パーティーメンバーの危機②

「またセイに助けられたね」


「私もあのまま倒れていたら危なかったです。助かりました」


 サーラは戦場で痺れて倒れていた。


 下手をしたら魔物に襲われるところだったな。


 俺はマリナの事に気を取られて、周りが見えなくなっていた。


 俺は失敗した。


「セイ、気にしないで。私たちは助かったよ」


「そうです。セイのおかげで私たちも他の冒険者も何度も救われています」


「そうだな・・・・・!」


 俺はサーラとアイラを置いて走り出す。


「マリナが襲われている!!」


 俺が離れたら今度はマリナか!


 くそ!なんなんだあいつらは!


 サーラとアイラも走り出すが、俺が先行して全力疾走した。


 数十人の兵士と冒険者の格好をした敵に囲まれ、マリナは状態異常の魔法を使うが、効果が無い。


 対策されている!


 最初に襲われた時は本当に様子見だったのか。


 ジャンヌがマリナの前に立ち盾とメイスを構える。


 エリスは銃で敵の侵入を阻む。


 俺はセイントビームで敵を攻撃するが間に合わない。


 間に合え!


 マリナが刺されそうになったその時、エリスがマリナを庇い、ナイフで刺された。


 エリスは腹を3度刺され、崩れ落ちるように倒れる。


「あああああああ!」

 マリナが炎の魔法で敵を焼く。


 俺もセイントビームとメイスで敵を倒す。


 俺とマリナは相手の命を考えず攻撃を続けた。


 敵はすぐに全滅させたが、ジャンヌの回復が間に合わず、エリスの血が止まらない。


 マリナが取り乱す。

「私が、敵を殺していれば助かった。私が手加減した。私が殺した!」


「マリナ!落ち着け!大丈夫だ」


「私のせい!私のせい!私のせい!」


 俺はマリナを殴って気絶させた。


 エリスは安心したような顔をしていた。


 まるでこれから死ぬことを喜ぶように安心していた。


 なんで安心してるんだ!


「セイ、わたくしは【管理者】、王を頼るのですわ。王はあなたの味方】


「ジャンヌ、俺が治す」


「むだ、ですわよ」


「助ける!」


「このきず、じゃ、たすかり、ませんわよ」


 ふざけるな!


 何を安心している!


 何でそんなに救われた顔をしている!


 俺は治癒士だ!


 今この時の為に俺は居る!


 俺はエリスに手をかざし、魔法を発動させた。


 回復魔法で空間が歪む。


 ジャンヌが驚愕する。

「なんだ!?このヒールは!」


 サーラは両手を組んで涙を流す。


「傷が治っていくよ」


 エリスの呼吸が安定した。


「信じられん!助からない傷だった」


 ジャンヌは助けられないと分かってそれでも回復魔法を使っていた。


 少しでも痛みを和らげるために。


 だが、セイは治して見せたのだ。


「ちゃんとヒールを使えば助かる傷だぞ」


「わたくしは、助かりましたのね」


 エリスは少し残念そうな顔をしていた。


「エリス、なんでそんなに死にたがるんだ?」


「わたくしは、疲れたのですわ。【管理者】の使命に疲れましたの」


「管理者ってなんなんだ?意味が分からない」


「今は駄目だよ。エリスは血を流しすぎてる。休ませなきゃ」


「そ、そうですね。休んでからでも話は聞けます」


 



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る