第14話 尾行
次の日、やはり蹴られて目が覚めた。
するとすぐにホブゴブリンの雄叫びが聞こえる。
せっせと狩りの準備をするフリをして逆に横穴の奥に身を潜める。
ゴブリン達がホブゴブリンの元へ集合した辺りで、慎重に様子を伺う。
昨日、いくら待っても狩りに行ったゴブリンは帰って来なかった。何か理由があるに違いない。
その理由を調べる為にホブゴブリンやゴブリン達の不審な点を探す。
ゴブリン達は60匹程度いる。ホブゴブリンはやはり昨日の鬼軍曹だった。
鬼軍曹のホブゴブリンの選別が終わる。20人の活きいいゴブリンが選ばれた。俺の短剣を持つゴブリンも今日は選んでもらえた様だ。
さっさとホブゴブリンは出て行くとやる気のある選別されたゴブリン達もついて行く、
残りは解散して、座り込んだり、適当に暇を潰すのだろう。
不自然にならない様に横穴から出て、ホブゴブリン達の後をつける。
近づかない様にゴブリンの魔石を出して、意思を入れる。確かに遠ざかるゴブリン達の集団の気配を感じた。
待機組のゴブリン達に、俺を気にする様子はない。
ゴブリンに転生したゴミ捨て場を素通りして、更に奥の狩場だろうエリアに進む集団。俺も追いかけて、はじめてのエリアに足を踏み入れる。
そこはムッとした湿度の高い熱帯のジャングル⁉︎木が鬱蒼と生い茂り、蔦がブランコの様に垂れ下がる。下草は視界を遮り、暗い森中は、侵入者を拒む壁の様だった。
ここはダンジョンなのか?
天井を探し、おもむろに空を見上げるが、どんよりとした霧に覆われて判然としない。
何より外に出た開放感ゼロである。ダンジョンシステムが機能しているか試せばいいし、期待もしていない。
ゴブリン達一行は、そのままジャングルの中に進む、踏み慣らされた道が申し訳程度に出来ていて、枝などを打ち払いながらガヤガヤと消えて行った。
暫く気配の無くなるまで待機していた俺は、ジャングルに足を踏み入れる。
けたたましい鳥の鳴き声、アブや蛭がいつの間にか纏わり付き、ゲコゲコと蛙の鳴き声がうるさい。
森を抜ける一本道を二時間くらい歩いていると前方に灯りが見えた。火を焚いている。
道から外れ、回り込んでから慎重に様子を窺うと人影が来た道を戻って行く、鬼軍曹ホブゴブリン一匹の様だ。
今の俺の実力は最弱のゴブリン、敵うはずもなく、じっと過ぎ去るのを待つ。やがてジャングルに消えて行った。
ここはジャングルにポッカリと空いた広場の様で、絶えず薪がくべられ明るかった。狩ってきた獲物も振る舞われ、各々が座って食べていた。
ホブゴブリンの数が多く、巨大な豚の喰われた残骸も見てとれた。
ここは狩りの前哨基地か!
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