第30話 成長
亜人となったゴブリン達はゆっくりと成長していた。
敵を殺し経験を積む内に、ホブゴブリンの様に身体が大きくなる。
特にゴブシロウとゴブゴロウはその成長が顕著に現れ、肉付きもよく、俺が人間の時の背丈を越えてしまっている。
禁忌を冒し進化する個体は、型がある様に瞬時に大きくなったが、
禁忌を冒さずに亜人となった個体は、食べ物と溜めた魔力でゆっくりと自分の役割と目指す方向に進化してゆくのか?意識を感じる。
見守るしか無い。
ゴブニンとゴブサンは、足が長く、すらりとした体躯をしている。特にゴブニンは目付きが鋭く、カッコいい!
ゴブサンは逆に穏やかで、人の良い人相をしている。絶対俺が名前に引っ張られて、影響を与えてしまっているな。
俺を将とした集団は、俺の手足の様に動く。集団を構成する意識は俺の魔力とリンクし、様々な影響をゴブリンに与えている様だ。
最後のゴブイチだが、もうなんだか強い!精神も身体も頭もいいし、集団を動かす能力が素晴らしい。完璧過ぎて怖いわ。
絶えず俺の側に、一歩下がって控る懐刀だ。戦闘回数は少ないのだが、俺の後ろを任せた時など、己の身体への傷や敵への情けも、一切の妥協が無く、ただ任務を遂行する修羅の様な働きをみせた。この人、怒らせたら駄目な人だと俺は思った。
ゴブイチの体躯は普通、特徴のない人型だ。顔はまあまあイケメンな感じ、人柄は堅物、ゴブリン達からと俺からの信頼度が非常に高い。切れるとヤバイ奴。
ゴブイチは鍛え過ぎたかもしれない。俺の副将として働き、影響を強く受けてきた。俺を過剰に評価し、幻想が理想となり、理想を現実に導く事がゴブイチの使命になった。俺への崇拝の眼差しが、居心地悪い。
大狼を倒した後、複数の強い魔力の魔法陣が出現し出し、一度退却して距離を取った。
先へ進もうか悩んだが、結局やめた。
俺とゴブリン集団は強くなったが、装備が貧弱過ぎる。強敵との戦闘では心許ない。
一度ゴブリン城へ帰還するか?
それとも前哨基地で補充するか?
それとも、俺はゴブリン達が食べた狼の残骸を眺めて考えるのだった。
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