総長

エアノアは案内されついて行く、いくつかの階段と通路を通った。

もう2度と辿り着けそうにないほど複雑であった。


通された部屋ははかなり簡素作りで、部屋に入ると窓際に一人立っていた。

髪がとても綺麗で艶ある黒髪は薄暗い室内の光を全て集めるように光を帯びていた。


「どうも、座って出迎えるのは苦手で、初めまして、私はこの首飾りの会の総長のバーネット・クラウスシッゼットといいます。わざわざお呼びだてしてすいません。」

礼儀正しくお辞儀をした。


非常に抑制された感じの声だが、肌は褐色で快活さ感じられた。何処か捉え所のない感じがしてエノエアは少し固くなる。


「エアノアです。_エアノア・アローナ_ですよろしくお願いします。」総長と聞いて驚いたが、なんとか表情には出なかったと思う。


「そう固くならずに、少しお願いしたいことがあるだけでなのよ」とエアノアの様子を見てとったバーネットは席をすすめた。


勧められるままに目の前のソファに腰を下ろす。

革張りの随分と古いものではあるが、適度に腰があり座り心地の良いものであった。


バーネットも向かいの席に腰を下ろすと呼び鈴を鳴らす。

その仕草にエアノアは違和感を覚える。

秘密結社の総長と言っても学生なのである。当然使用人や秘書の類はいない.......


バーネットは入ってきた生徒に、お茶の出すように言った。

「あの〜彼は学生ですか?」まるで召使いではないか。


「あぁ、そうね初めてですものね。違和感あるわね。彼はもちろん学生でホッジスと言うの秘書や執事のようなことをやってくれているの。」


スポーツクラブでは先輩や後輩があってもお茶を出したりはしない主従ではないので基本的には対等なのである。

しかし、この秘密結社では主従が存在しているように_見える_。それは、そのようなポジションを与えられて活動にしており、サッカーのデフェンスやフォアードであり、どちらが上位、下位はなくあくまで仕事、役回りとしての関係であった。

そのため、ホッジスは名前ではなくこの役職を示すものであった。

その他にも、音楽隊やボランティア部隊などメインの活動組織に加えていくつかの小さな組織がある。ただ、親衛隊など武装組織を持っている点は他のクラブとは相容れない。



「人探しをお願いしたいの」

バーネットは軽く言った。落とし物を探しているようなそんな響きがあった。


なぜ、部長にでなく私に言ったのか少し疑問があった。

「あまり大ごとにはしなくないの…わかるでしょう?」

確かに秘密結社ならそうか?でもなぜ私なのか?


「あなたが、非常に魔術に精通していると聞いているの。特に失われた追跡魔術にも詳しいそうね」バーネットと視線があった。


「まだ、研究段階ですので実用レベルではないと思いますよ。」

「構いません」バーネットの語気が少し強まったように聞こえた。

が、それに気付いたのか取り直して続ける「もちろん成功を望んでいますが、うまくいかないくても魔術の研究には役に立てるはず結社としても非常に興味深く有意義なものであると考えています。」


「そうなのですか?」そんなものだろうかと腑に落ちうるような落ちないような

「…」

コンコンと乾いた音が響いた。古めかしい木製の扉がノックされ開いた。

先程下がったホッジスがお茶を持って入ってきた。

そのタイミングで「誰を探すのですか?」微妙な沈黙が途切ようにエアノアが声を発した。

「それがわからないのです。」バーネットは申し訳なさそうに言った。

[はぁ]エアノアの頭に疑問符が浮かんだ。


困惑が表情に出ていたのだろう

「実はこのメッセージから探してほしいのです」バーネットが笑みを浮かべながら説明した。


「エアノアは紙片を取って一読してギョッとした。」

「わかるでしょう?あまり大ごとにはしてほしくないのです。」とバーネットは少し目を見開いて囁いた。

その紙片にはこう書かれていた。


**『女神は鎖を解かれ海に沈み、偉大なる父の元のに帰る。死は全てを暗闇に隠す。』**

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