ?やっちゃった系かな。


さあ!午後からも張り切ってレベルリングしましょう!なんて言いながら身体をほぐす仕草で誤魔化しながらその場を離れて行く。


「はい、皆さんそれでは午後からスライムを手当たり次第にやっつけちゃいましょう」


「装備品フル装備で、無線は中で使えないので置いていって下さい」

「今回から盾を上手く使って攻撃を防ぎながらの戦いにも慣れてもらいます」


「今日はレベルリング5まで3階層まで行きましょう」


「2層3階層からは大きめの舌打ちするネズミやコワイ目をしたうさぎ、ツツキ鶏、落とし穴を掘る土竜なんかが出て来ますから良く見て相手の弱点を見つけて攻撃して見て下さい」


「では行きましょう!レッツゴーダンジョン」


「魔物を倒しながら前衛後衛と交代しながら進んでいきますよ」


オレはショッピングカートを押しながら最後尾にいる。

(ガラガラ、ごろごろ…)


皆んなは何でそんな物を押して来るのかと聞いて来たから答えは直ぐに分かるからと進んだ。


さすがに皆飲み込みが早いスライムなら難なくた戦える。


しばらくして全員アナウンスが流れてびっくりしていた。


順調にスライムを倒すと皆んなはドロップアイテムが次は何か何かとワクワクが止まらないらしい。


そうだろうそうだろう、それもダンジョン攻略の魅力だからな。


全員で100匹くらい倒した所でスキルスクロールがドロップして出た。

(おー!やった!何それ?ザワザワ…)

皆んなのざわざわ感が半端ない。早く何か知りたいとこっちを見る。


「コレは杖技のスキル巻物ですね」

「どうしますか?山之内さん」


『一旦保留で地上に戻って考えましょう』


『あのードロップアイテムが重くてそろそろバックパックが一杯です』


「だからコレ!カートです」


(なるほど!流石!それでか〜)

『次から攻略班以外にもドロップアイテム搬出班が必要になりますね』


「そうなんですよ!折角のドロップアイテムだから捨てるのは勿体ないもんね」

「オレ一度これ置いて来るからそのままスライムを倒して続けて下さい」


「5分くらいで戻ります。大丈夫ですよまだスライムや雑魚しか出ません。あと1階層に隠し部屋があるので探して見て下さい」

「じゃ」


地上班にドロップアイテムを渡して戻ってくると、スライムそっちのけで壁を皆んな叩いていた。


そうだろうそうだろう、それがダンジョン攻略の魅力だが


「はい!はい!集合」

「皆さん、ここはダンジョンです」

「いくらスライムなら大丈夫だからと言って皆さんの行動は完全にアウトです」


「個人個人バラバラ、隠し部屋に目が眩んでチームワークもバラバラ、注意力散漫です」

「そんなに死にたいのですか?」


皆んなは下を向いてごめなさいと言っている。


「コレも皆んながどう動くか見る為に仕掛けたものです。今後は注意する事」


「それでは隠し部屋の探し方です。隠し部屋は壁を叩いても分かりません」

「ダンジョン内をよく観察して違和感を感じて下さい」


「皆さんは魔力開放していますから、ダンジョン内の魔力の流れの違和感を感じて探して下さい」

「それでは今からダンジョン内の空間に注意しながら進みましょう」


しばらく進み。山之内さんが!

『あそこ!少し気になります』

『突き当たりの壁』


「では壁に手を当てて見て下さい」


『あー!扉が現れました』


「はい!正解!探せなかった皆さん!」

「ダンジョン注意事項⑦番を思い出して下さい。ダンジョンはファンタジーです。違和感が感じられないのは先入観です」


「ここは非常識の世界ですからよりシンプルに考え、実行した山之内さんが発見出来たのです」

「違和感なんかとか?こんなんでわかるの?とか考えた人はアウトです」


「これからレベルリング、スキル上げも同じです。皆さんの先入観や今までの常識が成長の邪魔になります」


「こちらを見て下さい」

隠し部屋の中央に宝箱があった。


「まだ罠は無いからそのまま開けて下さい」


(ギコ、ガチャ)

中からポーション3個、金貨5枚出てきた。


(おーー!)

