魔物強襲②
兵士と騎士は豚の魔物と闘い乱戦となる。
騎士と兵士はフェイズ3の魔物、オークに翻弄されていた。
たった4体のオークが戦況を悪化させていたのだ。
そこに賢者ライガと勇者ボムズが遅れて現れる。
騎士が2人を前線に出るよう促す。
「勇者殿と賢者殿が参戦すれば士気も上がりましょう!どうぞお願いします!」
「ふ、僕の力を見せつけてあげよう」
勇者は前線へと駆け出すが、賢者ライガは動かない。
「さあ!賢者ライガ殿!賢者の力を今こそ示す時ですぞ!」
「わ、私はいいのだよ」
「今は冗談を言っている場合ではありませんぞ!」
騎士はぐいぐいと賢者の背中を押す。
ライガは逃げようとするが騎士は逃がさない。
ライガの元に豚の魔物が迫る。
「ひ!ひいい!」
ライガは敵味方関係なく雷撃魔法を使い近くにいる者を感電させる。
「その魔法では同士討ちになります!違う魔法を使うのです!」
ライガは電撃魔法以外の魔法をうまく使えない。
賢者の強みの1つは治癒士の回復魔法と魔法使いの攻撃魔法、そして状態異常魔法を使える魔法の多様さにあった。
だが、ライガにはそれが出来ない。
感電した魔物と兵士が立ち上がる。
ライガの攻撃に威力が足りないため、魔物も兵士も命を奪われることは無かった。
ライガは、魔法使いと治癒士の教育を受けていない。
戦闘訓練も魔物狩りもやった事が無いのだ。
電撃を受けた魔物がライガにターゲットを絞る。
ライガは豚に腕を噛まれる。
「ぎゃああああああ!」
ライガは電撃魔法だけは無詠唱で使うことが出来た。
腕を噛んだ魔物とあたり一帯に電撃を撃ちまくり、ライガは走って逃走する。
周りに居た兵士と騎士が叫ぶ。
「ライガ殿!どこへ行くのですかああああ!!」
「賢者の役目を果たすのです!」
「ライガあ!逃げるなあ!」
ライガは全速力で王都の中央へと逃げる。
騎士が慌てて挽回の指示を出す。
「くそ!勇者殿のサポートに回るぞ!」
その頃勇者は炎の魔装を発動し、疲弊したオークに連撃を食らわせる。
「うおおおおおお!」
1体のオークが倒れる。
だが、その事で残り3体のオークに包囲され、勇者は背中を斧で攻撃された。
勇者は包囲を突破して後方に下がり、逃げ出した。
「ゆ、勇者殿!?」
「どこに行くのですか!」
騎士が叫ぶが、呼びかけも聞かず勇者は走り去った。
勇者の逃げ去る速度は速く、勇者にはまだ余裕があるように見られた。
人類の切り札である賢者に続いて勇者も逃げ出し、士気は極限まで低下した。
騎士は焦る。
まずい!このままでは全滅する!
死を覚悟した瞬間、空中からオークに何かがぶつかった。
オークが吹き飛び地面を転げまわる。
オークがいた場所には冒険者と思われる男が立っていた。
「俺がオークを倒す!」
黒目黒髪の冒険者が叫んだ後、空を走り、1体のオークに迫る。
黒いメイスを何度も振るが、メイスがオークに当たる度に爆発するような破裂音が聞こえ、オークはどんどんボロボロになっていった。
オークが倒れると、2体目、3体目と、まるで雑魚を相手にするように倒していった。
「オークはすべて倒した!次はこっちが攻める番だ!」
騎士と兵士は沸き立つ。
「行けるぞ!」
「オークを倒した冒険者!名前を知ってるぞ!冒険者のエース、セイだ!」
騎士体長が叫ぶ。
「セイ殿に続け!勝てるぞ!」
「「うおおおおおお!」」
セイの登場によって一気に流れが変わった。
それに騎士体長が便乗し士気を上げることで更に戦況は好転する。
こうしてさっきまでの劣勢が嘘だったかのように魔物を全滅させた。
そこにジャンヌ率いる治癒士部隊が到着する。
「遅れてすまん」
セイが答える。
「いや、回復役は助かるぞ。魔物は全滅させたが、皆の治療がまだだ」
ジャンヌはすぐに回復の指示を出す。
治癒士たちは皆を回復させていくが、その時兵士が慌てて走ってくる。
「大変です!中央部に魔人が現れました!援軍をお願いします!」
戦える者はほとんど疲れ果て、治癒士の治療も済んでいない。
ジャンヌと騎士体長が俺を見る。
セイは辺りを見渡す。
俺以外元気な人間は居ない。
ジャンヌは重傷者の治癒がある。
「俺が先行して向かおう」
俺は中央部に向かって走った。
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