H.Agasawa(2100) 天使、悪魔、蟲とKK症候群の関係性について 

阿賀沢 隼尾

H.Agasawa (2100) 天使と悪魔、蟲とKK症候群の関係性について

 今日,カルマ・カルディック症候群 (Karma-Kardec syndrome, 以下,KK症候群)の発症者数は全世界で300万人存在すると推定されている(2098, Hano)。本論文では,KK症候群という現象の全容を掴むことを目的とし,アストラル医学や社会学,精生物学 (超生物学),精生態学などの分野から考察することを試みる。 


1.KK症候群の特徴

 KK症候群は統合失調症や双極性障害,摂食障害などの精神疾患や神経症との判別が困難とされている。しかし,Mini Chou, (2047)によると,KK症候群と精神疾患の見分け方が難しいのは患者の表面しか見ていないからであるという。KK症候群と精神疾患の区別の仕方は1.現実世界に影響が及んでいるか (物理法則への干渉の有無)。2.業力の残滓やエネルギー生物体が無いか。3.身体に異常はないか(獣化や異界化,細胞の変質,臓器の増減など, の三つの要因があると述べている。1.は,現場を見れば一目瞭然であるが,患者はその事実を隠そうとするのでそれが精神疾患との区別を難しくする要因の一つとなってしまっている。なので,患者の話からそれを聞き出すのは困難であるので,患者とラポールを形成していくことが非常に重要になってくる。2.は見れば一目瞭然である。が,この場合医師やThが霊能力者や魔術師であるか,魔道具を必要としてしまうので,非術師や高魔力感受性者には難しいという欠点が生じてしまう (高端, 2053)。3.の患者は世間体を気にしてそもそも来談する人が少なく,家族もそれを隠すので認知件数が低下する傾向がある。が,近年ではKK症候群患者の福祉施設への報告が増加しており,このような傾向は減少するのではないかと思われる。


2.KK症候群と社会的背景の影響

 E.Penrose (2080)によれば,KK症候群が増加している社会的背景には,表層人格と現実の人格との格差,自己と他者の境界の曖昧化,他者との比較によって幸福感を感じにくくなったことなどネットの影響が大きいと述べている。自分の意思で考えて行動しているつもりが,実は集団の意志によって行動しており,自分の意志などというものは存在しないとされる現象を,神山健治氏が監督・脚本を務めた「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」に倣って,S.A.C.仮説と呼ばれている (田中, 2051)。S.A.C.仮説では,それが自分の意志であるのか集団の意志であるのかと区別することは困難であるとされている。神崎 (2052)はネットで拾った知識や考えを自分の考えだと勘違いしてしまうということが起こっているというのは,S.A.C.仮説の前段階の現象として捉えており,それは地続きのようなものではないかという仮説を提唱している。他にもKK症候群が増加している背景には,経済格差が広がったことや,貧困層や富裕層関係なく国家や国民全体が貧困になっていること (国民総貧困化),事件や事故ばかり報道するメディアの影響も大きいことを示している。


3.喰書から見るKK症候群

 KK症候群の業が漏れ,非現実的な現象が現実世界に影響を及ぼすという症状は,悪魔の書やソロモンの鍵,天使ラジエルの書,ピカトリクスの書,術士アブラリンの聖なる魔術の書,などの魔導書や魔術書の特徴と類似している (Smeth, 2069)。魔導書は,「術式を媒介とし,体外にある業力によって,異界への通路の構築や異生物・超生物を召喚する書物」,魔術書は,「術式や魔術師・魔導士の心得・超生物など魔術の技術や知識を書き記したもの」のことである (酒井,2056)。これらの書物の中には,エーテル (マナ)を吸収することから「喰書しょくしょ」とも呼ばれる (酒井,2053)。より強力な喰書は物理干渉をするものも存在しており,周囲の有機体を溶解するもの,生命をエネルギー源とするもの,近くの生物を燃やすものなどが確認されている (徳地, 2076)。神屋 (2048)は喰書をエーテル射影機で観察している。結果,喰書から業が溢れ出しており,その業の力によって物理世界に影響を及ぼしているのではないかと考察している。


4.KK症候群とアストラル生体医学

 竹内 (2088)は,「業は,言動・思考から生成・発生し体内に残る。が,それは自我や自己を保っている時。自他の境界の区分が明確に分けられている場合の話である。これは食事や修行で得るエネルギーとは異なる。自他の境界線が曖昧であると,体中にある経穴から業が溢れ出すことがある。溢れ出した業は,体外にあるエーテルと混ざり合うことは無く空中を揺蕩う」と述べている。前述したように,KK症候群が増加した社会的背景として,自他の境界線が曖昧になったことが挙げられている。溢れ出した業は物理的な影響を及ぼすことがあるが,意識的に操れることではない。しかし,KK症候群はそれを意識的に操ることが可能である(H.Helf, 2073)。

