第6話 マスコットホルダーが大事なのは一緒。

職場のロッカーに先輩S(中国出身)はブタのマスコットをぶらさげていた。

私も真似して、地元のテレビ局のマスコットをぶらさげた。

作業場の空気は汚い。一年もたつとマスコットたちは全体的にくすんでしまう。


ある日、Sさんのブタが鮮やかなピンク色になって干されていた。仕事の合間に綺麗に洗ってもらったようだ。

私もまた、真似して自分のマスコットを洗った。


それから数日後、出荷物を固定するのに使う大きなラップを持ってSさんがやってきた。

「何に使うの?」

S「ふたする。」

「あー、ごみが入らないようにラップで蓋するのね。」

S「ちがう。ブタする。ここ汚れるな。」

そして、Sさんはブタをラップで巻き始めた。

「それ、ぶたさん息できないよ!」

S「ふん。(何を言ってるんだ。これは生きてないぞ。)」


以前どこかで、「中国人は実利的だ」と聞いたことを思い出した。ラップで巻けばブタは汚れない。ラップは簡単に交換できる。


でも、あんまりかわいくないよなぁ・・・。と思うので私は自分のマスコットをラップしていない。洗って1か月もすると頭の上にうっすら埃をかぶり始めている。


Sさんのブタはラッブでピカピカを維持している。毎朝「苦しくない?」とツッコミを入れているのはSさんには言っていない。

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