第4話 目標

大阪に部屋を借り、初めての1人暮らしが始まった。

料理人の親父から何一つ習って来なかった俺は、クノール・コーンスープとハム握りが主食になっていた。

正直これしか出来ないからだ。

そんな俺を心配して、彼女が時々遊びに来てくれた。

OLになっていた彼女が、弁当を持って来てくれるのを毎月楽しみにしていた。

医学部の仲間は、俺がペンダントに小さな彼女の写真を入れていた事を、からかって来た。


「アツアツやなぁ!」

「うるさいなぁ。」

こんな会話は日常茶飯事で、もう皆んなが飽きるまで言わせておけと思っていた。


それから2年後、彼女が、照れ臭そうに話始めた。

「私な、看護学校へ行こうと思うねん。」

「そうなんや。」

「ずっと…」

「ずっと何?」

「いや、これは言わんとくわ。」

「何やねん。」


彼女は結婚を意識しているんだろうか。

俺より先に社会に出たし、結婚観も変わりつつあるのだろう。


「ずっと…一緒におれるから?」

俺が聞くと、彼女は黙って、顔を真っ赤にして頷いた。

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