 KK症候群の発見者であるアストラル医学の大家,G.Kardec (2030)は,KK症候群の獣化は業の力によって引き起こされた細胞の異変によるものとしている。彼の仮説によると,それは因果の結果によるものである。この世の現象は全て因果によって引き起こされ,獣化する者は獣のような欲に塗れた生涯を送ってきたか,獣になんらかの憧憬がある者であると臨床の経験から分析している。G.Kardec (2059)は狼男を例にして述べている。狼男は月のエーテルの影響を受けやすい体質を持つ者がなる。が,それだけでは狼男とはならない。狼男になりやすい人間と言うのは,神経気質で二面性のある男性に多いとされている。昼間仕事をしている時や学校にいる時はぺこぺこと頭を下げているが,心の中では「あいつを殺してやる。呪ってやる」と思っており,夜になるとその自責に囚われてしまう人物である。端的に述べれば,攻撃性を内に秘めているが,表面化しない人物である。そのような内なる影(C.G.Jungの言う影(Shadow)の概念に近い)を持っている人物は月のエーテルに当てられやすい。月のエーテルは元々太陽のエーテルである。その太陽のエーテルが変質したものが月のエーテルである。しかし,重要なのは当人の認知,思想,感受性であるとG.Kardecは主張している。エーテル単体では特に何の影響もない。害も得もなにもない。人の心の在り方がエーテルを変容させ,変化したエーテルが人体や物理世界に強く影響を与えているのである。G.Kardecの有名な言葉で「エーテルと人の心,体,物理現象は共に相互的,相補的な関係にある。それはただ,『在る』だけ。『起こる』というだけである。悪い,良いというのは人間の価値基準に過ぎない」というものがある。近年の科学とオカルト学はG.Kardecのその言葉を証明しつつあるのだ。

 A.Kar (2068)によると,KK症候群の症状は大きく分けて三段階に分けることが出来るとしている。第一段階は,軽症状の状態である。力は小さいが外界に影響を及ぼしており本人は困惑,混乱し心理的疲労が大きい。他傷他害をすることもあり注意が必要である。第二段階は,力をコントロールする。が,実際術者 (病人)をコントロールしているのは憑りついた (寄生した)超生物である。 第三段階は,暴走している状態である。力が術者を呑み込み,体内にある業を超生物が全て食い尽くし自立する。 

 つまり,KK症候群と超生物は密接な関係にある。それを以下で詳細を述べる。


5.KK症候群と超生物の関係について

 霊や精,天使,悪魔のような生命体は精生物学(超生物学)の分野では総称して「超生物」と呼ばれている。超生物は「業やエーテルを生命源としながら一定の形態を保ち,自然発生する生命体」と定義されている (成田, 2077)。

 超生物が一定の形態を保つことが可能になるには一定の条件が必要とされている。その一つは,何らかの一貫した感情や思考,思想の吹き溜まりとなっている場所。二つ目は,一定数の人々がある程度の形をイメージしていること。,である (G.Piaf, 2079)。C.Gainsbourg (2066)は,超生物は人類が登場するまで存在しなかったと記述している。交霊術や降霊術師,魔術師,呪術師は古来より存在していたが,今日のような存在となったのは,2030年以降の話である。それは超生物の影響が大きい。人類が超生物を認識し始めて約半世紀。KK症候群という存在とエーテル,チャクラ,業のようなエネルギーは歴史的に見れば非常に密接な関係があるということである。

 天使と悪魔は超生物学の視点では同様の生物である。互いに業力を生命源とする点では類似しているが,何を・どのような業力を生命源とするかという点では異なっている。悪魔は,憎悪や嫌悪,懐疑心などの負のエネルギーを生命源とする。対して,天使は人の信仰心をエネルギー源とする(海藤,2088)。彼らにとってエネルギー源とは,業のことであり,エーテルのことである。つまり,超生物学上では悪魔と天使というのは嗜好が異なるだけであり,便宜上ほぼ同じ生物であると認識されている。

彼らは人間に「憑く」。ここで言う「憑く」というのは,「超生物が人間の業をエネルギー源とする行為の事」を言う (L.Dicaprio, 2094)。憑いた超生物は超生物学では「超寄生生命体」とも呼ばれており,自らの生命源を得る為に憑いた寄生体を操る。中には,エーテルをチャクラ (業)に変換することが出来る生命体も存在し,体内に溢れ出した力 (業)が寄生以前よりも強力になるのはそうした種類の超生命体の影響である。他にも寄生体の力が強力にさせる超寄生生命体は存在する。悪魔種に分類されるアラカダノガリゴと言われる超寄生生命体は,寄生体を操り,寄生体に暴飲暴食させチャクラを溜めさせる。それが一日中続き,寄生体は生活習慣を狂わせられ,悪態をネットで吐き,堕落した生活をおくることになる。それによって生み出された業を食する。他にも特定の思想に寄生するドゴゴゴルスバルテと呼ばれる超寄生生命体も存在する。

 今後,どのような超寄生生命体がどのような思考,思想,感情に惹かれるのか。筆者は特に思想について考察,観察をしていきたい。

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