第4話 minoltaXD

「他にはか?そやなこんなんどうな?かっこええやろ!」


そう言いながら新たに出てきたのは黒いボディのカメラ。

『Leitz minolta CL』と書いてある。


「ライツミノルタCL。ライツって読めやんやろ、なんせドイツ語やからな~。

美幸も聞いたことあるやろ?ライカってっな。

ドイツにあるライツ社のカメラの事やな。

で、このカメラはライツミノルタ。今で言うコラボやね。」


あ〜聞いたことある気がする。

アニメのまるちゃんのお友達、たまちゃんのお父さんがいつも手にしてるヤツね。あのカメラってもしかして凄かった?


祖父が言うには、1954年に登場したM型ライカの初号モデル『M3』は当時の技術の粋を結集して造り挙げられた渾身の一作!!だとか。

当時のカメラといえばライカ!!だったそうで憧れの世界一のカメラだったそうだ。


そして日本で初めてドイツのライカと祖父の好きなミノルタが共同開発したカメラで、海外ではライカCL 日本ではライツミノルタCL として売られていたそうだ。

1971年に業務提携をして、設計はライカ、生産はミノルタとなったそうだ。

国産ライカを作るにあたって、設計はドイツ語なので大変であったであろう話など、さんざん聞かされたけど全く嫌ではなかった。

むしろ楽しいと思う時間であった。


長々ではあるがライカとミノルタの話を一通り聞いて手元のカメラを見る。

なんだか可愛く見えた。

「コレ今持ってたらオシャレでいい感じだよね。今でも買えるの?この子。ってか使えるの?」


色々話を聞いたので感情移入してしまったのか、カメラをこの子呼ばわりしたが、親近感が湧いたのかもしれない。



「使えるで。キチンと手入れはしていたからな。それに買うことはできるし、まぁあげてもええが…ん〜いや…使うのはまだやめとけ。」


そう言いながらカメラをひっくり返しながら裏向けて着脱式の底蓋を外し、電池室を指差す。


「古いカメラやからな。MR-9の水銀電池は今は手に入らん。残念だが生産終了や。1.35Vと電圧が違うんよ。

LR44と電池アダプターで代用することもできるんやが、いかんことに1.5Vや。電圧が高くなってしもて露出計がオーバーに振れてまう。初心者には扱いにくいし、MR9の完全互換の空気亜鉛電池を使えばいいんやが電池が高いしな、。

初めて持つカメラがコレだとな~。いけやんことないけど、もうちょい他で慣れてからでいいんちゃうかな?」


そう言いながら新たに出てきたのは真っ黒のボディとシルバーx黒のボディの2種類。


「『minoltaXD』やな!!コイツは確か1970年後半やな7年とか8年頃、世界初のシャッターと絞りの両優先AEを搭載したんがこのカメラや。

両優先AEに加えて、疑似プログラムAE、高い性能と心地よい巻き上げ。見てみぃこの上質な使用感たまらんなぁ。古いカメラやけど今のカメラと何も違わん!やっぱええなぁ~この感触。」

カシャ……カッシャンと黒xシルバーのカメラの空シャッターを切りながら、祖父が呪文のようになにか言っているが、とりあえず世界初の新機能を取り入れたカメラだと言うのはよく解った。

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