第54話「二槽式洗濯機」

父「押し方の続きをやるか」


娘「あぁ、押し方ね。直ちゃんさんのことで忘れてた」

父「洋式のトイレなら、排便の後、トイレットペーパーで拭き、下着をつけるだろ。この時、パンツとももひきの厚みがあるのが俺は好きだ。パンツの上からだとうす過ぎてなんか嫌なんだ。直接押す気にはならないしな」


娘「なるほどね、パンツとももひきの上から押すと。女の子はももひきははかないけどね……」

 冬子はメモに書いている。


父「厚みは、いろいろ工夫してくれ。ジャージの上からでも押せるが、厚みがありすぎて感覚がわからないんだ。トイレットペーパーもダブルだと厚くなってわかりずらい」


娘「家のトイレットペーパーもダブルからシングルに変わったもんね」

父「あれは、俺が、お母さんに頼んでシングルに変えてもらったんだ。ちなみに、お母さんは、お尻の導引は全部知ってるぞ。俺が教えた」


娘「お母さんもやってるんだ!?」

父「50歳を過ぎたら、男も女もやったほうがいいな。それで、姿勢だ。便座に左足を乗せて、胸を左の膝に付ける姿勢になる。そうして、左手で肛門を押すんだ。この時、右手で押しては角度が悪くてちゃんと押せない」

娘「なるほどね〜左足を乗せたら、左手と……よく、お母さんが便座に足を乗せるのを許可したわね」


父「……それは、お母さんに教えてない」


娘「お母さんに全部教えたって……」

父「お母さんには部屋でやる、立て膝をついて肛門を押さえる姿勢を教えた。右膝を床に着けて、左膝は立てる、そこに胸をつける。そして左手で肛門を押すんだ。ちなみに、お母さんの胸は、ブラジャーがBカップだと言っているが、たぶんAカップだ。間違いない!」


娘「お母さんの胸は、Aカップだね……」


父「トイレでの押し方はいいか? 次いくぞ」

娘「ちょっと待って。押す時間はどれくらい?」

父「時間は決まっていないが片側1分くらいで左右で2分くらいにしといたほうがいいだろう。やりながら、時間を伸ばしたり短くしたり自分で変えていくといいぞ。症状はみんなちがうからな……」

娘「なるほどね〜っ」


父「次、洗濯機のやり方。これは、同じ型の洗濯機は、そうそうないと思うから、高さで言うと81cmだ。さっき計ってきた」

娘「トイレ行った時? あの洗濯機は、ずっとあるね。二槽式洗濯機は、もう珍しいよ。買い替えないの?」


父「あれは、親父が俺とお母さんの結婚祝いに買ってくれた洗濯機なんだ。壊れたら買い替えようと思っているんだが、壊れないんだよな〜〜っ」

娘「おじいさんからの結婚祝いだったの、それは捨てられないね……」

父「別に洗濯機じゃなくてもいいんだ。棚でも机でも、身長も違うから自分に合った物を探すといい」


娘「なるほど、高さ80cm程度の安定してる物と……」

 冬子は、どんどんメモを取っている。


父「俺は、洗濯機に左足を乗せて、右手は、ちょうど壁に置いてある角材に手を乗せて、左手で肛門を押すんだ。すると、この角度がピッタリと合って効くんだ!」


娘「なるほど、なるほど。こうか!? ところで、あの角材って、ずっとあるけど何なの?」

父「あれは、俺のパソコン用の机を作ったときの余りだ。ノートパソコンを使う時は、普通の机より、パソコンの高さの分だけ低い机の方がいいので机を作ったんだ。余った角材が、ちょうど1mだったので、足圧でお母さんの背中を踏んであげる時に杖として使っていたんだ」


娘「なるほどね、角材も別になんでもいいんでしょ?」

父「体を支える物なら何でもいいよ洗濯機に片足を上げた姿勢は不安定だから、片手で体を支えないとひっくり返ってしまう。この時は、胸は膝につけないぞ、胸は、普通に垂直のままだ」


娘「こうやって、こうでしょ。これで右手に支えと」

 冬子がテーブルに左足を乗せ、右手は椅子の背もたれを掴んで左手をお尻に当てている。


父「そうだ、百年の恋も冷める姿勢だな……」

娘「恋人の前では、やらないわよ。お父さんの前だけ。確かに肛門に当たる指の角度がいいね。これなら治りそうな気がする」


父「これは、効くんだが、なにぶん不安定な姿勢だから片側で1分もできない。短い時間で何回かやるのがいい。それと、人には見られない工夫が必要だ」

娘「高齢の方には、勧められないね」

父「ひっくり返る危険のある人は横になってやったほうがいい」

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