第24話

『『………!?』』


 突然熊翔に口づけをした褐色の肌の女性の行動に、口づけをされた本人だけでなくレオーラとパルコーも驚きで言葉を失った。そして熊翔達三人が固まっている間、褐色の肌の女性は自分の舌を熊翔の口の中へと入れてゆっくりと舐め回していた。


「……! あ、貴女! 一体何のつもりですの!?」


「何ってぇ……。 新しいご主人様への挨拶ですけどぉ?」


 再起動したレオーラが口づけを終えて熊翔の顔から離れた褐色の肌の女性に叫ぶと、褐色の肌の女性は当然のような顔で答えた。


「ご主人様への挨拶?」


「ええ? 話を聞くとぉ、熊翔様がこの魔法のダンジョンの主人でぇ、私を一回殺してから甦らせてくれたのでしょう? だったらここで一番偉くて、私のご主人様となるのは熊翔様ということですよねぇ?」


「ん……!? ま、まあ、そうなるのか?」


 そう言うと褐色の肌の女性は熊翔に抱きついて、レオーラと同じくらいある豊満な生の乳房を彼の顔に当て、熊翔は突然のことに驚きながら返事をする。


「うわぁ……! こ、これって旦那様に全力で取り入ろうとしてますよね? さ、流石は戦姫……」


「何を感心しているのですか!?」


 裸のまま熊翔に抱きついている褐色の肌の女性を見て、パルコーは顔を赤くして感心した口調で呟くが、それを聞いたレオーラが大声を出す。


「ちょっと貴女! 旦那様に忠誠を誓うのは当然ですが、貴女にはもう一人忠誠を誓うべき人がいるでしょう!? 私! セブンシン王国の由緒正しき名門、ルナライト家の令嬢であるレオーラ・リア・ルナライトが、貴女を侍女にするため旦那様に甦らせるようお願いしたのですよ!」


 褐色の肌の女性の行動はパルコーの言う通り、このダンジョンの支配者である熊翔に取り入ろうとするもので、それ自体は戦場の娼婦である戦姫としては自然なものである。しかし褐色の肌の女性は、自分を甦らせるように言ったレオーラに対しては忠誠どころか興味も持っていないようで、それを我慢できずにレオーラが大声を出すと、褐色の肌の女性はようやく彼女に視線を向けた。


「ああ、そうでしたぁ……。確かに貴女には感謝していますわぁ? 貴女がご主人様にお願いしてくださらなかったら死んだままでしたもの。ですけど忠誠を誓うかどうかは別でしょう? ご主人様の話だと貴女はご主人様の妻を自称しているだけで立場は私と同じなのですからぁ」


「……………!?」


「あー……。そうですよね。普通気付きますよねー?」


 褐色の肌の女性の言葉にレオーラは悔しそうに奥歯を噛み締め、パルコーが乾いた笑みを浮かべる。そしてそんな二人の女性から視線を熊翔に戻した褐色の肌の女性は、色気を感じさせる笑みを浮かべて自己紹介をする。


「そう言えば自己紹介が遅れて申し訳ありませんでしたぁ。私の名前はライラと言って、買ってくださった主人と戦場をお供する戦姫ですぅ。これからはご主人様にのみお仕えして『色々』とご満足していただけますように努力させてもらいますわぁ」


「ああ、これからよろしくな。……」


「………!」


(レオーラの奴、かなり怒っているな……。パルコーはともかくレオーラは騒がないか心配だな。頼むから大人しくしてくれよ? 俺はただここで引きこもりたいだけなんだからよ……)


 褐色の肌の女性、ライラに返事をした熊翔だったが、横目で悔しそうな顔しているレオーラを見た彼はこれから騒ぎが起きそうな予感がして、内心でため息を吐くのであった。

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雹庫DUNGEON ISLAND~ただの引きこもり? いいえ、ダンジョンマスターです~ 小狗丸 @0191

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