出会い
目の前に置かれた紙片に集中を高めるエアノア
意外なほど早くその瞬間、紙片と自身の感覚が繋がる瞬間は訪れた。
まず感じたことは、意外なことに温かな安心感であった。まるで母のような…
その感覚に戸惑いを覚えつつもさらに集中する。
「不思議な感じ、なぜか懐かしい?」
紙片は、少しも変わらずにオーク材のテーブル上にある。
すると紙片は少しずつ大きくなる。そして一枚の便箋に戻る。横にはいかにもという感じのインク瓶と筆があった。
すると目の前に紙片だった便箋に手が伸びて何やら書き込んでいる。その手の主が男性であるようだ。その手は書き込んでは止まり書き込んでは止まり、かなり、悩みながら書き進めているようだ。いや、ほとんど影しか見えないので男性と見える人影だ。かなり長身でがあったので、そう考えた。
そして彼は何か決意したように便箋を破ると、自身の首から首飾りを外す...どうやら彼が首飾りの継承者であり、その継承者本人が、この手紙を総長に送ったようだ。
そのまま左手に首飾りを握りしめ、こともあろうか首飾りを机の端に打ち付け出した。
そこにには焦り、恐怖が感じられた。
しかし、エアノアはこの時も母と一緒に見ているような温かな安心感を感じていた。
何度目か打ち付けた時、首飾りが壊れたことが感じ取れた。
彼には相変わらず焦りがあるが、一種の諦めにも似た感情があるように彼女は気が付く。
しかし、次の瞬間
そのまま視界が暗転した。
最初は集中が途切れて術が解けたのかと思ったが、そうではないらしい。
目の前に、あるはずの紙片も机も暖かな暖炉も無くなっていた。
「何これ…」エアノアは少し不安に襲われた。
何度かこの術を試したことがあるが、ここまで鮮明に見えたことはなかった。
そして、こんな暗闇も見たことがない。
手探りで当たりを探ってみる。座っているはずのソファの感触すらない。何か取り返しのつかないことになったのか?
とこの時は焦りを感じた。
「あなた誰?なんでここにいるの?」突然幼い子供の声がする。そしてなぜか安心して気が遠くなるのをエアノアが感じた。
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