第2話  異世界転生

 莉乃の身体はどんどん深く、沈んでいった。

 この池、こんなに深かったかしら……?

 身体がが動かない。

 まるで、何かに引っ張られているようだった。

 莉乃は横たわったまま、池の底まで行くと、意識を失った。



 ♦



『水瀬莉乃。起きなさい』


 莉乃が、目覚めると銀色の世界であった。


「私、死んだのですか?」


『そうね……あなたの世界では、生死の境をさまよっているわ』


 どこからか聞こえてくる声が莉乃の問いに答えた。


 一面銀色に輝く世界だったが、やがて光は女性の形をなって、莉乃に近付いて来た。


『私の名は、イグニス・エル・ロイル。あなたとは違う世界で、神と呼ばれる存在です』


「神様?」


 銀色の長い髪と銀色に輝き、身体の線が丸わかりのドレス。

 西洋人のような顔かたち。

 瞳も銀色だ。


 莉乃は、しばらく見惚れていた。


『あなたには、私の世界を助けて欲しいの』


「ちょっと、待って!!」


 莉乃は叫んだ。


「助けるって言っても、私には何のスキルもないわ。ゲームなんてやったことが無いから、何の知識もないし!!中学ではソフトボール1本の熱血少女よ!!

 噂に聞く、剣聖にも聖人にもなれないわ!!」


 莉乃の慌てぶりにイグニスは、フッと笑った。


『どこの世界のことを言ってるの……?私の世界には、剣聖も聖人もいないわ』


 イグニスの言葉に莉乃は安心した。


『まだ……ね』


 莉乃はズッコケた。


『まだ、若い世界なの。人族と魔族が争っているわ』


「それで!?私になにをしろと?」


『天上界で、噂を聞いたの。他の世界から人間を転生させると、思わぬ展開になるそうよ。私は、それに賭けたの!!水瀬莉乃。水に落ちて死んだ。

 あなたには二重の意味で水に縁があると思うわ!!』


 イグニスは、変な事を言って来た。


「水で死んだは余計です。」


『いいえ!!!あなたに力を授けるに値する価値です!!』


「価値って……」


 何だ?この女神様……


『このまま、元の世界に戻ってもあなたには地獄なのでしょう?』


「うぅ!!見てました?」


『ええ……天上界の泉は何でもお見通しよ。どうしますか?私の世界で、魔族との戦いに身を投じてみませんか?』


「こうなりゃ、どんと来いよ!!」


 莉乃はヤケクソで言った。

 イグニスはニッコリ笑った。


『あなたには、水の加護を与えましょう』


「分かったわ。」


『では、あなたを我が世界に送ります』


 莉乃は自分が銀色の光に包まれたことを感じた。


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