第12話 寝る

ゆっくり寝た。

いろいろあったから落ち着いて今後の事を考えたい。


ここはゴブリンの集落で俺が目覚めた焚き火から右に曲がり、ゴブリンに転生したゴミ捨て場の道を通り越した先の開けた場所で、ゴブリン達が掘った横穴が無数に空いていた。奥行きも結構あって、五、六匹のゴブリンが一つの横穴に入っている感じだ。


水の湧いている場所があり、なかなか快適な環境かも知れない。


当然俺は横穴の出口に一番近い場所で、横穴のリーダーらしきゴブリンにぎあぎあ言ってたら「ギア」と言われたので、さっさと寝転んだ。


ゴブリンは弱い魔物なので、強い奴には弱く出て、弱い奴には強く出る。序列が本能でわかってしまう。ゴブリン同士争いになる事は少なく纏まりが強い。しかし集落のゴブリンの数が少なくなるとどこからか追加され、新入りなど見慣れたものなので、俺が紛れてもそれほど関心もしめさなかった。



今は夜?みんな(ゴブリンだけど…)は各自適当に食事したら横になった。俺は腹が減っていたけど、なんとか居場所を確保する事ができた。まずはこの集団に紛れ、情報を集めなくては進めない。


このダンジョンのこと、

このゴブリンの身体のこと、

生き残り、自分の目的を知ること、


何をどう手を付ければいいのかすらわからないのだから。


食事は基本なんでも食べる悪食だからなんとかなるでしょう?食べるかどうかは別にして、最悪死んでしまうまで頑張る。


ケヴィンか、俺の前の身体の名前、わかってしまった。記憶は戻らないが、ゴブリンに転生する時に名前だけは、何故かはっきりと認識した。多分魔力を溜めればまた逆転生できると思う。一度転生したデータは残っているから可能性は感じる。当然ぜんせん別の人間にはデータがないから無理だけど。


このダンジョンシステムを使えばゴブリンだけじゃなく、魔石さえ有ればいろいろ転生していく事が出来ると思う。


ゆくゆくは、ここに来た目的にもたどり着けるのだろう。


その為には、強くなって、生き延びての繰り返しだな。


まずは装備、当然だな!武器や防具が無いと怖くて歩けないし、只の餌かも知れない。


それから、ゴブリンから上位種への進化。格上になりさえすればゴブリンには思うがままになりそうだし、とにかく進化してみたい!!ワクワクだ。


更に魔石と魔法の解析、魔石には凄い秘密が隠されている気がするし、魔法には可能性を感じる。俺も火の玉「ファイアボール」を撃ってみたい!!


ここの生活に早く慣れて冒険したいぜ!



蹴られて目が覚めた…。

最悪の目覚めだ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る