第37話 織田信長 VS 明智光秀 その2

「ほう。うぬは儂らが助力すれば天下統一を成し得ると申すのか」


「は、その通りにございます」


「して、そのための策は既にあると」


「はっ」


「面白い」


 策がすでにある?そもそもミッチーの言う天下統一ってなんだ?日本では既に戦はなくなったんだぞ。


「なあミッチー。こんな事言うのもなんだけど…。多分天下統一って無理だと思う。今がまだ戦国時代だったらわからなくもないけどもう既に日本っていう国は一つにまとまってるし」


「よい、次郎。この者は策が既にあると申しておる。そうであろう?」


「はっ」


「ではよ。貴様の言う天下統一への道、行動で示してみよ。そのために儂らの助力が必要であれば頼るがよい」


「はっ、有り難く」


「ミッチー。お前が何をするのかまだ全然わかんないけど、協力できることがあれば俺も手伝うよ。友達だしな」


「有り難いお言葉。では早速ですが一つ殿にお願いしたいことがありまする」


「申してみよ」


「拙者も殿と同様、みっちーちゃんねると呼ばれるゆうちゅーぶの公の場を持っているようです。この仕組をここ数日の間で調べもうした。ここは異なる世。まずはこれをうまく活用したいと考えております」


「続けよ」


「まずは殿と同じようにこのちゃんねるを大きくすることから始めさせていただければと。これをうまく活用すれば、顔を知らぬ者たちにも声が届きまする。そして、拡大したちゃんねるには自ずと同志が集まるでしょう」


 同志?おいおい。なんだか…雲行きが怪しくなってきたぞ


「充分に同志が集まれば行動に移りまする」


「ミッチー。お前、何するつもりだ?」


「それはまだ言えませぬ。が、天下統一のための行動とだけ申しておきましょう」


「で、儂に頼みたいこととは?」


「拙者のちゃんねるに一度出てほしいのです」


「……ふむ」


 ミッチーチャンネルに出てほしい?つまりYoutube上でコラボをしたいってことか?


「ミッチー。信長様に出てほしいってことはわかったけどさ。お前、そこで何をする気だ?」


「殿と話す場を設けるだけですよ。それを皆に観てもらいたい。ただそれだけ」


「うーん……」

「よいであろう」


「え、信長様……本当にいいんですか?」


「いいも何も。話すだけであろう?」


「でも……。同志を集うって。なんか危ない匂いがします」


「こやつは儂らの助力で天下統一が成し得ると申した。であれば助力してなにがまずい?これも天下統一の道を示すために必要なことなのであろう」


「感謝申し上げまする。では配信の予定が立ちましたら、次郎殿に連絡をさせていただく。では、今日はこれにて」


「おい、ミッチー!もう出るのかよ?なんでミッチーがこんなことになったのかまだ全然聞けて……」


 ミッチーは俺の言葉に目もくれずこの場を後にした。直接会って確かめたかったことがたくさんあったのに、結局なにもわからないまま終わってしまった。


「信長様。どう思います?」


「なにがじゃ?」


「いや、なんか……。今までと何かが違うような」


「何が言いたい?」


「……あれはの明智光秀なのでしょうか?」


「うつけめ。まだお主は本物か偽物かなど測ろうとしておるのか」


「あ……すみません」


「一つわかっておるのはあやつは天下統一を成し得ることができると信じておること。天下統一とは何か、どのような策があるのか。それをあやつは行動で示すと申しておる。なればこれ以上儂らが知る必要もあるまい」


「そう…ですけど」


 この世に突如現れた織田信長と名乗る男。そして、それに呼応するように豊臣秀吉、そしてついに明智光秀までもがこの世に現れた。三人の転生者。この物語はこれからどこに向かっていくのだろう。今俺が感じている嫌な予感。できれば当たってほしくない。


 結果的に俺の予感は当たることはなかった。いや、当たったほうがまだマシだった。誰があんなことになるなんて想像できる?


 後悔してももう遅い。ただ、なんで……。なんで俺はこの日、ミッチーを止めることができなかったんだろう。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る