皆んなから声が漏れる。


オレは背中から刀を取り出した。


『もしかして!それって』

剣道国体女子が言った。


「この刀は名刀猫丸、脇差は小猫丸です」


どうやら刀女子らしい。


「コレも地上での宝箱からのドロップアイテムです」


(えーー!)

『地上にも宝箱あるんですか!』


「宝箱はありま〜す」


(ざわざわーーざわざわ)


「勿論、先程の隠し部屋の様に魔力の流れを感じ無いと見つける事は出来ません」

「さあ、今日中に3階層まで行きますよ!」


その後舌打ちするネズミやら目つきの悪いうさぎやらすばしっこいヤツを倒しながら全員レベル5になった。


若干HPは削られていたがまあ合格点だ。地上に戻った。


【ダンジョン攻略成果】


極小魔石783

魔石小279

スキル巻物:杖技

薬草26

ポーション3個

金貨5枚

奥多摩のおいしい水26

奥多摩サイダー12

お〜い!ほうじ茶5

昆布茶1

アロエナタテココ3

カルピス3

コーララ25

スプライク11

コーヒー無糖ブラック13

コーヒーミルク4

スーパーダダイ10

0番しばり4

プレミアムモルッア3

銀麦3

コーンスープ5

おしるこ2

おでん缶2


何故か3階層の魔物からビールがドロップした。それと清涼飲料水じゃない物も。


オレはベースキャンプに戻って風呂入って明日また来ると伝えると、何故か皆んな付いて来た。

(ゾロゾロゾロゾロ…)


風呂目当てらしい。

オレは風呂を貸して上げた。


男女別の内風呂(風呂畳敷)、露天風呂(檜)、壺湯、サウナの特別仕様だ、ちょっとした温泉施設並みだ。


キャンプ場運営を考えているからな。


(ココすげ〜な、さいこ〜、うあ〜ぎもち〜)

皆んな驚いていた。

お風呂が今日一日の疲れを癒やしてくれた。


オレは素麺でも茹でて食べようと思っていると何故か皆んないる。


仕方なく人数分茹でる。

(グツグツ、グツグツ…)

上に戻ったら晩御飯でしょと言ったがお腹が空いて待てないそうだ。


漬物を刻んだ山形の出し風と、シャケ、塩サバの焼き魚と炊き込みごはん、トマトスライスしたやつ、オクラを茹でたやつ、ちくわのバターケチャップ炒め、素麺だ。


夏はさっぱりとした物か食べたいし動いたから塩分も取れる様に漬物と魚だ、炊き込みごはんはツナと小松菜のつゆの素味だ。皆んな凄い勢いで食べる。

(パクリパクパク、ガツガツ…)


たしかにレベルが上がった時は代謝が増えたのが直ぐお腹かが空いた気がする。


料理が上手と褒められて、美味い美味いと食べてくれるからうれしい。


明日午前中は休養にして午後から行動することになった。


女子は此処に泊まると言い出した。

山之内さんか申し訳なさそうに頼んてきた。


母屋に来客用に3部屋あるからどうぞどうぞと言った。

男子は羨ましいそうだったがここはしょうがないよね。


その後自分達の荷物を持って来てすっかり拠点のつもりだリビングで3人でキャッ、キャッして修学旅行気分になる。


コレはコレでいいかも。


適当に冷蔵庫や戸棚のお菓子も食べていいよと言うと飛び跳ねて喜んでいる。

(きゃーきゃー!ピョンピョン…)

ダンジョンでは男勝りで戦う彼女達も中身は今時女子だもんな。


オレは自分の部屋でゴロゴロして眠りについた。

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