05:クリスマスイブ
「お兄ちゃーーん!!!」
インターホンが鳴ると、私が出迎えるよりも早く妹の睦月がドアを開けて、家の前にいたコタくんに抱き着いた。
今日はクリスマスパーティーを家でするので、コタくんを招待したのだ。
それにしても睦月は私の彼氏に対して遠慮というものがない。
この睦月の態度が原因で姉妹喧嘩になったのは一度や二度の話ではなかった。
「む、睦月ちゃん」
「えへへ。お兄ちゃんいらっしゃい。ゆっくりしていってね」
「ちょっと睦月! コタくんは私の彼氏なんだからそんなにくっ付かないで!」
「えぇ、いいじゃんケチだな、お姉ちゃんは」
「もういいから自分の部屋に行ってなさい!」
「お兄ちゃん……。お姉ちゃんが酷いことを言うよぉ」
睦月は目をウルウルとさせて、私のコタくんに訴えかける。
あぁ、コタくん優しいんだから困ってるじゃない。
私は睦月を力づくで引っぺがすと、「あぁん」と甘ったれた声を出す。
「全くもう。コタくんごめんね。今日は私が作ったケーキがあるから期待しててね」
「マジで!? 弥生が作ったケーキとか最高すぎだよ!」
「もぅ。コタくんは大袈裟なんだから」
「お姉ちゃんばかりズルい! 私だって一緒に作ったんだからね!」
「そうなんだ! じゃあ、期待してるね」
「うん。頑張ったから食べ終わったら感想聞かせてね」
「あはは。分かったよ」
全くコタくんは睦月に甘すぎるんだよね!
私のコタくんなのに、睦月はもうちょっと遠慮っていうものを覚えた方が良いのよ!
プリプリと怒っていると、コタくんが頭に手を乗っけて「ごめんな。部屋に行ったら2人だけでたくさん話そうな」と耳元で囁いてくれたので、チョロい私はそれだけでメロメロになってしまう。
部屋に行くと、私は睦月のせいで溜まっていたストレスを、コタくんに甘える形で発散をしてやった。
コタくんのことをギュッと抱き締めたり、胸元に頬擦りもしたし、ホッペにチュッチュってたくさんキスもした。
そんなことをしてると、コタくんに顎を掴まれて唇に思いっきりキスされてしまった。
はわわわわわわわ!
いきなりそんなかっこいいキスをされたら、もう私コタくんのことしか考えられなくなっちゃうよ!
頭が完全に仕上がっていると、突然口の中に柔らかい何かが侵入してきた。
え?
何?
何が入ってきたの?
私は混乱をしていると、その柔らかい何かは私の口の中を蹂躙し始めた。
あっ、この感触とても気持ちいいかも。
私は頭がポーッとして何も考えられなくなってしまうが、無意識のうちに舌を柔らかい何かを絡ませるように動かした。
何これ。
気持ちが良すぎるよ……。
「ん……。ふぅ……チュッ……チュプ……ふわぁ……」
こんなエッチな声が私の口から出てるなんて……。
私は恥ずかしい気持ちになったが、それ以上に初めての快楽にどんどんとのめり込んでいった。
だけど、ダメ。
これ以上やったら理性が飛んじゃう……。
「チュッ……ンッ……ちょ、ちょっと待って……コタくん……あん」
私が待ってと言うと、コタくんは口を離してしまった。
私は今まで絡めていた舌の感触が無くなってしまい、それを求めるように舌を無意識に伸ばしていた。
「気持ち良かった?」
「う、うん。こんなの初めてだよ。なんか頭が真っ白になっちゃった」
「俺もだよ。こんなに興奮したの初めて」
「――コタくんしたいよね? 今日はお母さんたちもいるからダメだけど、明日のお昼は誰もいないからまた家に来ないかな?」
明日はお母さんとお父さんはお仕事だし、睦月はお友達の家でクリスマスパーティーをするって言ってたからこの家には誰もいないのだ。
「え? いいの?」
「うん。私もそろそろ前に進みたいなって思ってたから……」
「マジで? めっちゃ嬉しいよ。大好きだよ、弥生!」
「うふふ。私もだよ。コタくん大好き」
そして、またさっきのような激しいキスをしてから、私たちはリビングに降りてみんなとクリスマスパーティーを楽しんだ。
睦月からは「お姉ちゃんの顔なんか赤くない? 怪しいなぁ」って言われちゃったけど、「楽しくてテンション上がったやったのよ」と無理やり納得させた。
コタくんは「あはは」と楽しそうに笑っていて、そんなコタくんと明日ついにエッチなことをしちゃうんだと思ったら、さっきよりも顔が赤くなってきてしまうのが分かった。
「はい。これ、クリスマスプレゼントだよ」
コタくんは私たち全員にプレゼントを用意してくれていた。
全員なので、この場にいないお父さんの分まで用意してくれていたのだ。
お母さんは「あらあら。ごめんね。私はコタくんのプレゼント用意してなかったわ」と恐縮しまくっていたが、睦月はコタくんからのプレゼントに大ハシャギだった。
私は全員と一緒にされたのがちょっと悔しくて膨れていると「弥生には別にもう一つ用意してるからね」と言われてまたしてもテンションが爆上がりしてしまう。
コタくんは私の扱いを完全に知り尽くしているのかも知れない。
それくらい、私をいつも嬉しくしてくれるのだ。
クリスマスパーティーが終わり、私の部屋に2人で戻るとバッグから何かを取り出して「プレゼントだよ」と手渡してくれた。
私は「開けてもいい?」って聞くと、「もちろん」と言うので包装紙を破かないように丁寧にプレゼントを開く。
中には小さな箱が入っていた。
その蓋を開けてみると、その中にはキレイなネックレスが入っていた。
「うわぁ……。とてもキレイだよ。コタくんありがとう。けどどうやって買ったの? 高かったんじゃない?」
彼からのプレゼントはとても嬉しかったが、中学二年生のコタくんが買えるアクセサリーには見えなかったので、心配になってしまった。
「いや、そんなに高くないから安心して。俺はお年玉とかも全然使わないからさ、結構お金は持ってるんだよ」
コタくんは私が喜んだことが嬉しかったのか、弾むような声で説明をしてくれた。
私はそんな彼の気持ちが嬉しくて、「好き。コタくん大好き」と言いながら、コタくんの胸に顔を擦り付けながら抱きしめる。
そんなコタくんは、私の頬を撫でながら「俺も大好きだよ」と囁いてくれた。
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