リンデン交易国

 【概要】

 造船と交易で栄える中堅国。ベル地中海と外洋を結ぶ海峡を支配しており、舟運によって財を生した強国。自国が当事者とならない戦争には一切の中立を貫き、あらゆる国家に必要な物資を融通することで地位を保っている。政治は貴族による議会制であり、議会の中から代表者としての公が選出され、議長に近い役割を担う。

 北は外洋、南はベル地中海、西は凍土、東はどこにも属さない小集落群の領地に接する他、南東方向には焼けた大地が広がる。長く戦争は行っておらず、各国との外交関係は良好。過去には領内の統一を図ろうとしたことで、司書の谷と軍事衝突を起こしたが敗北し、賠償による和解を行って以降は自治を認めて友好関係を築いている。

 軍事力は巨大な海軍戦力を中心として、潤沢な資金からくる最新鋭の装備を備えた軍隊を整えている。しかし、利益優先の思考から常備兵は少なく瞬発力に欠ける。テイムドメイルは保有していないが、神代文明の兵器には関心が強く、コレクタユニオンと共同して遺跡への調査を積極的に行っている。

 食糧事情は安定しており地方における栄養状態は優良だが、都市部では貧富の差が激しく、華美な市街地の裏に大規模なスラムが形成され、借金を理由とした奴隷狩りが横行するなど社会構造には問題を抱える。工業技術の発展が著しく、特に造船業や製紙業は他国の追随を許さない。同時に鉄工や木工における技術力も高く、建築関係では独自の技術が見られる。一方、土地柄石材資源が非常に少ない上、乾燥作業が困難であるため、石造や煉瓦造の建築はほとんど存在しない。

 信仰は土着信仰だが非常におおらかで、信仰心という面で見ると薄く、むしろ生活様式として取り込まれている。形式として信仰されるのは男神が中心であり、高温多湿の環境と相まって露出が多い服飾文化と開放的な性風俗を作り出している。

 バックサイドサークルとは強い交易関係で結ばれ、産業の1つとして見なされている。また、上述の通りコレクタユニオンとの結びつきも非常に強く、コレクタユニオン本部が首都スィノニームに置かれるほど。コレクタの活動も活発だが、他地域より地域調査の危険性が高いとされておりやや排他的。



 【領内地域・都市等】


 ・貿易都市スィノニーム

 ベル地中海の北端と接する場所に置かれたリンデンの首都。名が示す通り、ポロムルすら凌ぐ非常に大規模な交易港を中心として発展した都市であり、造船業や製紙業などの工業レベルも現代文明において頭1つ抜けているとされる他、コレクタユニオンの本部が置かれている。濃霧の多発する地域であることから、照明に関する技術も進んでおり、周囲には多数の灯台が建ち並ぶ。また、高温多湿であるために、建築は木造で高床式の物が多用される。船舶での往来が多いことと、熱帯性果実が周辺で多数採れることから、真水ではなく果実から水分補給を行う文化が根付いている。



 ・司書の谷

 リンデン交易国の高山奥地、周辺を急峻な岩山に囲まれた盆地に存在する集落。司書と呼ばれる人々が暮らす。場所こそ交易国国内だが国家には属しておらず、厳格な独自法が敷かれ自治が行われている。盆地中央には守護の穴と呼ばれる巨大な縦穴が存在し、内部壁面を掘り進む形で作られた市街地に、全ての住民が生活している。縦穴の下層部は遺跡を利用した講堂などがある他、底は祭場とされ、行事などに用いられる空間となっている。また、最下層には封印の扉が存在し、独自法によって近づくことが厳しく禁じられている。

 地形が急峻であるため、辿り着くためには唯一開けた渓谷通る他に道がなく、その周囲にはトンネルを張り巡らせた要塞が築かれており、堅牢な防御を誇る。

 盆地内部では、周辺の山地から流れ込む湧水を利用することで、レーカの栽培と淡水魚等の養殖が行われている。また、地下生活を行うにあたり、照明に関する独自技術が発達しており、蓄光性のある茸を利用したランプが普及している。



 ・ガーデン

 企業連合軍が最終戦争勃発の際、司令部機能を移管する目的で作られた施設。司書の谷最下層に存在する封印の先に存在する。建設途中でテクニカ計画が持ち上がった事で予算が削られ、農業生産施設などは未完成のまま文明崩壊を迎えた。文明崩壊後は、テクニカから脱出したカール・ローマン・リッゲンバッハのアジトとなり、同伴したキメラリアとデミが短い期間を過ごしたが、食料生産が不可能だったことに加え、リッゲンバッハが後に再生される天海恭一に物資を残すために施設の封印を決定し、彼の死亡と共にキメラリアとデミは守護の穴へと生活の場を移すことを強いられ、800年の間施設内部は管理ロボットとプログラムに移植されたリッゲンバッハの意志によって維持されることとなった。なお、守護の穴はガーデンの建設作業用に掘られた立坑だったとされる。

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