差別について①
《名・ス他》
1.
差をつけて扱うこと。わけへだて。
「―待遇」
2.
区別すること。けじめ。
「商品の―化を図る」
――
今現在、本来の意味で使われていない言葉ではありますが、その本来の意味とは「差をつけて扱うこと」です。理由如何にかかわらず、差を付けたらそれは差別です。本来は。
6年生はこの教室。4年生はこっちの教室。これも差別です。本来はね。
しかし、一般的に使われている意味としては、「不当な理由で」とか、「不公平に」とか、そういう枕詞が付くと思います。なのでこのエッセイでも、そちらの狭い意味での差別を語ります。
今、社会問題として認知されている差別はいくつも種類がありますよね。人種差別、性差別……。最近話題になった職業差別や学歴差別。今回は、それぞれを個別にというより、私の考えに沿ってピンポイントで語ろうかと思っています。
具体的には、
①何故差別があるのか
②その善悪について
③平等と公平について
④人種差別について
⑤性差別について
についてですね。これはパート分けないと無理そう。
ここまで弓チョコの戯言に付き合って読んでくださっている物好きの皆様、どうぞお付き合いください。
――
①何故差別があるのか
例えば、インド社会には昔からカースト制度というものがあります。これは日本の学校にもスラングとして輸入されていますね。階級というのは世界中で昔から存在しています。平安貴族とか。欧州などでも王族貴族市民奴隷など。
最初に定めたのは誰でしょう。
王です。
王の仕事は政治。つまり階級分けとは政治の手段のひとつです。これをすることで、上手く国を回そうとしたんですね。カースト制度で言えば、それぞれを職業や住む場所で分けて交流を絶ち、紛争を防ぐ役割が理由のひとつとしてあるようです。
人は皆、違います。生まれた場所も違えば育った環境も違うし、家族友人も違うし仕事も違います。「同じ」はありえない。BUMP OF CHICKENの「カルマ」から歌詞を借りれば、「一つ分の陽だまりに二つはちょっと入れない」ということですね。
その「違い」は、紛争を生みます。あいつの方が良い暮らしだ、とか。隣の芝生は青く見えると言いますが、大小あれど人は皆、他人を自由に羨んだりします。
「差がある」というのはもう、認めなければならない事実なんです。ここは大前提。「人は本来平等だ」なんて言う人が居たら多分色々間違ってます。「本来」の話をすると、不平等で不公平なんですから。「人間をなにやら高尚な生き物だと思い込んで、こうあるべきだと勝手に妄想している」に過ぎません。ここは③でも語ります。
つまり、「何故差別があるのか」という問いすら不要なんです。「そもそも最初からある」のが差別です。人間は強欲なので、他人の持っている物を欲しがります。意識していなくとも、欲しい物があるなら、それはきっと誰かが持っています。
人の心の話もしましょう。差別意識、というものですね。私は心理学者でも脳科学者でもありませんが、経験と前提と言葉の定義から答えを導き出します。
テンプレート。カテゴライズ。この辺りはよく使いますね。物事を何かに当て嵌めて考えることは、脳にとって処理しやすいんだと思います。この書類は「この棚だ」とか。この人は「女性だ」とか。今日は「暑い日だ」とか。脳味噌の中の「属性の付いた棚」に入れて整頓すると、円滑に思考できるようになります。
「アレの準備できた?」と不意に尋ねられたとします。すると脳内で一斉に棚を漁ることになります。「約束していたこと棚」「この人との思い出棚」「アレと言われて思い付く棚」に、ラベル付きの「あの書類」が入っていると思います。
そして、この「属性」というのは、「特徴」があり、「理由」になります。
例えば「水」は「冷たい棚」に入ってるとしますよね。「だから」「青色のイメージがある」とか。
あの人は「女性だから」「黒人だから」「あそこの出身だから」→「こうだよね」。
……もうお分かりでしょうか。
人がそれぞれ勝手に、処理しやすいように脳内でテンプレート化してカテゴライズした「棚」に貼り付けられた「属性」を、
口に出すと差別になります。
……勿論、水のイメージが青色と口に出した所で誰も差別だなんだと騒ぎません。「人間の被害者が居るかどうか」と「皆と同じラベルの貼り方をしているか」が、「批難される差別」かどうかの分水嶺という訳ですね。
差別とは、政治の手段として古くから使われ、かつ、脳の発達した人間本来が持つ正常な機能なんです。
差別が正常な機能なんて、感情は受け付けませんがね。でもそれも、「差別」という言葉をカテゴライズしてしまっているが故の拒否反応だと思います。
では、それがどのように社会問題として取り上げられ、今なお議論され続けているのか。次回に続きます。
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