第34話

「エマ先輩遅くなってしまってすみません。お願いされてた。2挺目のショットガンです。後、これが風紀委員用のハンドガンです。弾は無属性弾にしてあります」


ポライト火山に行ってから1週間後。

ようやくエマ先輩に頼まれていたショットガンが完成したので久しぶりに部屋から外に出て、エマ先輩にショットガンを手渡しに来ている。


「部屋にこもってずっと魔法銃を作っているとステラ嬢から聞いてはいたが。酷い顔をしている。ちゃんと寝ているのかい?」


この一週間、ご飯を食べて寝る以外の時間はずっとハンドガンタイプの魔法銃を作り続けていた。ちゃんと睡眠はとっていた筈なんだけど。疲れが取れない。

この後は2、3日何もせずに休む予定だ。


「俺はこの後、しっかり休むんで大丈夫です。それに、エマ先輩を始め風紀委員の人達も忙しいでしょう?主に俺のせいで」


俺が性能のいい武器を生産系スキルをとっている人に配っているとすぐに広まった。

当然、戦闘スキルをとっている人がそれに嫉妬して、俺たちにも寄越せとと言う輩が出てきた。


誰に渡そうと俺の自由だとも思うし、ガン無視決め込んで良いかな?と思ってたんだけど、俺以外の人に被害が出るのは宜しくない。と言っても、こうなる事は最初から予想出来ていたので。エマ先輩経由で風紀委員会にハンドガンタイプの魔法銃を生産スキル持ちに配る事を事前に説明しておいた。

そのせいで風紀委員用のハンドガンタイプの魔法銃を作ることになったけど。


生産スキル持ちの生産スキルのレベルが上がれば、戦闘スキル持ちにも今より性能の良い武器が手に入るようになるだろうし。

だから、少し待ってれば騒ぐ戦闘スキル持ちも居なくなるだろう。


その間、やりすぎな生徒を鎮圧するための風紀委員もみんな激務が待っている訳だけど。

いや、ホント申し訳ない。


「確かに風紀委員の仕事は倍以上増えているが。レッカくんの魔法銃を纏まった数手に入れることが出来たし。レッカくんの武器のおかげでスキルレベルを上げている生産スキル持ちの人達も風紀委員会を優先で仕事を受けてくれるからね。みんなやる気に満ち溢れているよ。人数いるからちゃんと休日も有るからね」


イチャモンつけてくるやつより、味方してくれる風紀委員会を贔屓するのは当たり前なんだよな〜。


「でも、本当に風紀委員会の人達のおかげで助かりました。本当はお昼ご飯一緒にどうですか?って誘ったりする場面だと思うんですけど。疲労度がMAXなんで、このぐらいで失礼します」


「だろうね。もうそろ新学期も始まるし、しっかり休んで疲れを癒した方が良い」


そっか。忘れてたけど。今は春休み期間だから授業がないだけで。

もうすぐ、授業が始まっちゃうんだよな…。

そう考えると部屋で寝てるのはもったいない気がする。

と言っても体がもちそうにないので今日一日は部屋でダラダラしよう。

学食通りで、おやつのドーナツをかってから

部屋に帰ると。

新しいステラさんが装備を試着していた。

そう言えば、ステラさんの知り合いで機織りスキルを持っている人にロック鳥の羽で防具の制作をお願いしてたな。

名前はキティさんだったっけ?

この人もエマ先輩と同じく2年生だから先輩だ。おかしいな?同学年の知り合いまだステラさんしかいないんだけど。


「どうどう?見た目も性能も最高傑作だよ」


ステラさんの新装備は前と同じく白を基調とした軍服風の装備だ。ただし、細かい意匠が色々と追加されて性能だけでなく、見た目も大幅にグレードアップしている。


「確かに。その装備をつけたステラさんを見たら誰だってイチコロだろうね。すごい似合っているよ」


「有難うございます。レッカさんのも完成してるみたいですけど。どうしますか?」


このままベットに直行したいけど。ステラさんも見て見たそうにしているし。

細かい調整をするのにも作ったキティさんがいた方が良いだろうし。装備を1回着るぐらい大した時間かからないだろうと付き合うことにした。


俺の装備は被ると顔が隠れるぐらい深めのフードが付いていて、丈がくるぶしぐらいまで有る。如何にも魔術師って感じのローブだ。

表は黒、裏側は赤と言う配色になっている。


「思ってたより動きやすいね」


ローブだと、もっと動きづらくなるかな?って思ってたけど。軽い近接戦ぐらいならこのままでも普通にできそう。


「そこら辺は本職の腕の見せ所ってこと」


なるほど。キティさんの工夫のおかげなのか。

キティさんの実家はステラさんの家の領都に本店を構える。貴族御用達の服屋さん。

スキルのレベルが高くないと性能のいい物は作れないけど。スキルレベルが高いだけじゃ性能のいい物は作れない。

スキルレベルに見合った技術を身につけて初めて性能のいい物を作れるようになる。

キティさんは小さい頃から実家で修行しているから、ただスキルレベルが高いだけじゃなくて、技術もしっかりと持っている。


その点、俺は上級錬金術って言う。スキルレベルだけでゴリ押しして、作ってるから。

スキルを使いこなしているとは言えないんだよね。本来ならもっと性能のいい物を作れるみたいだし。


選択授業があるらしいから、錬金術の授業があったら、それにしようかな。



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読んでいただきありがとうございます。








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