第27話

「先輩方お疲れ様です」


リザードマンを倒しきってドロップに変わったので先輩たちの方に近づいて飲み物を渡す。


「有難うレッカくん。無事に倒せたけど正直倒すまでは生きた心地がしなかった。でも、散弾でも防御力の有るリザードマンを相手に出来るのはホントに凄いよ。それと1つ相談なんだけど。このショットガンをもう一挺作って貰えないかな?このサイズなら二挺持ちが出来ると思うんだ。散弾を撃つなら命中率が下がっても問題ないし」


ショットガン二挺持ち!確かに魔法銃は全く反動が無いから片手で撃つこともそこまで難しくない。片手打ちをすると流石に命中率は下がるけど。俺なら視線誘導を付与できるし、ぶっちゃけ命中率とか関係ない。

しかもエマ先輩の場合ショットガンだから。

散弾の場合は命中率そこまで気にしなくていいし。

何よりショットガンを二挺もちをするエマ先輩を俺がみたい。


「分かりました。最高の物を用意させてもらいます」


「そこまで気合い入れなくても。これと同じで良いからね?このままでも今のところじゅうぶんすぎる火力だから」


「エマずるい!レッカくん、私も棒手裏剣増産希望!」


ミラ先輩も麻痺が入ったせいで遅れてきたリザードマンを棒手裏剣の投擲連打で倒しきった。


リザードマンは永遠に麻痺が入りっぱなしで何度も棒手裏剣が刺さって正直同情してしまうレベルで可哀想だった。

普通麻痺が入り続けるって言うのは有り得ないんだけど。斥候のスキル状態異常確率上昇のおかげで実現してしまったらしい。


それでも本来この戦法を取るなら棒手裏剣をそれこそ100本単位で持っていなきゃ成立しないし、その棒手裏剣全てに麻痺付与を付与してもらわなきゃ行けない。

当然投げた後にどこかに行ってしまって回収できない棒手裏剣も出てくる。

お金がかかり過ぎる戦法だ。

だけど、今回ミラ先輩が使ったのは俺が自動帰還を付与した棒手裏剣。

投げても棒手裏剣入れに戻ってくるので何度も投げられる。

そのおかげでお金をかけずにこの凶悪戦法を使えるようになってしまった。


ある意味タイマン最強なんじゃないか?

攻撃力は低いから時間はかかるだろうけど、麻痺し続けて動けないからこっちがダメージを受けることもないし。

時間がかかる分、援軍が来たり。他の魔物に見つかったりする可能性は上がってしまうから。

本当に一人で戦うのはオススメ出来ないけど。


「棒手裏剣も作るのは良いんですけど。棒手裏剣自体は鍛冶師に作ってもらった方がいい物が出来ると思うんですよ。勿論付与は俺がやりますけど。なんで今回、採掘した鉱石を鍛冶師に持って行って棒手裏剣に加工してもらってください。それを持ってきてくれれば付与しますので」


やっぱり錬金術の素材を変形させるスキルで重心を調整したり、研がないで刃をつけるのは大変なんだよね。出来なくは無いけど。

しかも、鍛冶師が作った方が性能のいい物ができるし。

魔法銃に関しては金属のパーツを使ったとしても俺が作っても鍛冶師が作っても余り変わらない。

これに関しては現時点ではと言う事らしいけど。

なんで?と聞かれるとニャル様からそう聞いたからとしか言えない。

上級鍛冶術のスキルが手に入った人が加工するなら俺が作るより質のいい物を作れるようになるらしい。


「神様から聞いたとかツッコミ満載だけど。まぁレッカくんだし。そういうことだって納得しておくよ。それじゃあ棒手裏剣が完成したら連絡したいからID交換しよう!」


そう言えば、エマ先輩とステラさんに安易にスマホのIDを女性に教えると大変なことになるって散々脅されたな。

ミラ先輩なら悪用しないだろうし。もし悪用したらエマ先輩がしょっぴいてくれるだろうから教えるには構わないけど。

ここで簡単に教えるとステラさんとエマ先輩に小言を言われてしまう気がするので、1度断っておこう。


「わざわざIDを交換しなくてもエマ先輩に伝えてもらえれば、そこから連絡がいきますから大丈夫ですよ。同じクラスって言ってましたし」


そう言うと、ミラ先輩はしっぽと耳がヘナっとなり、顔も凄いショックそうな顔をしている。俺がすごい悪いことをしているみたいだ。


ただ、ミラ先輩の場合これは演技だろう。

まだあって数時間しか経ってないけど。それぐらいはやってくる人だと俺の感が言っている。


「この話はおしまい。せっかくLv8ダンジョンに来てるんだからもっと素材を取って帰りましょう!ミラ先輩、魔物の索敵お願いします」


魔物の索敵自体は俺もできるけど。ミラ先輩の方が何倍も範囲が広いからね。


「エマ!レッカくんが意地悪する!」


「日頃のおこないのせいだろう?」


「酷い!」


この後、ガチで拗ねてしまったミラ先輩をエマ先輩と2人がかりで宥めた(結局スマホのIDは教えていない)。


「あれ?あの遠くを飛んでいる魔物俺らのこと気づいてる?」


だいぶ遠くを飛んでるはずなんだけど、俺らのことをロックオンして向かってきている気がする。


「結構遠くに居るはずなのに目視できるってことはかなり巨大だよね」


なんか嫌な予感がしてきた。


「そう言えば、Lv8ダンジョンのポライト火山にはボスの他に低確率でボス以上に強い魔物が出現すると噂があるらしいですが…もしかしなくてもこれは」


多分それだよね。


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読んでいただきありがとうございます。







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