エピローグ

ドールさんにはそれ以降会っていない。


というか、そう言う約束だった。


私が彼女と再会したのは、本当は許されない行為だから。


あってはならない話だから。



あれから一年が経とうとしている。

私は大学生になって、家元を離れてアパートを借りた。


彼女が隣で眠るような悲しい妄想はもうしない。


そんなことしなくても、彼女は待っていてくれてる。

そう知っているから。


私はちゃんと、与えられた分の生を全うして、彼女へのお土産話をいっぱい作るのだ。


彼女との約束を守るのだ。


ただ一つの困りごとは変な癖がついてしまったこと。


窓の外で光る虹を見て、


夕闇を見て、


友人のポストカードを見て、


「綺麗な紫」


って、言ってしまうのだ。

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紫の彼女 お餅。 @omotimotiti

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