第8話 成人式の才能

成人式だ。


出席することに決めているが、行くのに気がひける。


ギラギラした連中を見るのが嫌だからだ。


南国の動植物のような格好をした連中と同じ場所にいるのは疲れる。


私はマジメキャラというか、陰キャだ。


私はメルカリで購入した安いスーツを梱包から出した。


コロナ禍、成人式が行われるだけ、ありがたいし、仲の良かった仲間とも会えることだし・・・。


私は重い足を引きずり、しなびたスーツを着て家を出た。


式典は時間短縮で厳かに行われた。


南国の動植物たちは、バイクで会場周辺を走り回っている。


私は、そんな動植物を強く意識して目を背けていた。


式典後、仲間と話そうと思って、会場をうろうろしていると、私の周辺がざわついていることに気が付いた。


南国の動植物たちが登場したのかと、顔を上げると、皆私を見ている。


スマホを向けている人もいる。


中学校時代の同級生が、にやにやしながら私に近寄ってきた。


「お前、サイコーだな。そんなに目立ちたかったの?ヤンキーの連中よりイケてるよ。背中いいじゃん。」


私のスーツの背中には・・・。


南国の動植物たちは、たんぽほのような表情で私を見ていた。







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