第12話 合同紺羽の戦い <冬の陣>その4

「かんぱーいっ!!!」


 ひとまずお酒が来た。奈々ちゃんは光安さんと既に楽しそうに話してる。

それにしても……ふぅ、考えるのはよそう。こういうときはお酒の力を借りるしかない。一旦信長さんに絡むのはやめておいたほうがよさそうだ。うん、そうしよう。次郎さんは何を…


「雪女、お主はなんじゃ?」


 絡んできたぁ………。なんじゃとはなんじゃぁ………。


「えーと、なんじゃというのはその私の仕事ですか?私も奈々ちゃんと同じ事務仕事をしています。」


「阿呆めが。そんな事聞いておらぬわ」


 えええ……。


「信長様!それはあんまりです、いくらなんでも言葉足らず過ぎですよ。なんじゃ?だけじゃわかるわけないじゃないですか!」


 ありがとう次郎さん。やっぱりあなたは外見通り優しいんですね。でも、なんでかな。さっきから同級生なのに信長って呼んでるのは。


「なんじゃ次郎、儂に物を申すつもりか?」


「違いますよ。でもさっきから雪女って言ったりいきなり阿呆って言ったり。雪さんが可哀想ですよ」


 うんうん、もっと言ってあげて次郎さん


「あー!もしかして。信長様…緊張してるんですか?」


 緊張?


「だれがじゃああああああああっ!!?」


「………。」

「………。」


 今日三度目の静げさが訪れた。


 なるほど……。緊張してるだけなのか。って私何納得しようとしてるの。雪女って言われていること忘れるところだった。いくら緊張しているとはいえやっぱりひどい。


「おいおい信長〜もうちっと静かに飲んでくれよぉ?奈々ちゃんとせっかく楽しく喋ってんのにお前が突然大声出すから話途切れちゃうだろ」


「ほう、光安よ。おのれも言うようになったのう」


「ああ?なんか文句あるわけ?」


「なんじゃ?」


 え、何?さっきまでとは違う冷たい空気が流れてるのは気のせい?


「はーい!もうストップストップ!せっかくの楽しい会が台無しになるのはよくないよ!ミッチーも信長様も。ね?今日は楽しみましょうよ」


「わたしもそうおもいまぁ〜す!」


「まあ奈々ちゃんがそこまで言うなら俺は全然オッケーよ。なあ信長?」


「ふん」


 ふぅ、さすが次郎さん。それにありがとう奈々ちゃん。もう少しでこの会がお開きになりそうだった。ん?私、この会が終わってほしくないって思ってる?まあでもそうだよね。こんなに失礼な人がいる会だとしても、久々に誰かと飲むお酒はやっぱり美味しい。せっかくだから次郎さんに絡んでみよう


「あの、次郎さんは普段から何をされているんですか?」


「え、俺ですか?俺はですねー……」


「あ、いいこと聞いたねユッキー。こいつは結構有名なYoutuberなんだよ。ちなみに俺もYoutuber!こいつよりも登録者数は断然上!ミッチーチャンネルをよろしく☆」


 ユッキー……。


 「へ、へえそうなんですね」


 うーん、だめだな。やっぱり私、光安さんは苦手かも。それにしても二人共Youtuberなんだ。初めてちゃんとYoutubeで活動している人と喋ったな。ん、二人がYoutuberってことはもしかして信長さんもやってるのかな?

 え、……なんか私気になってない?ま、まあでもこの流れで信長さんに聞かないのは逆に失礼か。


「信長さんは普段は何をされているんですか?」


「この世に来てからはそうじゃな……まだ戦しかしてないのう」


「はあ」


 この世?戦?…うん、もうその設定で今日はとことん行くんですね。了解です


「戦は大変ですよね。でも今も戦をする必要はあるんですか?」


「ほう、大変とな。雪女よ。うぬに戦のなにがわかる?」


「あ…ごめんなさい、えーっと」


 しまったな、私なんか余計なことを言った気がする


「いえ、私には全然大変さとかはわかりません。なのでよかったら教えてもらいたいなあと思って」


「ふむ、まあよかろう」


 危なかった。なんで私がこんなに気を遣わないといけないの。とりあえず機嫌はよくなったみたいね。あ、信長さんのグラスが空いてる


「信長さん、同じものおかわりでいいですか?注文しますよ」


「雪女よ。頭溶けておるのか?二杯目にかるあみるくを頼む馬鹿がどこにおる」


「え…」


「かしすうーろんじゃ」


「は、はい」


 あの、私そろそろ帰っていいですか?









  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る