第13話 夜空の下でリスタート

これで、私の昔話はおっしまいっ。


とわは、そう言って無理やり笑顔を作って話を締めくくった。


僕は完全に言葉を失っていた。 目からはボロボロと心が溢れて止まらなかった。


家族みんなで、森の平和を守るためにただ頑張っていただけなのに、ある時浴びた血が発端で、不老不死の病にかかり、彼女を知ってくれている親しい人たち、家族たちも次々にいなくなっていき、時代という大河の中で、たった一人漂流し続ける彼女の心境を考えていたら、胸が苦しくなって耐えられなくなった。


初めて会った時はそんな事なんかわからなかったから、軽く返して僕は連れ出してしまったけれど、そんな自分が無神経すぎて許せなかった。彼女に本当に申し訳ない気分になった。


「ごめん・・・・な。そんなことも知らずに・・・・。僕は・・・・・・僕は・・・・・。 」



「だから別にいいんだって。 私だってこれはいずれ言わなきゃいけない時がくるって思って言ったんだから。 あなたが気を負う必要なんてないんだってば。」


そうは言ってくれたけど、やはりまだ罪悪感は残っていた。そんな気持ちを察してなのか、僕の真正面に来ると、目をまっすぐに見つめて、肩をポンポンと叩いて


「ほーら!!だからそんなメソメソしなくていいんだってば!! 私が貴方を信用したからこういう話ができたのよ。でなきゃこんな旅にだってついてこなかったし、私もこのことを臆せずに打ち明けられることができたんだから!!」



力強くそういう彼女の顔を見ていたら、涙が少し引っ込んできたし、少し気分が落ち着いてきた。


「そうだね。そう言ってくれたら、ちょっと僕も心が救われた気がするよ。・・・ありがとう。 」


「お礼を言うのは私の方よ。こうして今まで見れなかった外の世界に連れ出してくれたのは貴方だし、昔家族で訪れたところをまた訪れる事ができたのも貴方のおかげなんだから・・・・。ありがとう、凛歌」



言い終えると、彼女は今まで見せたことのなかった飛び切りの優しい笑顔で答えてくれた。


「ま、そう言う事だから、とりあえず、これからもよろしくね。」



満点の星空が輝く空の下で、僕等は改めて握手をして、互いに親交を深めた。


「さ、今晩はここで星を眺めてゆっくりと過ごしましょ。」



とわの提案通り、今夜はここで過ごすことにした。

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