第12話

「昨日の夜俺がやらかした件についてですね。先に結論を言わせていただきますと、結婚では無く婚約ってことじゃダメですか?」


「婚約して頂けるんでしたら、喜んでお受け致しますが、てっきり烈火さんは昨日のことは無かった事に・・・って言うと思ってたからびっくりしました。私はこっちの方が嬉しいですけど」


ステラさんの実家に話を通さないで大丈夫なのか確認も必要だった。


「そう言えばステラさん実家に話を通さないで進めて大丈夫なんですか?」


「昨日の時点で両親に許可は取ってます。

どこかのタイミングで両親に会ってもらう必要は有りますけど」


スマホが有るんだし、連絡は何時でも出来るよね。

ステラさんのご両親にお会いする前に何か用意しておかないと、やっぱり資源ダンジョンLv10で素材集めて上級錬金術で何か作ろるのが1番いいかな?


「烈火さんに1つ質問しても良いですか?」


「勿論」


「父が烈火さんのことを調べても何も出てこなかったと言っていました。隠蔽されたり情報を消した痕跡すら出て来なかったそうです。そんなの普通は有り得ません。

昨日までこの世界に烈火さんが存在しなかったとかでも無い以外は」


俺的には話していいけど、神様的には話すとまずいとか有るかな?


(別に好きに話して良いぞ。ただ広め過ぎると面倒事に巻き込まれるかもしれないから注意はするんだぞ)


あー子様から許可も出たし、話すか〜。

嫌われなきゃ良いけど・・・。


「ステラさんの言う通り、俺は昨日初めてこの世界に来たんだ。それまでは、別の世界でクトゥグア様の力を悪用しようとする人を始末して回ってたんだ」


「そうだったんですね。じゃあ、烈火さんはいつかその世界に帰るんですか?」


想像以上あっさりしてるんだけど?


「帰るつもりなんてないし、帰りたくても帰れないと思うよ多分?」


「そうですか。なら問題ないですね。

もし、居なくなってしまうなら、この話の意味がなくなっちゃいますから、これだけは確認しておきたかったんです」


それだけ?なんかもっと無いの?


「それだけ?」


「この世界出身じゃなくても烈火さんは烈火さんですし。この話はもうおしまいにしましょう。今夜は2人で婚約記念パーティーをしましょう。午前中は烈火さんの装備を買いに行って、午後はパーティーの買い出しと準備です」


異世界出身とわかってもステラさんからしたらそんな事どうでも良くて、ある日突然、俺がその世界に帰るのかだけが不安材料だったらしい。


ステラさんに嫌われなくて良かったな〜。


「聞いてますか?烈火さん」


「えっ?聞いてる聞いてる。装備なんだけど、先に資源ダンジョンLv10 飛竜の谷に行って素材を手に入れようと思うんだけど

ダメ?」


昨日ネットサーフィンしながら、近くに良い資源ダンジョン無いかなって探してたら飛竜の谷を見つけた。


階層は一階層しかなくて道もほぼ1本道で谷に用意された足場を進んで行くらしい。


今回は入口付近を探索するだけのつもりだから攻略するつもりは無いけど。

道中に出てくるのはレッサードラゴン。

ボスが属性持ちのレッサードラゴンらしい。


普通のレッサードラゴンは遠距離攻撃が出来ないらしい。


急降下からの鉤爪攻撃とか尻尾を使った攻撃が主な攻撃手普段らしい。

足場が不安定な事を除けば割と倒せるんだろう。近づかれる前に魔法の連打で倒せるだろうから。


ボスの属性持ちのレッサードラゴンはブレス攻撃が出来るみたい。

だから、今回ボスは戦わない。

俺たちレッサードラゴンに通用する攻撃力は有るけど、防御は紙装甲だから遠距離攻撃持ちはキケン。


クリアするのはレッサードラゴンで装備を整えて、スキルダンジョンで防御系スキルが手に入ってからだな。

そうステラさんに説明する。


「それならありかもですね。少しでも危ないと思ったらエスケーピングストーンが有りますし」


エスケーピングストーンというのは錬金術師が魔石を加工して作るダンジョン脱出用の使い捨て魔道具である。

Lv5以上の魔石からしか作れないらしく意外と高級品。


この世界で攻略されているのは大昔に攻略されたダンジョンLv7が最高らしい。

Lv3、4を攻略している人が1番多くて、Lv5が国に30パーティーぐらいのみ、Lv6が5パーティーらしい。


ちなみに沢山入るマジックバックも錬金術で作れる。バックに空間拡張を付与する時にどれだけLvの高い魔石を使うかで容量が決まるらしい。

Lv1の魔石だと容量が倍になる程度しか拡張されない。

そして、1年程度で空間拡張の効果は切れてしまうので、定期的に錬金術師に空間拡張を付与してもらう必要がある。


ステラさんはLv5の魔石を使って空間拡張を付与したマジックバックを持っている。

俺はマジックバック自体持ってないので、レッサードラゴンの魔石が手に入ったらそれを使って作ろうと思う。


「烈火さんの言う通り飛竜の谷に行きましょうか。私も雷魔法を使えばダメージを与えられると思いますし、雷魔法用の魔法銃が無いので、発動に時間はかかりますが」


ステラさんの同意も得られたので資源ダンジョンの飛竜の谷へ向かう事になった。




読んでいただきありがとうございます。








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