第33話

「転移すげぇ。ほんとに一瞬で飛竜の谷に到着した」


鉄が今後沢山必要になりそうだったので、飛竜の谷に鉄鉱石を採掘しに行こうと思ったらあー子様が飛竜の谷まで転移でキャリーしてくれるという事で、好意に甘えてキャリーしてもらった。


転移なんて初めて体験したけど、エレベーターが動き始めた時のフワって感じがしたと思ったら、既に飛竜の谷の入口に立っていた。


「まぁ、神だからな。この程度朝飯前だ」


「人間にも転移使える様になったりしないんですか?」


ランダムスキルダンジョンで超超低確率で手に入ったりしないかな?


「詳しくは言えないが、ランダムスキルダンジョンをもっと進めれば転移系のスキルが手に入る可能性はあるぞ」


予想通りランダムスキルダンジョンなら手に入る可能性があるみたいだ。まだまだ進めないと手に入らなそうだけど。



「それより今は鉄鉱石集めだろう?ステラが交友関係を使って人集めをしてるのにレッカはサボりか?」


確かに今は鉄鉱石集めに集中しないと。と言っても、集中しすぎてレッサードラゴンの接近に気づかなかったら一大事だから。索敵は忘れないようにしないと。


遠距離攻撃を持たないレッサードラゴンの攻撃範囲に入るまで接近に気づかないって事はないと思うけど。


「そう言えば、飛竜の谷にもポライト火山みたいにレイドボスがいたりするんですか?」


ポライト火山のレイドボスロック鳥はまじでやばかった。炎神の外套を使わなきゃ勝てなかっただろうし。Lv8ダンジョンのレイドボスで、そのレベルだったんだからもし、Lv10ダンジョンの飛竜の谷にもレイドボスがいた場合俺死ぬかもしれないし。

炎神の外套は最長3分しか発動出来ないので、3分間ガン逃げされて倒せなかったら、俺はその時点でゲームオーバーだ。

いくら神の炎でも当たらなければ倒せないからね。


「飛竜の谷にはレイドボスはいない」


良かった。ならレッサードラゴンに気をつけるだけだから、よっぽど油断しない限り大丈夫だろう。


でも、レイドボスがいないならいないで、なんでLv8にはレイドボスがいるのに、Lv10にはレイドボスがいないのか気になっちゃう。

じゃあ追加するかとか言われたら困るから聞きづらい。


「いや、単純に飛竜の谷もレイドボスを設置しようとは思ってたんだけど、飛竜の谷だから勿論レイドボスはドラゴンになる訳だが。そうすると難易度が上がりすぎて、バランスが崩壊するという事でLv10ダンジョンの飛竜の谷にはレイドボスの設置は凍結された」


ロック鳥でも転移したり、掠っただけでも即死級の攻撃をバカスカしてきたし。そのロック鳥より2段階も上のレベルのドラゴンのレイドボス…うん、そんなのが本当にいたらバランス崩壊ってレベルじゃない。なんだこのクソゲーって叫んでるところだ。


神様たちが冷静な判断をしてくれて良かった。


「レッサードラゴンの骨を使ったツルハシのおかげで、岩が豆腐みたいに削れるから。だいぶ楽にはなってるんだろうけど。しんどいもんはしんどい」


素材探知を使いながら鉄鉱石を作業のように採掘していく。かなりの量の鉄鉱石を採掘したと思うけど。インゴットに精錬する際必要ない不純物も鉄鉱石には含まれているので鉄鉱石の量を丸々、鉄として使える訳ではない。そう考えるとまだ全然足りない。

途中でヒヒイロカネとかアダマンタイトとかも採掘出来たし。レッサードラゴンも倒したし。鉄だけじゃなくてそこら辺の素材も使っちゃおうかな?とか考え出してる。


でも、素材に差をつけるとそこから問題に発展するかもしれないし。鉄で統一するのが1番か……。


その後は無心で鉄鉱石を採掘し続け。

最終的にハンドガン型の魔法銃200挺分の鉄を集めることが出来た。

結果的に他の鉱石もそれなりに集まったけど、今回は使わない。


「ようやく目標の量に届いたか。想像以上に時間がかかったな。もう、晩御飯の時間はとっくにすぎてしまってるぞ」


あー子様がそう言うけど。これでも早い方だと思うんですよ。レッサードラゴンの骨を使ったツルハシに素材探知を使って鉱石の位置を把握して採掘してるんだから。

やっぱり人間1人では限度があるってことだと思う。


「まぁそれもそうか。そんなことより、ステラもご飯を用意して待ってるはずだ早く帰るぞ」


あー子様もステラさんの作った晩御飯を食べていくつもりらしい。転移でキャリーして貰ってるし。仕事して貰っている以上文句は言えないけど。


「やっと帰って来れた。ってニャル様も来てるんですね」


あー子様の転移でステラさんと生活している部屋に帰ってくると当然のごとくニャル様も

部屋に来ていた。


「当然です。あー子だけロック鳥を食べるなんてずるいですからね」


そんな事だろうとは思った。


「なので今日の晩御飯はロック鳥のチキン南蛮です」


それは楽しみだ。でも、ダンジョンで採掘をしていたので体が滅茶苦茶汚いので先にシャワーを浴びてこよう。


神様2人を待たせることになるわけだけど。

今更だし。



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読んでいただきありがとうございます。

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