第51話:黄金の誘惑、恐怖のお宝ツアー!?③

「なんかしょっちゅうこういうことあるみたいよ、盗難」


目的地に向かうツアー用のラクダ(お目めぱっちり)にまたがったメルトが、同じくツアー用ラクダ(ガラ悪め)に乗るビター言った。


ちなみにフィナンシェはメルトと同じラクダに乗り彼女が落ちないように後ろで補佐している。



激安ピラミッドツアーの観光場所は砂漠の中にあるらしく、ラクダに乗ってそこまで行くらしい。

ラクダで送迎とは趣がある。

運賃はツアーのプランに入っているので安心。


「治安最悪かよこの村……」

「あんたの顔もそうとうな治安の悪さよ」

「黙れ」

「お二人とも、ラクダの上で暴れないでください」

「ガルルルル」


ビターの乗るラクダが唸った。


「ラクダまで治安悪いのかよ……」

「私とフィナンシェのラクダは可愛いもーん。私に似て美少女!」

「そいつ男ですぜ」

「……」


「ま、キャーメル村は住むに最悪ですが観光地としては最高なんで楽しんでくだせえ」


「最悪って、認めるのか」

「住めば都ってヤツですよ。さ、着きましたぜ」



連れてかれたのは砂漠の中心にぽつりと建つ、無機質で簡素な造りの長方形の建物だった。


大自然の砂漠の中にプレハブ小屋(Lサイズ)みたいのが建ってると違和感しかない。


「ここが、ツアー観光地?」

「汚え小屋しかないぞ」

「失礼な。我がツアー誇る観光名所、『キャラメルパーク』ですよ!」

「これがァ?」

「どこがパークよ! なにもワクワクしないわよ! 見てフィナンシェもこんなに肩すかしくらった表情してる!」

「(しょぼん)」

フィナンシェの眉間に小さいシワが集合していた。


「おい俺ら騙されてねェよな。激安ツアーだからって適当なとこ紹介してんじゃねェぞ」


「失敬な! 『キャラメルパーク』はキャーメル村の歴史を学べる工場見学にキャラメル作り体験ができるスタジオ、お土産屋さんも多々! ここに全て入ってるんですよ」


ビターたちの薄い反応におっさんは度肝抜かしますぜ、と寂れたシャッターを開けて案内した。

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スイーツ・トリップ~ちょっぴりオカシな珍道中~ 秋月流弥 @akidukiryuya

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