第19話 翁

《…あっ!何あれ?

今、ファイアボールて、叫んでなかった⁉︎


ぷっ、くっくっくっ、ひっっひっ、

ひーはーっなによっ、、大爆発、


くっくっくっくっくっくっ、はっはっはっはっはっはっ、はっ腹が、腹が痛い。くっ、苦しい、息ができない!

助けて》


《大丈夫ですか?まぁ落ち着いて、しかし、陰陽交流自在、今出現ですか?なんでしょう?わかりますか?》


《陰陽…、ぷっははははははは、ダメ!それ以上私のツボを、お、おさ、おさ、押さないでぇ〜、ハハハハハハハハハァ》


《大爆笑ですね、それよりせっかくのパーティーが台無しですが?良いのですか?》


《ハハハッ!良いのよ。そんなもん。こんなに楽しかったのなんて、ここに来てからあったかしら、パーティーなんてまたいつか出来るしね。あんなのが生まれるからやり甲斐があるんじゃない!鼻デカがボスを一撃で倒すなんて、全くめちゃくちゃね。ぷははははははは…》


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


知らない天井があった。薄い木目の板が隙間なく張られている。太い石の梁や柱が見える。寝床としては、とても良い大きさの部屋だ。


ここはどこだろう?


こんなところに寝た覚えはない。…祭りがあって、進化して、ファイアボール撃ったんだ。


…それからの記憶が無い、、、。


ベットから起き、マジックバックから水筒と果実を取る。目覚めた身体が水分を求めている。水筒と果実の種をしまうと、


コンコン。


ドアをノックする音がする。

「どうぞ」


入って来たのは、ゴブリンだった。

やばい、しゃべっちゃてる。慌てて、ぎあぎあ言い訳めいた声を出す。


「何をやっているのじゃ?」

ゴブリンがしゃべってる⁉︎

よく見ると両目が白濁したデカ鼻の爺ゴブリン。白の司祭服を着た身分の高そうな人物だ。


「話せるゴブリンとはじめて会ったもので、びっくりしました。」


「下の奴等は大抵がそうじゃ、お主はマジシャンとなって、この城に招かれたのじゃ」


「そうでしたか。この城の住民は言葉が話せるのですね。」


「マジシャンから上の格のある者は大概話す。何かと不便じゃからの」


「俺は気を失ってしまったようです。何故ここに寝ていたのですか?」


「報告によると、

お主は霧の大森林の戦にて、ファイアボールと叫び、狼王とその軍団を、一太刀で滅したそうじゃ。その後、大森林の霧が晴れ、お主は倒れ寝てしまっていた。

進化は神の導き、マジシャンへと至った者はこの城に立ち入る事が許される。

天候まで操るお主は手厚く保護され、今に至る訳じゃ」


「戦はどうなりましたか?」


「余りの事に一同が動けなくなってしまったそうじゃ、再び霧が戦場を覆うと敵の軍勢は消え失せており、新たに誕生したゴブリンジェネラルは死んでいた。哀れじゃ、〜神は試される〜」


老人は静かに祈る。


「神がいるのですか?」


「あゝ 間違いはない。

その事でお主に来てもらいたいのじゃが、宜しいかな。」


俺は頷く事しか出来なかった。


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